TSA 信号のフィルター処理
TSA 信号に対してフィルター処理を適用し、調和的に相互に関連しているシステム (ギア ボックスなど) 内の特定のコンポーネントの応答を分離する追加の信号を生成します。その後、分離された信号を回転機の特徴のために使用して、特定の物理コンポーネントと場所で故障を検出することができます。
TSA 信号のフィルター処理はシャフト速度が経時的に一定である場合にのみ使用します。
生成する信号
フィルター処理された信号はそれぞれ元の TSA 信号成分のサブセットを保持しています。TSA 信号の成分は次のとおりです。
主要なシャフト速度と指定された高次の高調波 (sh)
ギアの噛み合い振動 (基本周波数と高次の高調波) (gh)
指定されたギアの噛み合い側波帯 (ss)
劣化、故障、ノイズ、指定されていないギアの噛み合い側波帯および高調波を含むその他すべての振動成分 (ovc)
差分信号 — ovc のみが含まれます。diff = tsa–(sh+gh+ss) によって計算されます。
通常の信号 — reg =sh+gh+ss によって計算されます。
残差信号 — ss と ovc が含まれます。res=tsa–(sh+gh) によって計算されます。
速度設定
一定の回転速度 (RPM) — 一定の回転速度を RPM で入力します。このシャフト速度はすべてのメンバーに適用されます。
定格回転速度 (RPM) — これらの値を格納する状態変数を選択することで、メンバーごとに個別の回転速度を使用します。この状態変数は、[定格速度の計算 (RPM)] を選択した場合に最初に TSA 信号を計算するときに作成します。詳細については、時間同期平均化を参照してください。
フィルター設定
領域 —
[次数]
または[周波数]
を指定します。ギア ボックスに含まれるギア サイズ間の特定の比率が分かっている場合は、次数領域を指定します。たとえば、ギアが主要なシャフト速度の 3 倍の速度で回転する場合、ギア回転の次数は 3 になります。次数は絶対シャフト速度に依存しません。
回転ギアの絶対周波数が分かっている場合は、周波数領域を指定します。たとえば、パワー スペクトルのピークがギアの回転に対応している場合があります。
回転次数 または 周波数 (Hz) — 既知の高調波の次数リストまたは周波数リストを、次数領域の場合は
[o1 o2 o3 ...]
の形式で、周波数領域の場合は[f1 f2 f3 ....]
の形式で指定します。o1
とf1
はどちらも、基本周波数を生成する主要なシャフト速度を表さなければなりません。高調波の数 — 保持またはフィルター処理されるシャフトおよびギア噛み合い周波数の高調波の数。このパラメーターには、
o1
またはf1
で表される基本周波数が含まれます。側波帯の数 — 保持される (規則的な信号)、または次数や周波数のリストからフィルター処理される (差分信号) 側波帯の数。[側波帯の数] を変更して、ギアの高調波の周りにある既知の広帯域周波数成分をフィルターで除外します。マシンが劣化すると、通常はこれらの広帯域成分が増大します。所定の劣化状態にある既知の成分をフィルター処理することで、検出感度を高めてさらなる劣化を検出することができます。
フィルター設定は、選択したフィルター処理済みのすべての信号に適用されます。フィルター処理された各信号に対して一意の設定を適用する場合は ([側波帯の数] 設定など)、フィルター処理された信号を一度に 1 つ選択することで信号を個別に処理します。
その他の情報
ソフトウェアは計算の結果を新しい変数に格納します。この新しい変数名には接尾辞 tsafilt
をもつソース信号名が含まれています。
フィルター処理された TSA 信号の詳細については、以下を参照してください。