時間スコープ測定値
この例では、パルス幅変調正弦波のパフォーマンス特性の測定方法を示します。この例に含まれるモデルを編集することにより、立ち上がり時間、立ち下がり時間、オーバーシュート、アンダーシュート、パルス幅、パルス周期およびデューティ比の測定値に対するパラメーターの変更の影響を見ることができます。この例では、立ち上がりエッジ トリガーもモデル化しており、基本的な統計演算 (平均値、中央値、RMS、最大値、最小値) を実行し、カーソルとピーク検出を使用してパルス周期の周波数と周期を測定できます。
このモデル例には、複数の測定値とそれらに対応する設定が含まれています。[モデルを開く] ボタンを使用して、TimeScopeMeasurements
のモデル例を開きます。
トリガー
Noisy Sinusoid ブロックは、トリガーを使用してノイズを含む正弦波を表示領域で安定させる方法を示します。Noisy Sinusoid ブロックをダブルクリックすると、正弦波の作成される仕組みを確認できます。
正弦波信号は、トリガーが有効になっている Time Scope ブロックに送られます。
マーカーを表示領域内でドラッグして、トリガー位置を実験できます。エッジの立ち上がりまたは立ち下がりをトリガーにできます。この例には 0.1 V のヒステリシスが含まれており、ノイズの存在下で正弦波を安定させるのに役立ちます。このヒステリシスにより、立ち上がり遷移を登録するまで、信号は確実にトリガー レベルより少なくとも 0.1 V 下で遷移するようになります。
トリガーを閉じると、正弦波が画面上に固定されなくなります。トリガー アイコンをクリックすると、トリガーを元に戻すことができます。
パルス幅変調ソースの測定
この例では、パルス幅変調ソースが測定値を含む複数の時間スコープに接続されています。
モデル内でソースをクリックすると、ソースを表示できます。
このモデルでは、目的の正弦波にバイアスを適用し、続いて周期的なノコギリ波を減算することで正弦波パルス幅変調を構築します。次に、結果の波形は比較器に送られ、パルスの形状が形成されます。次に、信号にノイズが付加され、その信号が不足減衰の応答とともにフィルターに送られます。
Random Source ブロックをクリックし、ガウス分布の分散を変更することで、入力の加法性ノイズの量を変更できます。
同様に、フィルターの係数を変更して応答を変更できます。
遷移
[バイレベル測定] ダイアログ ボックスの [遷移] パネルを表示することによって、波形の立ち上がり遷移および立ち下がり遷移に関する基本情報を確認できます。
結果を表示すると、パルスの高電圧レベルは +1 V、低電圧レベルは -1 V であることがわかります。
このイメージは、立ち上がり時間と立ち下がり時間が約 340 ns である、2 つの立ち上がり (正) エッジと 2 つの立ち下がり (負) エッジを示しています。波形の一方のエッジにのみズームインすると、そのエッジのみの測定値を見ることができます。
パルスのエッジはかなり急峻で、スルー レートは約 4 V/us です。この例では、このレートを達成するために不足減衰のフィルターを使用しています。過減衰フィルターに変更すると、各パルスのエッジがパルス レベル間で遷移できるレートが減少します。不足減衰のフィルターの出力は、低と高の状態を切り替えた後、ただちに大幅なリンギングを示します。このリンギング動作を定量化するために、[オーバーシュート/アンダーシュート] リストの測定値を使用できます。
オーバーシュートとアンダーシュート
[バイレベル測定] ダイアログ ボックスには、減衰率の低い環境に関係する測定値も含まれます。[オーバーシュート/アンダーシュート] リストを開くと、遷移の逸脱を確認できます。
立ち上がりエッジの平均オーバーシュートは約 42% です。アンダーシュートは 34% です。オーバーシュートが大きいと、小さい電圧範囲のみを受け入れるように設計された論理デバイスを破壊する場合があります。アンダーシュートが大きいと、デバイスが無効な論理状態を検出する原因になることがあります。この例では、遷移は平均 7.3 マイクロ秒以内に収束します。
変調ソースの出力で、フィルター係数によって実験的に調整することで、リンギングの量を削減できます。
パルス サイクル
[バイレベル測定] ダイアログ ボックスの [サイクル] リストを展開すると、パルス幅とデューティ比が時間の関数として変化する様子も表示できます。
この例では、正極性パルスが 3 つ示されていますが、負極性パルスは 2 つしか示されていません。パルスの周波数は 10 kHz です。デューティ比とパルス幅の経時変化を見ることで、エンコードされた正弦波を観察できます。
ピークの検出
あるいは、[ピークの検出] ダイアログ ボックスから、大きなピークの振幅と時間を測定することもできます。
各オーバーシュートの先端の電圧は約 1.8 V で、最初のパルスの次に大きいリンギング成分は 1.14 V です。
[設定] パネルを拡大し、表示するピーク数を変更します。高さまたはピーク間の距離に基づいてフィルター処理することもできます。ディスプレイに表示される注釈のテキストも変更できます。
カーソルの測定
カーソルの測定を使用して、波形のイベント間の相対的な距離を測定できます。各パルスの最初にカーソルを置き、パルスの周期が 10 kHz であることを確認します。
カーソルを画面の任意の場所に移動させたり、他の信号の場所を測定したりする設定を試します。矢印キーでカーソルを動かしたり、カーソルを最も近いデータ点またはスクリーン ピクセルのいずれかにスナップしたりできます。
信号統計
[信号の統計] 測定ダイアログ ボックスを使用して、取得した波形の基本的な信号統計を表示できます。
表示された信号の最大値と最小値およびその他の信号指標 (ピーク間の値、平均値、中央値、RMS 値など) を観測できます。
参考文献
IEEE Std.181-2003 IEEE Standard on Transitions, Pulse, and Related Waveforms