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4 つの油圧シリンダーのシミュレーション

この例では、Simulink® を使用して 4 つの油圧シリンダーをもつモデルを作成する方法を示します。モデルには 1 つのポンプと 4 つのアクチュエータがあります。同じポンプ圧 p1 で各シリンダー アセンブリが駆動され、その流量の合計がポンプに負荷をかけます。4 つの制御バルブはそれぞれ個別に制御可能ですが、アクティブ サスペンション システムの場合がそうであるように、このモデルでは 4 つすべての制御バルブが同じコマンド (オリフィス面積がゼロから 0.002 sq.m へと線形増加) を受信します。

モデルをシミュレートするには、Simulink ツールストリップで [実行] をクリックします。このモデルは、MATLAB® ワークスペースの Simulink.SimulationOutput オブジェクト out に関連データのログを作成します。信号のログ データは sldemo_hydcyl4_output という構造体の out オブジェクト内に格納されます。ログが作成された信号には青いバッジが付きます。詳細については、信号ログ データの可視化およびアクセスを参照してください。

モデル パラメーター

ポンプ流量は 0.005 m3/sec から始まり、t=0.05 sec0.0025 m3/sec まで減少します。KA、および beta の個々の値を仮定することにより、4 つのシリンダーはそれぞれ異なる遷移応答を示します。次の表は、4 つのアクチュエータの特性を示しています。

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Parameter       |  Actuator1   Actuator2   Actuator3   Actuator4
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Spring Constant |  K           K/4         4K          K
Piston Area     |  Ac          Ac/4        4Ac         Ac
Bulk Modulus    |  Beta        Beta        Beta        Beta/1000
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Beta = 7e8  Pa  [fluid bulk modulus]
K    = 5e4  N/m [spring constant]
Ac   = 1e-3 m^2 [cylinder cross-sectional area]

面積とバネ定数の比はすべてのピストンで同じであるため、ピストンの定常状態出力もすべて同じはずです。各アクチュエータ サブシステムの主要な時定数は $\frac{A_c^2}{K}$ に比例します (これは次元解析から得られた結果です)。したがって、ピストン アセンブリ 2 はアセンブリ 1 よりも速いと予想できます。ピストン アセンブリ 3 はピストン アセンブリ 1 または 2 よりも遅いと予想されます。ピストン アセンブリ 4 は、空気の場合のように体積弾性率 Beta がかなり低いため、ピストン アセンブリ 4 はピストン アセンブリ 1 よりも反応が遅いと予想されます。

結果

以下のプロットは、シミュレーション時のピストン位置とポンプ供給圧を示したものです。

4 つのアクチュエータは t=0 に圧力のインパルスとして最初の流入を受け取ります。ポンプ圧 p1 は最初こそ高いものの、4 つの負荷からの流量需要が大きいため、急速に降下します。4 msec 頃の初期の過渡特性には、明らかに異なる応答によって各アセンブリ ユニットの個々の動的特性が識別されます。

パラメーター値で予測したとおり、アクチュエータ 2 はアクチュエータ 1 よりも速く反応します。これに比べて、3 番目と 4 番目のピストンは、同じ距離でより多くの作動流体を必要とするため、反応が大幅に遅れます。アクチュエータ 3 は、断面積が大きいため、ピストンが押しのける容積もより大きくなります。アクチュエータ 4 は、押しのけられる容積はアクチュエータ 1 と同じですが、続けて圧縮されるため、より多くの流体を必要とします。

ポンプ圧がシリンダー内のレベルに下がると、動作の違いはわかりにくくなります。個々の応答がシステム全体の応答へと一体化され、コンポーネント間の流量バランスが保持されます。t=0.05 sec で、ポンプ流量は平衡に近いレベルまで減少し、アクチュエータの流量は、ほぼゼロになります。個々の定常ピストン位置は、設計から予測したとおり、同じです。

参考

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