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バッチ線形化とは

"バッチ線形化" とは、I/O、操作点およびパラメーター値のさまざまな組み合わせのモデルから複数の線形化を抽出することです。バッチ線形化では、Simulink® モデルあるいはモデルの一部の時間領域、周波数領域および安定性特性を、変動する操作条件やパラメーター範囲のもとで解析できます。バッチ線形化の結果は、パラメーターの変化に対し堅牢なコントローラーの設計や、さまざまな操作条件に対するゲイン スケジュール コントローラーの設計に使用できます。また、バッチ線形化の結果を使用して、Control System Toolbox™ の LPV System ブロックを使用する非線形システムの線形パラメーター変動 (LPV) 近似を実装することも可能です。

バッチ線形化のさまざまなタイプを把握するために、次のような磁気ボール浮遊モデル magball について考えます。このモデルの詳細については、magball Simulink モデルを参照してください。

次の任意の組み合わせを変化させて、このモデルをバッチ線形化できます。

  • I/O セット — 異なる I/O を使用してモデルを線形化し、任意の閉ループまたは開ループ伝達関数を取得します。

    magball モデルでは、さまざまな I/O セットの指定によって次のような伝達関数を抽出できます。

    • 磁気ボール プラント モデル、コントローラー モデル

    • Reference Signal からプラント出力 h への閉ループ伝達関数

    • コントローラーと磁気ボール プラントの組み合わせに対する開ループ伝達関数。つまり、フィードバック ループが開いている Error Signal から h への伝達関数

    • Magnetic Ball Plant ブロックの出力端子で取得される、出力外乱の抑制モデルまたは感度伝達関数

  • 操作点 — 非線形モデルでは、モデルのダイナミクスは操作条件によって異なります。非線形モデルをさまざまな操作点で線形化して、モデルのダイナミクスにどの程度の変化があるかを調査したり、さまざまな操作条件でコントローラーを設計したりすることができます。

    モデルのダイナミクスが操作点によって変化する例として、角度位置と速度を状態にもつ、単純な束縛のないぶら下げられた振子について考えます。このモデルには 2 つの平衡点があります。1 つは振子が下向きにぶら下がるときで、これは安定しています。もう 1 つは振子が上を向いているときで、これは不安定です。安定した操作点の近くで線形化すると安定したモデルが生成され、不安定な操作点の近くでこのモデルを線形化すると不安定なモデルが生成されます。

    magball モデルでは、状態としてボールの高さを使用し、最初のボールの高さを変化させて複数の線形化を取得できます。

  • パラメーター — パラメーターは Simulink モデルを複数の方法で構成します。たとえば、パラメーターを使用して、モデル係数またはコントローラーのサンプル時間を指定できます。Multiport Switch ブロックへの制御入力など、離散パラメーターを使用してモデル内のデータ パスを制御することも可能です。そのため、パラメーターを変化させると、そのパラメーターがモデルにどのように影響するかに応じて、さまざまな目的を果たすことができます。

    magball モデルでは、PID Controller ブロック Controller/PID Controller のパラメーターを変化させることができます。これらのパラメーターを変化させて得られた線形化は、コントローラーが制御システムのダイナミクスにどのように影響するかを示します。また、磁気ボール プラント パラメーター値を変化させて、プラント モデル内の変化に対するコントローラーのロバスト性を特定できます。さらに、入力ブロック Desired Height のパラメーターを変化させて、モデル応答の入力レベルの変化による影響を調べることもできます。

    パラメーターがモデルの操作点に影響する場合、パラメーター サンプルを使用してモデルをバッチ平衡化してから、その結果の操作点でモデルをバッチ線形化できます。

参考

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