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クイック ループ調整

目的

制御システム調整器において、ループ整形アプローチを使用して SISO または MIMO フィードバック ループを調整します。

説明

クイック ループ調整を使用すると、開ループのゲイン交差および安定余裕の要件を満たすようにシステムを調整できます。その際、これらの要件を取得する調整目標を明示的に作成する必要はありません。ループを形成するアクチュエータ信号 (制御) およびセンサー信号 (測定) を指定することで、開ループ ゲインを整形するフィードバック ループを指定します。アクチュエータ信号はプラントを駆動する信号です。センサー信号はコントローラーにフィードバックされるプラント出力です。

ターゲット ループの帯域幅、目的のゲイン余裕と位相余裕を入力します。また、高速ダイナミクスを排除するために、調整されたシステムの極配置に対する制約を指定することもできます。制御システム調整器は、仕様を取得する調整目標を自動的に作成し、積分動作を必ずターゲット ループの帯域幅以下の周波数で実行します。

作成

制御システム調整器[調整] タブで、[新規目標][クイック ループ調整] を選択してループ整形要件を指定します。

コマンド ラインにおける同等の操作

コマンド ラインで制御システムを調整するときは、ループ整形のアプローチを使用してフィードバック ループを調整するために looptune (for slTuner) または looptune を使用します。

フィードバック ループ選択

ダイアログ ボックスのこのセクションを使用して、調整目標を評価するための入力、出力およびループ開始点の位置を指定します。

  • アクチュエータ信号の指定 (制御)

    モデルの 1 つ以上の信号をアクチュエータ信号として指定します。これらの信号は、プラントを駆動する入力信号です。SISO フィードバック ループを調整するには、単一値の入力信号を選択します。MIMO ループを調整するには、複数の信号またはベクトル値の信号を選択します。

  • センサー信号の指定 (測定)

    モデルの 1 つ以上の信号をセンサー信号として指定します。これらの信号は、コントローラーにフィードバックを提供するプラント出力です。SISO フィードバック ループを調整するには、単一値の入力信号を選択します。MIMO ループを調整するには、複数の信号またはベクトル値の信号を選択します。

  • 次の開ループの応答の計算

    制御および測定の信号で定義されたループを調整するために、フィードバック ループを開く位置を追加指定します。

    クイック ループ調整では、制御および測定の信号で定義されたループの開ループ応答が調整されます。このループに対する仕様を、開いているシステムの他のフィードバック ループに適用する場合は、ダイアログ ボックスのこのセクションでループ開始点の位置を指定します。たとえば、内側と外側にループをもつカスケード ループ制御システムを調整している場合、外側のループが開いた状態で内側のループを調整することがあります。

ヒント

Simulink® モデル内で選択された任意の信号を強調表示するには、 をクリックします。入力リストまたは出力リストから信号を削除するには、 をクリックします。複数の信号を選択した場合、 および を使用してそれらの信号を並べ替えることができます。調整目標のために信号の位置を指定する方法の詳細については、対話型調整の目標の指定を参照してください。

目的の目標

ダイアログ ボックスのこのセクションを使用して、調整されたシステムに対して目的とする特性を指定します。制御システム調整器はこれらの特性をループ整形、余裕および極の目標に変換します。

  • ターゲット ゲイン交差領域

    開ループ ゲインが 0 dB をまたぐ周波数範囲を指定します。周波数範囲をモデルの周波数単位で表した形式 [min,max] の行ベクトルとして指定します。あるいは、単一のターゲット周波数 wc を指定する場合は、ターゲット範囲は [wc/10^0.1,wc*10^0.1] または wc ± 0.1 decade となります。

  • ゲイン余裕 (dB)

    目的のゲイン余裕をデシベル単位で指定します。MIMO フィードバック ループでは、この要件により、すべてのフィードバック チャネルについてゲイン変動の安定性が保証されます。ゲインはすべてのチャネルで同時に変化する可能性があり、また、各チャネルで異なる変化量となることがあります。ディスク余裕の詳細については、Stability Analysis Using Disk Margins (Robust Control Toolbox)を参照してください。

  • 位相余裕 (度)

    目的の位相余裕を度単位で指定します。MIMO フィードバック ループでは、この要件により、すべてのフィードバック チャネルについて位相変動の安定性が保証されます。位相はすべてのチャネルで同時に変化する可能性があり、また、各チャネルで異なる変化量となることがあります。ディスク余裕の詳細については、Stability Analysis Using Disk Margins (Robust Control Toolbox)を参照してください。

  • 次の領域内部の極の保持

    調整されたシステムの閉ループ極に関する最小 decay 率と最大固有振動数を指定します。開ループ応答の特性が他のクイック ループ調整オプションによって指定されている場合でも、これらの仕様は閉ループ ダイナミクスに適用されます。

    入力する最小 decay 率によって、閉ループの極配置は次のように制約されます。

    • Re(s) < -mindecay (連続時間システムの場合)。

    • log(|z|) < -mindecay*Ts (サンプル時間が Ts の離散時間システムの場合)。

    入力する最大周波数によって、連続時間システムの |s| < maxfreq、あるいはサンプル時間 Ts の離散時間システムの |log(z)| < maxfreq*Ts を満たすように、閉ループ極が制約されます。この制約によって、閉ループ システムの高速ダイナミクスが回避されます。

オプション

ダイアログ ボックスのこのセクションを使用して、追加の特性を指定します。

  • 目標を適用

    たとえば、Simulink モデルを異なる操作点またはブロックパラメーター値で線形化することによって得られるモデルの配列などの複数のモデルを同時に調整している場合、このオプションを使用します。既定では、アクティブな調整目標がすべてのモデルに適用されます。調整要件を配列内の一部のモデルに適用するには、[モデルのみ] を選択します。次に目標を適用するモデルの配列インデックスを入力します。たとえば、モデル配列の中の 2 番目、3 番目、4 番目のモデルに調整目標を適用する必要があると仮定します。要件の適用を制限するには、[モデルのみ] テキスト ボックスに 2:4 と入力します。

    複数モデルの調整の詳細については、Robust Tuning Approaches (Robust Control Toolbox)を参照してください。

アルゴリズム

制御システム調整器looptuneSetup (for slTuner) または looptuneSetup を使用して、クイック ループ調整の仕様を調整目標に変換します。

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