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ツールボックスの作成と共有

MATLAB® ファイルをパッケージ化してツールボックスを作成し、他のユーザーと共有できます。これらのファイルには、MATLAB コード、データ、アプリ、例およびドキュメンテーションを含めることができます。ツールボックスを作成すると、MATLAB では単独のインストール ファイル (.mltbx) が生成され、ツールボックスをインストールできるようになります。

ツールボックスの作成

R2025a 以降では、ツールボックスのパッケージ化がプロジェクトに統合されます。ファイルからツールボックスを作成するには、プロジェクト内にツールボックス タスクを作成します。次に、ツールボックス タスクを使用し、ツールボックスを構成してパッケージ化します。

R2025a より前: ツールボックスを作成するには、[ホーム] タブに移動し、[環境] セクションの [アドオン][ツールボックスのパッケージ化] を選択します。次に、[ツールボックスのパッケージ化] ダイアログ ボックスで、plus ボタンをクリックしてツールボックス フォルダーを選択します。ツールボックスを構成してから、[パッケージ] をクリックしてツールボックス インストール ファイルを作成します。

ツールボックス タスクの作成

ツールボックスを作成する最初の手順は、ツールボックス タスクを作成することです。その後、ツールボックス タスクを使用し、ツールボックスを構成してパッケージ化できます。

ツールボックス タスクを作成するには、次の 2 つの方法があります。

  • ツールボックス ファイルが既にプロジェクトに含まれている場合は、プロジェクトを開き、[プロジェクト] タブに移動して、[ツール] セクションで [ツールボックスのパッケージ化] をクリックします。MATLAB はプロジェクトと同じ名前でツールボックス タスクを作成し、デスクトップのドキュメント領域で開きます。

  • ファイルがプロジェクトにまだ含まれていない場合、[ホーム] タブに移動し、[環境] セクションの [アドオン][ツールボックスのパッケージ化] を選択します。[参照] をクリックしてツールボックス ファイルを含むフォルダーを選択し、[OK] をクリックします。MATLAB は、ファイルと、ツールボックスを構成するためのツールボックス タスクを含む新しいプロジェクトを作成します。選択したフォルダーに既にプロジェクトが含まれている場合は、代わりに既存のプロジェクトが使用されます。

ツールボックス タスクを閉じた後に再度開くには、[プロジェクト] タブに移動し、 [ツールボックスのパッケージ化] をクリックします。また、 [コンパイラ タスク マネージャー] をクリックして、プロジェクト内のすべてのツールボックス タスクを表示することもできます。

ツールボックス フォルダーの指定

[ツールボックス フォルダー] セクションには、ツールボックス フォルダーと、ツールボックス内のファイルのプレビューが表示されます。ツールボックス フォルダーを追加するには、[ツールボックス フォルダーを追加] ボタンをクリックします。ツールボックス フォルダーを追加した後に変更するには、[Change Toolbox Folder] ボタンをクリックします。

既定では、MATLAB はソース管理ファイルとプロジェクト リソース ファイルをツールボックスから除外します。また、ツールボックスに P コード ファイルと MATLAB コード ファイル (.m) が同じフォルダーの同じ名前で含まれている場合、MATLAB は、ツールボックスから .m ファイルを除外します。除外されたファイルをプレビューで表示するには、[Toggle Display of Exclusions] ボタンをクリックします。ツールボックスから他のファイルまたはフォルダーを除外するには、[Edit Exclusions] ボタンをクリックし、開いたテキスト ファイルにそれらを追加します。ツールボックスに関連するソース管理ファイルを除外することをお勧めします。

ツールボックス情報の指定

[ツールボックスの情報] セクションで、下表の説明に従ってツールボックスに関する情報を指定します。

ツールボックス フォルダーにパッケージ定義ファイルが含まれている場合、MATLAB は、ツールボックス タスクの作成時に、説明、概要、ツールボックス名などのパッケージ情報を使用して、ツールボックス情報フィールドの一部に自動的に事前入力します。その後、これらのフィールドをさらに編集できます。パッケージの詳細については、Create and Manage Packagesを参照してください。

ツールボックス情報フィールド説明
ツールボックス名

必要に応じてツールボックス名を入力します。既定では、ツールボックス名はツールボックス フォルダーの名前です。

Version

ツールボックスのバージョン番号を major.minor.bug.build の形式で入力します。bugbuild はオプションです。

作成者名、電子メール、会社

ツールボックス作成者の連絡先情報を入力します。

ツールボックス イメージ

セクションの左上隅にあるイメージをポイントし、[参照] をクリックしてツールボックスを表すイメージを選択します。イメージはプロジェクト フォルダー内になければなりません。

概要と説明

ツールボックスの概要と説明を入力します。[概要] テキストは簡潔にし、詳細は[説明] テキストに追加することをお勧めします。

ツールボックスの要件の確認

MATLAB は自動的にツールボックス ファイルを解析し、ツールボックスに含める要件を検出します。[Toolbox Requirements] セクションにそうした要件が表示されます。必要なファイルがツールボックスにすべて含まれるようにするために、下表の説明に従って検出された要件を確認し、必要に応じて警告を解決します。

[Toolbox Requirements] のフィールド説明
必須のアドオン

ツールボックスに必要なアドオンのリストを指定します。指定したアドオンは、ツールボックスのインストール時にダウンロードされ、インストールされます。MATLAB は、ツールボックスに必要と判別したアドオンをこのリストに自動的に入力し、既定でそれらをすべて指定します。ツールボックスと共にインストールしないアドオンがあれば除外できます。

MATLAB がリスト内のアドオンのインストール情報を検出できない場合、ダウンロード URL を入力しなければなりません。ダウンロード URL は MATLAB がアドオンをダウンロードしてインストールできる場所です。ツールボックスがインストールされると、MATLAB は指定された URL を使用してアドオンをインストールします。

検出された要件

ツールボックス フォルダー外にある、ツールボックスに必要なファイルのリストを指定します。MATLAB は、ツールボックスに必要と判別されたファイルを自動的にこのリストに入力し、既定でそれらをすべて指定します。ツールボックスに入れたくないファイルを除外するように選択できます。

依存関係アナライザーで解析を表示するには、[解析の表示] ボタンをクリックします。解析を再実行するには、[再解析] ボタンをクリックします。

出力設定の指定

[出力設定] セクションには、ツールボックス インストール ファイル (.mltbx) のファイル名とパスが表示されます。既定では、出力ファイル名はツールボックス名で、ファイルのパスはプロジェクト ルート フォルダー内の release フォルダーです。

ツールボックス インストール ファイルのファイル名とパスを変更するには、拡張子が .mltbx の新しいファイル名を入力し、[参照] をクリックして別の出力パスを選択します。

インストール操作の追加 (オプション)

[インストール操作] セクションには、MATLAB パスと Java クラスパスの設定、アプリのインストール、入門ガイドを開く操作など、ツールボックスのインストール時に行われる追加の操作が表示されます。下表の説明に従って、インストール操作を構成できます。

[インストール操作] のフィールド説明
MATLAB パス

ツールボックスのインストール時に、ユーザーの MATLAB パスに追加されるフォルダーのリストを指定します。既定では、リストには、プロジェクト パスに含まれるすべてのツールボックス フォルダーが含まれます。フォルダーがユーザーのパスに追加されないように、リストからそれらのフォルダーをクリアすることができます。ツールボックスのインストールのパスを管理するには、[プロジェクトのパスの管理] をクリックします。リストを既定のリストにリセットするには、[Restore Default Path] をクリックします。

Java Classpath

ツールボックスのインストール時にユーザーの Java® クラスパスに追加される Java ファイルのリストを指定します。ツールボックスをインストールすると、JAR ファイルは MATLAB セッションの間、動的パスに追加されます。ツールボックスのユーザーが MATLAB を再起動すると、JAR ファイルは静的パスに追加されます。

アプリ

ツールボックスに関連する、パブリッシュされた MATLAB のインストール可能なアプリを指定します。

  • 一緒にインストールしてユーザーの MATLAB アプリ ギャラリーに登録するアプリ (.mlapp ファイル) を指定するには、[追加] ボタンをクリックしてアプリを選択します。あるいは、[プロジェクト] パネルでファイルを右クリックし、[ラベルの追加] をクリックして、ツールボックス タスク メニューで [アプリ ギャラリー ファイル] ラベルを選択します。

  • ツールボックス フォルダーのすべての .mlappinstall ファイルがインストールされ、ユーザーの MATLAB アプリ ギャラリーに登録されます。

入門ガイド

ツールボックスの入門ガイドを指定します。ツールボックス タスクで入門ガイドを認識するには、ガイドを GettingStarted.mlx という名前のライブ スクリプトとしてツールボックス フォルダー内の doc サブフォルダーに含めます。次に、[プロジェクト] パネルでファイルを右クリックし、[ラベルの追加] をクリックして、ツールボックス タスク メニューで [入門ガイド] ラベルを選択します。あるいは、[追加] ボタンをクリックして、GettingStarted.mlx を生成および編集することもできます。

ツールボックスのユーザーは、[アドオン] パネルのツールボックスの [オプション] メニューから入門ガイドを表示できます。詳細については、アドオンの取得と管理を参照してください。

ツールボックスの移植性の構成

MATLAB は、ユーザーがツールボックスをインストールするときに [ツールボックスの移植性] セクションにある情報を使用します。サポートされていないプラットフォームや MATLAB リリースをユーザーが使用していることが原因で互換性チェックに失敗した場合、MATLAB に警告が表示されます。ただし、その場合でもユーザーはツールボックスをインストールできます。

[ツールボックスの移植性] のフィールド説明
サポートされているプラットフォーム

ツールボックスをサポートしているプラットフォームを指定します。ツールボックスにプラットフォーム固有のサードパーティ製ソフトウェア要件またはハードウェア要件があるかどうかを検討します。MATLAB Online™ は、イメージの取得や装置の制御に使用されるデバイスなどのハードウェアとやり取りを行うことができません。

リリースの互換性

ツールボックスをサポートしている MATLAB リリースを指定します。

サードパーティ ソフトウェアの追加 (オプション)

[サードパーティ ソフトウェア] セクションには、ユーザーがツールボックスをインストールしたときにユーザーのシステムにインストールされる追加のサードパーティ ソフトウェアの ZIP ファイルがリストされます。ツールボックスと一緒にインストールするサードパーティ ソフトウェアを追加するには、[追加] ボタンをクリックし、次のフィールドを指定します。

  • Software Name — インストール中にユーザーに表示する名前。

  • プラットフォーム — 追加ソフトウェアが実行されるプラットフォーム。

  • ダウンロード URL — 追加のソフトウェアを含む ZIP ファイルへの URL。プラットフォームごとに異なるダウンロード URL を指定するには、プラットフォームごとに個別のエントリを追加します。

  • ライセンス URL — インストール時にユーザーに表示する追加のソフトウェア ライセンス許諾の URL。ユーザーは、インストール時にライセンス許諾の確認と同意が求められます。ライセンス許諾に有効な URL を指定しなければなりません。

ユーザーがツールボックスをインストールすると、MATLAB は addons\Toolboxes\AdditionalSoftware フォルダー内にすべての追加のサードパーティ ソフトウェアをインストールします。addons はアドオンの既定のインストール フォルダーです。アドオンの既定のインストール フォルダーの場所に関する詳細については、アドオンの取得と管理を参照してください。

ツールボックスが、指定した追加のサードパーティ ソフトウェアのインストール フォルダーを参照するコードを含む場合、これらの参照を他のコンピューターに移植可能にしてください。この参照を、生成された関数 toolboxname\getInstallationLocation.mlx の呼び出しで置き換えます。ここで toolboxname はツールボックスの名前です。たとえば、mytoolbox という名前のツールボックスを作成して mysoftware という名前の追加のソフトウェアのインストール先を参照する場合は、以下のコードを

mysoftwarelocation = 'C:\InstalledSoftware\mysoftware\'
次のコードで置き換えます。
mysoftwarelocation = mytoolbox.getInstallationLocation('mysoftware')

ツールボックスのパッケージ化

ツールボックスを構成したら、次の手順に従ってツールボックス インストール ファイル (.mltbx) を作成します。

  1. ツールボックス タスクの上部にある [再解析] ボタンをクリックして、ツールボックスに問題がないか確認します。続行する前にすべてのエラーを解決します。

  2. ツールボックス タスクの右上隅にある [ツールボックスのパッケージ化] ボタンをクリックして、ツールボックス インストール ファイル (.mltbx) を作成します。MATLAB は、[出力設定] セクションで指定されたフォルダーにファイルを作成します。

ツールボックスの共有

ツールボックスを他のユーザーに共有するには、ツールボックス インストール ファイル (.mltbx) を他のユーザーに配布します。このファイルには、ツールボックスをパッケージ化したときに追加したファイルがすべて含まれています。エンド ユーザーがツールボックスをインストールすると、インストール ファイルによって MATLAB パスやその他のインストールの詳細が管理されます。

ツールボックスのインストール、アンインストール、および情報の表示の詳細については、アドオンの取得と管理を参照してください。

ツールボックスを他のユーザーに共有するには、ツールボックス インストール ファイルを電子メール メッセージに添付するほか、MATLAB Central File Exchange へのアップロードなどのファイル共有のための一般的な方法を使用できます。ツールボックスを File Exchange にアップロードすると、ユーザーは MATLAB 内からそのツールボックスをダウンロードできます。詳細については、アドオンの取得と管理を参照してください。

メモ

ツールボックス インストール ファイルには任意のファイルを指定して含めることができますが、MATLAB Central File Exchange にはファイル送信に関する追加的な制限事項があります。データ ファイルとイメージ ファイルはだいたい送信できます。ただし、ツールボックスに次のタイプのファイルが含まれている場合は、ツールボックスを File Exchange に送信できません。

  • MEX ファイル

  • DLL ファイルや ActiveX® コントロールなどのその他のバイナリ実行可能ファイル

以前のリリースで作成されたツールボックスのアップグレード

R2025a より前のリリースで作成されたツールボックスとそれに関連付けられた .prj ファイルがある場合、MATLAB はツールボックスをプロジェクト ワークフローに自動的にアップグレードできます。

ツールボックスをアップグレードするには、[ファイル] パネルで .prj ファイルをダブルクリックして開きます。MATLAB によって自動的にプロジェクトが作成され、ツールボックス ファイルおよび情報が新しいツールボックス タスクに追加されます。ツールボックス情報を確認してから、ツールボックスのパッケージ化で説明されているワークフローを使用してツールボックスをパッケージ化します。

参考

関数

トピック