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モデルを準備する目的

モデルを準備する主な目的は、モデルをリアルタイム対応にすることです。次の両方を満たしている場合、モデルはリアルタイム対応です。

  • 理論モデルと実測データに基づく予測と一致するシミュレーション結果を生成するのに十分な精度がある

  • オーバーランを発生させずにリアルタイム ターゲット マシンで動作するのに十分な速度がある

モデルを準備する際には、参照結果を取得し、ステップ サイズを決定して、モデルがリアルタイム対応かどうかの見込みを評価します。モデルがリアルタイム対応である見込みが低い場合は、モデルのスコープや忠実度を調整して、モデルのリアルタイム シミュレーションを実行できるようにします。

参照結果の取得

デスクトップ シミュレーションからリアルタイム シミュレーションへのモデルの移行は反復的なプロセスで、場合によってはモデルの大幅な再構成が必要になります。モデルを準備する際には、元のモデルの可変ステップ シミュレーションから参照結果を取得します。この結果が、修正したモデルの精度を判定する基準になります。

ステップ サイズの決定

速度の観点からは、モデルがリアルタイム対応かどうかを判断する唯一の方法は、リアルタイム ハードウェアでのシミュレーションの実行中にオーバーランが発生しないかテストすることです。ただし、デスクトップ シミュレーションを使用してソルバーの速度を解析することで、モデルがリアルタイム シミュレーションに十分な速度を備えている可能性があるかどうかを判断することはできます。そのためには、可変ステップ ソルバーのステップを解析し、十分に精度の高いリアルタイム シミュレーション結果を得ることができる最大ステップ サイズを探します。必要なステップ サイズが、リアルタイム ハードウェア上でオーバーランを発生させるほど小さいと思われる場合、シミュレーション速度を上げてステップ サイズを大きくします。

モデルの忠実度やスコープの調整

モデルの忠実度やスコープを調整して、速度や精度を上げることができます。以下のような調整方法があります。

  • ブロックを削除または追加するか、あるいはブロック パラメーターを修正して、数値的剛性を引き起こしたり不連続点の原因となったりする要素の影響を取り除くか軽減する。シミュレーションでは、この種の要素の解を正しく計算するために、小さいステップが使用されます。

  • 要素またはパラメーターを修正し、シミュレーションの効率を上げる。たとえば、処理能力を過剰に必要とするグラフィックスを簡略化する、既知の値の計算に処理能力を使う代わりにルックアップ テーブルを含める、などがあります。

  • モデルの独立したネットワークを分割して、並列処理を可能にする。

また、ソルバー設定の調整は、モデルをリアルタイム対応にするのに役立ちます。ターゲット ハードウェア上のリアルタイム シミュレーションには、固定ステップ、固定コストのソルバーを使用して、計算コストの範囲を限定します。計算コストとは、ソルバーで各タイム ステップの実行にかかる時間です。ソルバーをリアルタイム ターゲット マシンに展開する前に、ソルバー パラメーターを構成します。ステップ サイズ、ソルバーの種類、反復回数など、固定ステップ ソルバー設定を調整すると、モデルのリアルタイム対応の実現性を向上できます。

オプションの数が多いため、リアルタイム シミュレーションを達成するために適切なモデル サイズ、モデルの忠実度、ソルバー パラメーターの組み合わせを探すのは難しい作業です。また、速度と精度の関係も、モデルをリアルタイム対応にするシステム構成とソルバー構成の両方を見つけることを難しくする要因の 1 つです。速度を上げると、精度が下がる可能性があります。逆に、精度を上げると、速度が下がる傾向があります。固定ステップ ソルバー設定を変更しながら、モデルの忠実度とスコープを調整しようとすると、許容できる速度と精度を得ることが特に難しくなります。最適な構成を探すための、より優れたアプローチは、関連する設定の 1 つまたは 2 つのみを変更し、これらの変更がシミュレーションの速度と精度に与える影響を解析してから、他の調整を行うことです。

リアルタイム モデルの準備のワークフローとリアルタイム シミュレーション ワークフローによって、構成の変更が 2 つの異なる段階的なプロセスに分割されます。リアルタイム モデルの準備のワークフローでは、モデルのサイズまたは忠実度のみを調整し、可変ステップ シミュレーションを使用して変更による効果を解析します。リアルタイム シミュレーション ワークフローでは、ソルバーのパラメーターのみを調整し、固定ステップ、固定コストのシミュレーションを使用して、変更がモデルの速度と精度に与える影響を解析します。

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