MATLAB が「Initializing」または「Busy」と表示されたまま長時間動かない場合、ライセンスの問題が発生している可能性があります。この記事では以下の情報を提供します。
- ライセンスの問題かどうか?
- ライセンスによる問題の解決策
- ライセンスの問題以外の解決策
ライセンスの問題かどうか?
起動が遅い原因がライセンスの問題かどうかを確認するには、「-c」スタートアップフラグを使用して MATLAB の起動を試します。スタートアップフラグを使用して MATLAB を起動するには、コマンドプロンプトまたはターミナルウィンドウを開き、MATLAB のexeファイルパス、「-c」フラグ、動作確認するライセンスファイルのパスを入力します。以下の例を参照してください。
Windows:
"$MATLAB\bin\win64\MATLAB.exe" -c <full_path_to_license_file or port@host>
Linux または Mac:
./matlab -c <full_path_to_license_file or port@host>
注意: $MATLAB は MATLAB のルートディレクトリです。シンボリックリンクが作成されていない場合は、$MATLAB/bin/ から実行してください。
既存のライセンスファイルの格納場所は、
の MATLAB Answer を参照してください。
上記の起動方法で問題が解決する場合、ライセンスが原因である可能性が高いです。問題が解決しない場合、下にスクロールして「ライセンス以外の解決策」を参照してください。
ライセンスによる問題の解決策
ライセンスの問題は、ライセンス検索パス上に不正または意図しないファイルがある、ライセンスサーバーの接続経路に問題がある、または環境変数 LM_LICENSE_FILE や MLM_LICENSE_FILE の設定値に問題があります。環境変数とその設定方法については、以下の記事を参照してください。 MATLAB は不正なファイルを読み取る際や、ライセンス サーバーとの通信経路に問題がある場合、動作の遅延が発生する可能性があります。またライセンスサーバーへの接続の際に通信が可能であっても、ライセンス マネージャーのサービスが稼働していない場合、この問題が発生する可能性があります。さらに、ライセンスの借用時に借用元のネットワークを離れた場合も、MATLAB の起動が遅れることがあります。
以下の手順に従って問題を解決してください。
1. 問題のあるライセンスファイルまたは環境変数を特定します。
MATLAB が起動したら、ライセンスのチェックアウトテストを実行し、どのライセンスファイルが問題であるかを特定します。以下のコマンドは、見つかったライセンスパスとチェックアウトに費やした時間を一覧に表示します。
matlab.internal.licensing.pathTest % (現在のライセンス検索パスをテストします)
matlab.internal.licensing.pathTest(<path_To_Test>) % (特定のライセンス検索パスをテストします)
※注意:Individual ライセンスは、MATLAB がこのライセンスから正常にチェックアウトできていても「Report Not Available」というメッセージを表示します。ネットワークライセンスではこのエラーは発生しません。
R2017a より前のリリースでは上記テストコマンドが使用できず、手動で問題のファイルを見つける必要があります。MATLAB がライセンスファイルを見つけるために利用する全検索パスを確認するには、以下のコマンドを実行してください。
検索パス内のすべてのライセンスファイルを特定したら、疑わしいライセンスファイル(例: network.licファイル)の削除を試します。
2. 問題のあるライセンスファイルを削除するか、IT 部門ご担当者様と協力してネットワークの問題を解決します。
アクセスできないネットワークの場所を指しているライセンスファイル (network.lic) や環境変数は削除する必要があります。
また、アクセス可能だが起動の遅延を引き起こしているネットワークの場所を指している場合は、 IT 部門のご担当者様と協力して問題の原因を特定します。比較的多くの場合、セキュリティソフトウェアや Firewall が原因となります。
ライセンスの問題以外の解決策
解決策 1
基本設定フォルダの破損により MATLAB の起動が失敗する事があります。以下の記事を参考の上、MATLAB の基本設定フォルダを再作成してみてください。
解決策 2
設定フォルダーと同様に、以下の MATLAB フォルダーが問題を引き起こすことがあります。
C:\Users\%username%\AppData\Local\MathWorks\MATLAB\R2XXXx
解決するには、R2XXXx フォルダーの名前を変更または削除し、新しい R2XXXx を作成します。
注意: R2XXXx は MATLAB のリリースに対応しています。
解決策 3
一部のケースでは、バックグラウンドで動作しているセキュリティソフトウェアが MATLAB を遅くすることがあります。これらのユーザーにとって、少なくとも MATLAB ディレクトリに対する「リアルタイムスキャン」オプションを無効にすると、起動が速くなることがあります。
以下のディレクトリをセキュリティソフトウェアの除外リストに追加してみてください。
- MATLAB インストールディレクトリ: MATLAB がインストールされている場所。
- MATLAB 設定ディレクトリ: C:\Users\%username%\AppData\Roaming\MathWorks\MATLAB
- MATLAB ローカルディレクトリ: C:\Users\%username%\AppData\Local\MathWorks\MATLAB
解決策 4
MATLAB の起動が遅い場合、ネットワークに接続している事が原因である可能性があります。ネットワークを一時的に無効にして、MATLAB が正常に起動するかどうかを確認します。これにより、ネットワーク関連の問題が原因であるかどうかを特定できます。
解決策 5
MATLAB のスタートアップオプションを変更して、起動時に特定の動作をスキップすることができます。たとえば、MATLAB の起動時にデフォルトのスタートアップフォルダーを変更するには、MATLAB ショートカットのプロパティを変更し、ターゲット欄に以下のオプションを追加します。
-sd desired_startup_directory
これにより、起動時に特定のディレクトリに移動することで、起動時間を短縮できます。
解決策 6
MATLAB の起動時に読み込むツールボックスやアドオンが原因で遅延が発生している可能性があります。以下の手順で、スタートアップ時に読み込むアドオンを確認し、不要なものを無効化または削除してみてください。
- MATLAB を起動します。
- 「アドオン」メニューから「アドオン マネージャー」を選択します。
- 不要なアドオンを無効化または削除します。
これにより、起動時間が短縮される可能性があります。
解決策 7
MATLAB のログファイルを確認して、起動時のエラーや警告を特定することができます。ログファイルは通常、以下のディレクトリに保存されています。
- Windows: C:\Users\%username%\AppData\Local\Temp\matlab_crash_dump.*
- Linux: /tmp/matlab_crash_dump.*
- Mac: /Users/%username%/Library/Logs/CrashReporter/matlab_crash_dump.*
ログファイル内のエラーメッセージを確認し、問題の原因を特定する手がかりを確認します。
解決策 8
MATLAB の内部ファイルが破損している場合、再インストールを行うことで問題が解決することがあります。以下の手順で MATLAB を再インストールしてください。
- 現在インストールされた MATLAB をアンインストールします。
- インストーラーを使用して、再インストールを行います。
- インストール後、ライセンス認証を再度行います。
再インストール後に問題が解決するかどうかを確認してください。