結果を調査して競合を解決
データ型の変換で説明されているように固定小数点ツールでデータ型が推奨された後、[結果の詳細] ペインを使用して各推奨を調べることができます。このペインには、データ型が推奨された根拠と、信号のヒストグラム プロットが表示されます。ここでは、潜在的な問題またはエラーの説明と解決方法の提案も表示されます。詳細を表示するには、[結果] スプレッドシートで、推奨されたデータ型をもつオブジェクトを選択します。[結果の詳細] ペインが、選択した結果に関係する情報を含めて更新されます。
推奨されたデータ型の概要
[推定されたデータ型の概要] セクションには、推奨されたデータ型が現在指定されているオブジェクトのデータ型とどのように異なるかが示されます。固定小数点ツールでデータ型が推奨されない場合は、ここにその根拠が提示されます。たとえば、データ型がロックされ、固定小数点ツールで変更できない場合があります。
[結果の詳細] ペインのこの部分には、データ型の伝播ルールによって、選択したオブジェクトが、モデル内の他のオブジェクト データ型と同じデータ型を使用しなければならないかについての情報も示します。たとえば、Merge ブロックへの入力には、同じデータ型が必要です。そのため、これらの入力に接続するブロックの出力は、同じデータ型を使用しなければなりません。同様に、バーチャル バスの同じ要素によって接続されているブロックは同じデータ型を使用しなければなりません。
[同じデータ型を共有する要素の強調表示] をクリックすると、モデル内でデータ型を共有しているオブジェクトが強調表示されます。この強調表示をクリアするには、モデルを右クリックして [強調表示の削除] を選択します。
固定小数点ツールは、同じデータ型を使用しなければならないオブジェクトにタグを割り当てます。このツールでは、オブジェクトの [DTGroup] 列にこのタグが表示されます。[DTGroup] 列を表示するには、列追加ボタン をクリックし、[DTGroup] を選択します。
一部の Simulink® ブロックは、一部の端子で特定のデータ型のみを受け入れます。[結果の詳細] ペインのこの部分では、選択したオブジェクトを接続先とするブロックに含まれるデータ型の制約が、そのオブジェクトに推奨されたデータ型に影響を与えることもわかります。
[推定されたデータ型の概要] セクションには、推奨されたデータ型の情報のテーブルも表示されます。
項目 | 説明 |
---|---|
推奨されたデータ型 | このオブジェクトに対して固定小数点ツールが推奨したデータ型および推奨されたデータ型が表現可能な値の最小値と最大値 |
指定したデータ型 | オブジェクトが指定するデータ型 |
必要な注意
このセクションには、データ型の推奨に関連する問題とエラーの可能性のリストが表示され、問題の説明とその解決方法に関する提案が表示されます。
![]() | 警告メッセージを示します |
![]() | エラー メッセージを示します |
範囲情報
この節では、データ型の推奨に影響を与えるモデル オブジェクトの属性の表を示します。
項目 | 説明 |
---|---|
設計 | [出力の最大値] パラメーターや [出力の最小値] パラメーターなど、オブジェクトによって指定される設定上の最大値と最小値 |
シミュレーション | シミュレーション中に生じる最大値と最小値 |
共有値
データ型を推奨する際、固定小数点ツールはモデル オブジェクトが相互に課すデータ型の要件を満たそうとします。たとえば、Sum ブロックには、すべての入力で同じデータ型を必要とするオプションがあります。その結果、表には選択したオブジェクトへの推奨に影響する他のモデル オブジェクトの属性も一覧表示される場合があります。その場合、この表には以下の種類の共有値が表示されます。
初期値 — モデル オブジェクトの中には、信号の初期値を指定するためのパラメーターが用意されているものがあります。たとえば、Constant ブロックにはブロックの出力信号を初期化するための [定数値] パラメーターがあります。固定小数点ツールは初期値を使用して、設計およびシミュレーションの範囲が使用できないモデル オブジェクトのデータ型を推奨します。データ型の依存性により、初期値が隣接するオブジェクトの推奨に与える影響が判定されます。
モデル要求パラメーター — モデル オブジェクトの中には、出力値を計算するために数値パラメーターを指定しなければならないものがあります。たとえば、n-D Lookup Table ブロックの [テーブル データ] パラメーターでは、ブロックでルックアップを実行して出力を生成するために必要な値を指定します。データ型を推奨する際、固定小数点ツールはモデルが要求するこのパラメーター値が隣接するオブジェクトの推奨に与える影響を考慮します。
結果を調べて競合を解決
[結果] スプレッドシートで、ブロック アイコンがある列の列ヘッダーをクリックします。この操作で、推奨されたデータ型と競合するすべての結果がリストの最上部に表示されるように結果がソートされます。
各オブジェクトで起こる可能性のある問題が、色別にリストに表示されます。
推奨されたデータ型でこのオブジェクトに問題は発生しません。
推奨されたデータ型は、このオブジェクトで問題を引き起こす可能性があります。
推奨されたデータ型をこのオブジェクトに適用すると、データ型エラーが発生します。
各エラーを確認して修正します。エラーのある結果を選択し、スプレッドシートのブロック アイコンをダブルクリックして Simulink エディター内で結果を強調表示します。[結果の詳細] ペインの [注意点] セクションの情報を使用して競合を解決します。
[結果の詳細] ペインの警告を確認し、必要に応じて問題を修正します。
Simulink モデルを変更した場合は、ベースライン データ、復元ポイント、および準備のチェックが最新でありません。[新規] ボタンをクリックして
[固定小数点の反復的変換]
を選択し、更新されたデータの新規の解析を開始します。[設定] ペインを確認し、[準備] をクリックして新しい復元ポイントを作成してから、[範囲の収集] ボタンをクリックしてシミュレーションを再実行するか新しい範囲を派生させます。新しいデータ型の推奨を生成するには、[データ型の推奨] をクリックします。推奨を生成するには、[データ型を推定]
をクリックします。
これで、推奨されたデータ型をモデルに適用する準備ができました。詳細については、推奨されたデータ型の適用を参照してください。