MATLAB

MATLAB と Python の主な違いは、Python は汎用プログラミング言語であるのに対し、MATLAB は工学および科学技術用途に使用できるコンピューティング プラットフォームであるという点です。

Python とは

Python は、Web 開発、エンタープライズ アプリケーション開発、データサイエンスなど、さまざまな用途に使用できる豊富なライブラリを備えた汎用プログラミング言語です。

MATLAB とは

MATLAB は、データ解析、信号処理および画像処理、制御システム、無線通信、ロボティクスなどの工学および科学技術用途に使用できるコンピューティング プラットフォームです。MATLAB には、プログラミング言語、対話型のアプリ、工学用途に高度に特化したライブラリ、組み込みコードを自動生成するツールが含まれています。MATLAB は、複雑なマルチドメイン システムをシミュレーションするブロック線図環境である Simulink の基盤にもなっています。

言語の比較

Python と MATLAB の言語は、対話的に使用したり (一度に単一のコマンド)、大規模なアプリケーションの開発に使用したりできます。どちらの言語もスクリプト記述、手続き、およびオブジェクト指向プログラミングをサポートしています。

Python は習得しやすく、さまざまなプログラミングタスクに使用できることから、プログラミングを習得したい人が最初に学習する言語として、Java にほぼ取って代わりました。MATLAB 言語は、言語の行列演算や配列指向により習得しやすく、工学的および科学的な問題解決への応用もしやすいため、多くのエンジニアや科学者が最初に (そして多くの場合唯一) 習得するプログラミング言語となっています。また、アプリやその他の対話型ツールでは MATLAB コードが自動生成されるため、初学者にはさらに学びやすくなっています。

ユーザー基盤

Python と MATLAB にはどちらも大規模なユーザー基盤がありますが、MATLAB のユーザー基盤は主にエンジニアと科学者が占めています。2022 年 5 月時点で、LinkedIn での検索結果は Python のユーザーが 760 万人MATLAB のユーザーは 410 万人でした。工学や科学の分野に携わっていない人の多くは、MATLAB が以下を含め非常に幅広いユーザーや組織に導入されていることに驚きます。

サポートとドキュメンテーション

Python ユーザーのほとんどは、Stack Overflow や同様のサイトを主なサポートの手段として使用しています。世界中に多くのユーザーがいるため、どんな質問に関しても解決に役立つディスカッションをオンラインで簡単に見つけたり、自らディスカッションを始めたりすることができます。docstring や個別の Web サイトから、Python や多くのライブラリに関するドキュメンテーションが入手できます。

MATLAB のライセンスには、無料のライブサポートが含まれているため、ユーザーは電話かメールで自分の特定のプロジェクトに関するサポートを MATLAB の専門家から受けることができます。また、世界中の MathWorks のエンジニアによる無料サポートも提供されており、利用できる技術を特定の用途、研究、授業向けに組み立てる最適な方法を判断するアドバイスも受けられます。MATLAB Answers では、Stack Overflow に似た MATLAB 専用のオンライン Q&A フォーラムも提供しています。さらに MATLAB には、あらゆる MATLAB および Simulink 製品に関して、専門家が執筆したドキュメンテーション、ユーザーが作成したパッケージ向けのヘルプ、MATLAB Answers やビデオなどのさらなるオンラインリソースを組み込んだ統合ドキュメンテーション システムが含まれています。

コスト

Python や Python ライブラリのほとんどは無料でダウンロードや使用ができますが、多くのユーザーは有料サービスで Python を使用しています。有料サービスは、セキュリティ、ライセンス、アクセス制御など、オープンソース ソフトウェアの使用に伴うリスクを IT 組織が管理する上で役立ちます。また、パッケージでの配布やホスト経由での配布も利用できるため、互換性のあるバージョンのライブラリを使用して Python のインストールを設定する負担がほぼなくなります。

MATLAB は無料ではありませんが、一般的なイメージより手頃でコストもかかりません。約 800 万人のユーザーが学校、研究機関、職場を通じて MATLAB を制限なく利用しています。これには、工学や科学の学位が取得できる世界中のほとんどの大学が含まれます。組織はエンジニアや科学者に特定の用途向けに設計されたツールを提供することによる生産性の向上の価値を認識しているため、MATLAB への投資を選択しています。

MATLAB と Python の併用

多くの人は MATLAB と Python のどちらを選ぶべきかとまず考えます。しかし多くの場合、実際には MATLAB Python の併用が最適です。MATLAB と Python の併用により、それぞれの環境の最適な機能を活用することができます。たとえば、以下を行うことができます。

Python Climate Data Store API をラップすることで Climate Data Store のデータを MATLAB で読み取るためのカスタム ツールボックスの作成。

Climate Data Store Toolbox for MATLAB

TensorFlow または PyTorch でディープ ニューラル ネットワークの学習を行うための、MATLAB の特定用途向けの信号処理機能をデータ前処理パイプラインに統合する音声コマンド認識アルゴリズムの開発。

音声コマンド認識のための PyTorch および TensorFlow の協調実行

TensorFlow モデルを Simulink の車両全体シミュレーションに統合し、Simulink Coder で組み込み C コードを生成することによる、電気自動車向けのバッテリー充電状態推定器の開発と展開。

シミュレーションとコード生成用に TensorFlow モデルを Simulink に統合 (5:47)

Gustavo Sanchez

「オープンソースでのみできて、MATLAB ではできないことがあるという話を聞くこともありますが、結局のところツールはツールです。… MATLAB はオープンソースと統合できるので、私たちは両方を使用しています」

Gustavo Sanchez, Pandata Tech