spmdReceive

spmd ブロックの別のワーカーからデータを受信する

R2022b 以降

構文

B = spmdReceive

B = spmdReceive(source)

B = spmdReceive('any')

B = spmdReceive('any',tag)

B = spmdReceive(source,tag)

[B,sourceOut,tagOut] = spmdReceive(___)

説明

B = spmdReceive は、現在の spmd ブロックまたは通信ジョブ内の任意のワーカーから現在のワーカーに送信されたデータ B を受信します。

parfor と parfeval を使用して計算をオフロードする場合、各計算は一度に 1 つのワーカーによってのみ実行されます。これらのワーカーは独立しており、相互の通信は行われません。これらのワーカーに spmdReceive を適用する場合、この関数による影響はありません。

ワーカーが spmdReceive を実行すると、この関数は、そのワーカーがデータを受信するまで他のコマンドの実行をブロックします。

spmdReceive を使用するには、現在の spmd ブロックを実行しているワーカーの数が 1 より大きくなければなりません。現在の spmd ブロックを実行しているワーカーの数を取得するには、関数 spmdSize を使用します。

B = spmdReceive(source) は、インデックスが source と等しいワーカーから送信されたデータを受信します。ワーカーのインデックスを取得するには、関数 spmdIndex を使用します。

B = spmdReceive('any') は任意のワーカーからデータを受信します。

B = spmdReceive('any',tag) は、任意のワーカーからタグ tag を指定して送信されたデータを受信します。

B = spmdReceive(source,tag) は、インデックスが source と等しいワーカーからタグ tag を指定して送信されたデータを受信します。

[B,sourceOut,tagOut] = spmdReceive(___) は、別のワーカーから送信されたデータを受信し、ソース ワーカーのインデックス sourceOut を返し、データと共にタグ tagOut を返します。

例

spmd ブロック内のワーカー間でのデータ送信

この例では、spmd ブロックまたは通信ジョブのワーカー間でデータを送信する方法を説明します。

4 つのワーカーをもつ並列プールを作成します。

parpool(4);

並列プールの作成後に spmd ブロックを実行すると、既定ではそのプール内のすべての使用可能なワーカーで、spmd ブロック内のコードが実行されます。

spmd ブロックを作成します。インデックスが 1 と等しいワーカー上で、配列を作成します。spmdSend を使用して、インデックスが 2 と等しいワーカーに配列を送信し、spmdReceive を使用してデータを収集します。

spmd
    switch spmdIndex
        case 1
            A = magic(3)
            spmdSend(A,2);
        case 2
            B = spmdReceive
    end
end

Worker 1: 
  
  A =
  
       8     1     6
       3     5     7
       4     9     2
  
Worker 2: 
  
  B =
  
       8     1     6
       3     5     7
       4     9     2
  

spmd ブロックのワーカー間におけるデータのタグ付けと送信

この例では、spmd ブロックまたは通信ジョブのワーカー間で、データにタグを付加して送信する方法を説明します。

4 つのワーカーをもつ並列プールを作成します。

parpool(4);

spmd ブロックを作成します。インデックスが 1 と等しいワーカー上で、2 つの配列 A1 と A2 を作成します。配列の作成前と作成間に、関数 pause を使用して実行を一時停止し、何らかの作業をシミュレートします。次に、spmdSend を使用して、インデックスが 2 と等しいワーカーに行列を送信します。

各行列に整数でタグを付けます。インデックスが 2 と等しいワーカー上で、spmdReceive を使用してデータを収集します。

tic
spmd
    switch spmdIndex
        case 1
            pause(5);
            A1 = magic(1)
            pause(5);
            A2 = magic(2)
            spmdSend(A1,2,1);
            spmdSend(A2,2,2);
        case 2
            B1 = spmdReceive('any',1)
            B2 = spmdReceive('any',2)
  
    end
end
toc

Worker 1: 
  
  A1 =
  
       1
  
  
  A2 =
  
       1     3
       4     2
  
Worker 2: 
  
  B1 =
  
       1

  B2 =
  
       1     3
       4     2
  
Elapsed time is 10.061523 seconds.

場合によっては、一部の作業を 1 つのワーカーから別のワーカーに移動することで、コードのパフォーマンスを改善することができます。一部の作業を、インデックスが 1 と等しいワーカーから、インデックスが 2 と等しいワーカーに移します。タグを使用すると、受信側ワーカーでコードを更新せずに、1 つのワーカーから別のワーカーへ計算を容易に移動することができます。

tic
spmd
    switch spmdIndex
        case 1
            pause(5);
            A1 = magic(1)
            spmdSend(A1,2,1);
        case 2
            B2 = spmdReceive('any',2)
            B1 = spmdReceive('any',1)
        case 3
            pause(5);
            A2 = magic(2)
            spmdSend(A2,2,2);
    end
end
toc

Worker 1: 
  
  A1 =
  
       1
  
Worker 2: 
  
  B2 =
  
       1     3
       4     2
  
  
  B1 =
  
       1
  
Worker 3: 
  
  A2 =
  
       1     3
       4     2
  
Elapsed time is 5.117787 seconds.

入力引数

source — データを送信しているワーカーのインデックス

正の整数 | 'any'

データを送信しているワーカーのインデックス。正の整数または 'any' として指定します。この入力の値は、現在の spmd ブロックまたは通信ジョブを実行しているワーカーの数以下でなければなりません。

この入力を指定した場合、spmdReceive は、インデックスが source と等しいワーカーから送信されたデータを返します。

この入力を 'any' として指定した場合、spmdReceive は任意のワーカーから送信されたデータを返します。

この入力を指定しない場合、spmdReceive は任意のワーカーから送信されたデータを返します。

例: 1

tag — メッセージ タグ

非負の整数

メッセージ タグ。非負の整数として指定します。この入力を指定した場合、spmdReceive は、関数 spmdSend を使用して現在のワーカーに送信されたデータを返します。tag 引数は、現在のワーカーに送信された tag と等しくなります。

例: 314159

出力引数

B — 現在のワーカーで受信したデータ

MATLAB 変数 | ...

現在のワーカーで受信したデータ。スカラー、ベクトル、行列、多次元配列、table、timetable、または他の任意の MATLAB 変数として指定します。

例: magic(3)

sourceOut — データを送信しているワーカーのインデックス

正の整数 | 'any'

データを送信しているワーカーのインデックス。正の整数または 'any' として返されます。この入力の値は、受信データを送信したワーカーのインデックスと等しくなります。

tagOut — メッセージ タグ

非負の整数

現在のワーカーが受信するデータのメッセージ タグ。非負の整数として返されます。

ヒント

タグには次のような多くの用途があります。

• タグを使用して、データが必要なときにのみワーカーに配列を読み込むことで、メモリを節約。

• タグを使用して、送信側ワーカーのインデックスに依存しないコードを作成。

拡張機能

スレッドベースの環境

MATLAB® の backgroundPool を使用してバックグラウンドでコードを実行するか、Parallel Computing Toolbox™ の ThreadPool を使用してコードを高速化します。

この関数はスレッドベースの環境を完全にサポートします。詳細については、スレッドベースの環境での MATLAB 関数の実行を参照してください。

GPU 配列

Parallel Computing Toolbox™ を使用してグラフィックス処理装置 (GPU) 上で実行することにより、コードを高速化します。

spmdReceive 関数は、GPU 配列を完全にサポートします。GPU 上で関数を実行するには、入力データを gpuArray として指定します。詳細については、GPU での MATLAB 関数の実行を参照してください。

data が gpuArray である場合、並列プール内にある複数の GPU 間のデータ転送には、NVLink など高速のピアツーピア通信が使用されます (使用可能な場合)。

バージョン履歴

R2022b で導入

参考

spmdBarrier | spmdIndex | spmdProbe | spmdSendReceive | spmdSend