AUTOSAR Adaptive ソフトウェア コンポーネントのモデル化
Simulink® では、AUTOSAR Adaptive Platform 向けのソフトウェア コンポーネントの構造と動作を柔軟にモデル化できます。
AUTOSAR Adaptive Platform は、外部のイベントや条件に柔軟に適応しなければならない車載コンポーネントのためのサービス指向アーキテクチャを定義します。AUTOSAR Classic Platform と比べて、Adaptive Platform には次のものが必要です。
複数のコアと異種混合のプロセッサ タイプを使用する可能性がある、高性能のコンピューティング。
イーサネットまたはオンチップ型ネットワークを使用する可能性がある、高速通信。
コンポーネント間での強力なサービスベースのやり取り。
実行中の車載アプリケーションを外部のイベントおよび情報ソース (可能性としては高度に自動化された運転に対応するため)、さらに外部通信、モニタリング、ライブ ソフトウェア更新に適応させる機能。
AUTOSAR Adaptive システムには、相互接続された複数の Adaptive ソフトウェア コンポーネントが含まれる可能性があります。Adaptive Platform、AUTOSAR Runtime for Adaptive Applications (ARA) によって定義されたランタイム環境に、Adaptive ソフトウェア コンポーネントを展開します。
AUTOSAR Adaptive ソフトウェア コンポーネントはサービスを提供し消費します。適応型サービス アーキテクチャは柔軟かつスケーラブルで、分散型です。サービスは動的に見つけることも、ローカルまたはリモートの電子コントロール ユニット (ECU) で実行することもできます。各ソフトウェア コンポーネントには次が含まれます。
受信したイベントに応答してタスクを実行する自動車用のアルゴリズム。
イベントの送受信に使用される、サービス インターフェイスにそれぞれ関連付けられた必要な端子および提供された端子。
イベントベースの通信とそれらに関連するイベントと名前空間のフレームワークを提供するサービス インターフェイス。
Simulink で AUTOSAR Adaptive ソフトウェア コンポーネントをモデル化するには、自動車用のアルゴリズムが含まれるモデルから始めます。そのモデルから、サービス インターフェイスを定義する AUTOSAR ディクショナリと、Simulink モデル要素を AUTOSAR コンポーネント要素にマッピングする AUTOSAR コード パースペクティブを生成します。Simulink で Adaptive コンポーネントをさらに詳細に開発および調整するときに、反復的にモデルをシミュレートおよびビルドすることができます。
コンポーネントの実装が完了したら、Adaptive ソフトウェア コンポーネント モデルをアプリケーション レベルのシミュレーション コンテナー モデルの他のコンポーネント モデルと組み合わせることができます。最終的な目標は、ARA 環境においてアプリケーションの一部としてコンポーネントを展開することです。
AUTOSAR Adaptive Platform に基づいてソフトウェア コンポーネントをモデル化するワークフローの概要を以下に示します。
空であるか、関数アルゴリズムが含まれている Simulink モデルを開きます。
[モデル コンフィギュレーション パラメーター] ダイアログ ボックスを使用して、AUTOSAR Adaptive コード生成のモデルを構成します。[システム ターゲット ファイル] を
autosar_adaptive.tlc
に設定します。AUTOSAR Adaptive ソフトウェア コンポーネントで使用するための、モデルのアルゴリズム コンテンツを開発します。モデルが空の場合、アルゴリズム内で作成またはコピーします。アルゴリズムの想定されるソースには、他の Simulink モデルのアルゴリズム要素が含まれます。例には、サブシステム、参照モデル、MATLAB Function ブロック、および C Caller ブロックが含まれます。
モデルの最上位レベルでイベントベースの通信を設定します。
各ルート入力端子の後に Event Receive ブロックを追加します。これにより、信号の値とデータ型を保持したまま、入力イベントが信号に変換されます。
各ルート出力端子の前に Event Send ブロックを追加します。これにより、信号の値とデータ型を保持したまま、入力信号がイベントに変換されます。
アルゴリズム モデルを AUTOSAR Adaptive ソフトウェア コンポーネントにマッピングします。たとえば、[アプリ] タブで [AUTOSAR コンポーネント デザイナー] をクリックします。モデルがマッピングされていないため、AUTOSAR コンポーネントのクイック スタートが開きます。
クイック スタートの手順に従います。[終了] をクリックしてモデルをマッピングします。AUTOSAR コードのパースペクティブでモデルが開きます。
AUTOSAR コード パースペクティブと AUTOSAR ディクショナリ (または同等の AUTOSAR のマップ関数とプロパティ関数) を使用して、AUTOSAR Adaptive モデル コンフィギュレーションを詳細に調整します。
AUTOSAR コード パースペクティブで、Simulink 入力端子および出力端子と、AUTOSAR の要求側ポートおよびイベントと提供側ポートおよびイベントとのマッピングを確認します。
AUTOSAR ディクショナリで、RequiredPorts、ProvidedPorts、および Service Interfaces の AUTOSAR プロパティを調べます。
サービス インターフェイス ノードを展開して、関連付けられた AUTOSAR イベントを調べたり、インターフェイス C++ コードの名前空間を定義したりすることができます。
AUTOSAR Adaptive ソフトウェア コンポーネント モデルをビルドします。モデルをビルドすると、次が生成されます。
AUTOSAR Adaptive Platform 用のモデル アルゴリズムを実装し、共有データ型定義を提供する C++ ファイル。
AUTOSAR Adaptive ソフトウェア コンポーネントの AUTOSAR XML 記述およびアプリケーション展開とサービス構成のマニフェスト情報。
メイン プログラム モジュールを実装する C++ ファイル。
AUTOSAR Runtime Adaptive (ARA) 環境のヘッダー ファイル。
実行可能ファイルの CMake 生成をサポートする
CMakeLists.txt
ファイル。
詳細については、AUTOSAR Adaptive ソフトウェア コンポーネントの設定を参照してください。
参考
関連する例
- AUTOSAR Adaptive ソフトウェア コンポーネントの設定
- AUTOSAR Adaptive ソフトウェア コンポーネントの作成と設定
- コード生成用の AUTOSAR Adaptive 要素のマッピング
- AUTOSAR Adaptive の要素とプロパティの設定
- AUTOSAR Adaptive サービス通信のモデル化
- AUTOSAR Adaptive コード生成の構成