fmincon
でのコード生成の背景
コード生成とは
コード生成とは、MATLAB® Coder™ を使用した、MATLAB コードから C コードへの変換です。コード生成には、MATLABCoder ライセンスが必要です。
コード生成は通常、MATLAB を実行していないハードウェアにコードを展開するために使用します。たとえば、動きや計画を最適化するために fmincon
を使用して、ロボットにコードを展開できます。
例については、fmincon のコード生成を参照してください。他の最適化ソルバーでのコード生成については、fsolve のコード生成、quadprog のコード生成、またはlsqcurvefit または lsqnonlin の用のコード生成を参照してください。
コード生成の要件
fmincon
は、関数codegen
(MATLAB Coder) または MATLAB Coder アプリを使用したコード生成をサポートしています。コードを生成するには MATLAB Coder ライセンスが必要です。ターゲット ハードウェアは、標準的な倍精度浮動小数点計算をサポートしていなければなりません。単精度計算や固定小数点計算のコードは生成できません。
コード生成ターゲットは、MATLAB ソルバーと同じ数学カーネル ライブラリを使用しません。そのため、コード生成解法は、特に、条件付けが不十分な問題の場合に、ソルバー解法と異なる可能性があります。
生成用のコードはすべて、MATLAB コードでなければなりません。特に、カスタム ブラックボックス関数を
fmincon
の目的関数として使用することはできません。coder.ceval
を使用して、C または C++ でコード化されたカスタム関数を評価することはできます。ただし、そのカスタム関数は MATLAB 関数内で呼び出さなければなりません。コード生成の場合、
fmincon
はproblem
引数をサポートしていません。[x,fval] = fmincon(problem) % Not supported
string や文字名ではなく、関数ハンドルを使用して、目的関数と非線形制約関数を指定しなければなりません。
x = fmincon(@fun,x0,A,b,Aeq,beq,lb,ub,@nonlcon) % Supported % Not supported: fmincon('fun',...) or fmincon("fun",...)
fmincon
の入力行列 (A
、Aeq
、lb
、ub
など) はすべてフル (非スパース) でなければなりません。関数full
を使用することで、スパース行列を非スパースに変換できます。lb
引数とub
引数は、x0
引数と同じ数のエントリを持つか、空の[]
でなければなりません。ターゲット ハードウェアが無限境界をサポートしていない場合は、
optim.coder.infbound
を使用します。組み込みプロセッサを使用する高度なコード最適化には、Embedded Coder® ライセンスも必要です。
fmincon
のオプションを含め、関数optimoptions
を使用して指定しなければなりません。オプションにはAlgorithm
オプションを含め、'sqp'
または'sqp-legacy'
に設定しなければなりません。options = optimoptions('fmincon','Algorithm','sqp'); [x,fval,exitflag] = fmincon(fun,x0,A,b,Aeq,beq,lb,ub,nonlcon,options);
コード生成では次のオプションをサポートしています。
Algorithm
—'sqp'
または'sqp-legacy'
でなければなりませんConstraintTolerance
FiniteDifferenceStepSize
FiniteDifferenceType
MaxFunctionEvaluations
MaxIterations
ObjectiveLimit
OptimalityTolerance
ScaleProblem
SpecifyConstraintGradient
SpecifyObjectiveGradient
StepTolerance
TypicalX
生成コードでは、オプションに対して限られたエラー チェックしか行われません。オプションの更新方法として、ドット表記ではなく、
optimoptions
を使用することを推奨します。opts = optimoptions('fmincon','Algorithm','sqp'); opts = optimoptions(opts,'MaxIterations',1e4); % Recommended opts.MaxIterations = 1e4; % Not recommended
オプションはファイルから読み込まないでください。そうした場合、コード生成に失敗することがあります。代わりに、コード内でオプションを作成してください。
通常、サポートされていないオプションを指定すると、コード生成の際にそのオプションは暗黙的に無視されます。ただし、ドット表記を使用してプロット関数や出力関数を指定すると、コード生成でエラーが発生することがあります。信頼性を確保するために、サポートされているオプションのみを指定してください。
出力関数とプロット関数はサポートされていないため、
fmincon
は終了フラグ –1 を返しません。fmincon
から生成されたコードでは、返されたoutput
構造体内にbestfeasible
フィールドがありません。
非マルチスレッドな生成コード
既定では、MATLAB 環境外で使用するために生成されたコードは、非マルチスレッドな線形代数ライブラリを使用します。したがって、このコードの実行速度は、MATLAB 環境のコードよりも著しく低速になる可能性があります。
ターゲット ハードウェアに複数のコアが搭載されている場合、カスタム マルチスレッド LAPACK および BLAS ライブラリを使用することにより、パフォーマンスの向上が期待できます。これらのライブラリを生成コードに組み込むには、生成されたスタンドアロン コードでの LAPACK 呼び出しを使用した線形代数の高速化 (MATLAB Coder)を参照してください。
参考
fmincon
| codegen
(MATLAB Coder) | optimoptions
| optim.coder.infbound