深層学習を使用した化学的プロセスの故障検出
この例では、シミュレーション データを使用して、化学的プロセスの故障を検出できるニューラル ネットワークに学習させる方法を説明します。このネットワークは、シミュレートされたプロセス内にある故障を高い精度で検出します。一般的なワークフローを以下に示します。
データの前処理
層アーキテクチャの設計
ネットワークの学習
検証の実行
ネットワークのテスト
データ セットのダウンロード
この例では、Tennessee Eastman Process (TEP) シミュレーション データ [1] から MathWorks® によって変換された MATLAB 形式のファイルを使用します。これらのファイルは、MathWorks のサポート ファイルのサイトで入手できます。免責事項を参照してください。
データ セットは、故障なし学習、故障なしテスト、故障あり学習、故障ありテストの 4 つのコンポーネント で構成されます。各ファイルを別々にダウンロードします。
url = 'https://www.mathworks.com/supportfiles/predmaint/chemical-process-fault-detection-data/faultytesting.mat'; websave('faultytesting.mat',url); url = 'https://www.mathworks.com/supportfiles/predmaint/chemical-process-fault-detection-data/faultytraining.mat'; websave('faultytraining.mat',url); url = 'https://www.mathworks.com/supportfiles/predmaint/chemical-process-fault-detection-data/faultfreetesting.mat'; websave('faultfreetesting.mat',url); url = 'https://www.mathworks.com/supportfiles/predmaint/chemical-process-fault-detection-data/faultfreetraining.mat'; websave('faultfreetraining.mat',url);
ダウンロードしたファイルを MATLAB® ワークスペースに読み込みます。
load('faultfreetesting.mat'); load('faultfreetraining.mat'); load('faultytesting.mat'); load('faultytraining.mat');
各コンポーネントには、2 つのパラメーターのすべての順列について実行されたシミュレーションからのデータが含まれています。
故障番号 — 故障ありのデータ セットの場合、シミュレートされた各故障を表す 1 ~ 20 の整数値。故障なしのデータ セットの場合、値は 0。
シミュレーション実行回数 — すべてのデータ セットについて、1 ~ 500 の整数値。各値は、シミュレーションで使用する乱数発生器の一意の状態を表します。
各シミュレーションの長さはデータ セットに依存します。すべてのシミュレーションが 3 分ごとにサンプリングされました。
学習データ セットには、25 時間のシミュレーションから得られた 500 個の時間サンプルが含まれています。
テスト データ セットには、48 時間のシミュレーションで得られた 960 回分のサンプルが含まれています。
各データ フレームの列には次の変数が格納されています。
列 1 (
faultNumber
) は故障タイプを示し、0 ~ 20 の値を取ります。故障番号 0 は故障がないことを意味し、故障番号 1 ~ 20 は TEP 内の異なる故障タイプを表します。列 2 (
simulationRun
) は、完全なデータを取得するために TEP シミュレーションを実行した回数を示します。学習データ セットとテスト データ セットでは、すべての故障番号について実行数が 1 ~ 500 の範囲で変動します。各simulationRun
の各値は、そのシミュレーションの異なる乱数発生器の状態を表します。列 3 (
sample
) は、シミュレーションごとに TEP 変数を記録した回数を表します。この回数は、学習データ セットでは 1 ~ 500、テスト データ セットでは 1 ~ 960 の範囲で変動します。TEP 変数 (列 4 ~ 55) は、3 分ごとに、学習データ セットの場合は 25 時間、テスト データ セットの場合は 48 時間にわたってサンプリングされています。列 4 ~ 44 (
xmeas_1
~xmeas_41
) には、測定された TEP 変数が格納されます。列 45 ~ 55 (
xmv_1
~xmv_11
) には、TEP の操作変数が格納されます。
2 つのファイルのサブセクションを調べます。
head(faultfreetraining,4)
faultNumber simulationRun sample xmeas_1 xmeas_2 xmeas_3 xmeas_4 xmeas_5 xmeas_6 xmeas_7 xmeas_8 xmeas_9 xmeas_10 xmeas_11 xmeas_12 xmeas_13 xmeas_14 xmeas_15 xmeas_16 xmeas_17 xmeas_18 xmeas_19 xmeas_20 xmeas_21 xmeas_22 xmeas_23 xmeas_24 xmeas_25 xmeas_26 xmeas_27 xmeas_28 xmeas_29 xmeas_30 xmeas_31 xmeas_32 xmeas_33 xmeas_34 xmeas_35 xmeas_36 xmeas_37 xmeas_38 xmeas_39 xmeas_40 xmeas_41 xmv_1 xmv_2 xmv_3 xmv_4 xmv_5 xmv_6 xmv_7 xmv_8 xmv_9 xmv_10 xmv_11 ___________ _____________ ______ _______ _______ _______ _______ _______ _______ _______ _______ _______ ________ ________ ________ ________ ________ ________ ________ ________ ________ ________ ________ ________ ________ ________ ________ ________ ________ ________ ________ ________ ________ ________ ________ ________ ________ ________ ________ ________ ________ ________ ________ ________ ______ ______ ______ ______ ______ ______ ______ ______ ______ ______ ______ 0 1 1 0.25038 3674 4529 9.232 26.889 42.402 2704.3 74.863 120.41 0.33818 80.044 51.435 2632.9 25.029 50.528 3101.1 22.819 65.732 229.61 341.22 94.64 77.047 32.188 8.8933 26.383 6.882 18.776 1.6567 32.958 13.823 23.978 1.2565 18.579 2.2633 4.8436 2.2986 0.017866 0.8357 0.098577 53.724 43.828 62.881 53.744 24.657 62.544 22.137 39.935 42.323 47.757 47.51 41.258 18.447 0 1 2 0.25109 3659.4 4556.6 9.4264 26.721 42.576 2705 75 120.41 0.3362 80.078 50.154 2633.8 24.419 48.772 3102 23.333 65.716 230.54 341.3 94.595 77.434 32.188 8.8933 26.383 6.882 18.776 1.6567 32.958 13.823 23.978 1.2565 18.579 2.2633 4.8436 2.2986 0.017866 0.8357 0.098577 53.724 43.828 63.132 53.414 24.588 59.259 22.084 40.176 38.554 43.692 47.427 41.359 17.194 0 1 3 0.25038 3660.3 4477.8 9.4426 26.875 42.07 2706.2 74.771 120.42 0.33563 80.22 50.302 2635.5 25.244 50.071 3103.5 21.924 65.732 230.08 341.38 94.605 77.466 31.767 8.7694 26.095 6.8259 18.961 1.6292 32.985 13.742 23.897 1.3001 18.765 2.2602 4.8543 2.39 0.017866 0.8357 0.098577 53.724 43.828 63.117 54.357 24.666 61.275 22.38 40.244 38.99 46.699 47.468 41.199 20.53 0 1 4 0.24977 3661.3 4512.1 9.4776 26.758 42.063 2707.2 75.224 120.39 0.33553 80.305 49.99 2635.6 23.268 50.435 3102.8 22.948 65.781 227.91 341.71 94.473 77.443 31.767 8.7694 26.095 6.8259 18.961 1.6292 32.985 13.742 23.897 1.3001 18.765 2.2602 4.8543 2.39 0.017866 0.8357 0.098577 53.724 43.828 63.1 53.946 24.725 59.856 22.277 40.257 38.072 47.541 47.658 41.643 18.089
head(faultytraining,4)
faultNumber simulationRun sample xmeas_1 xmeas_2 xmeas_3 xmeas_4 xmeas_5 xmeas_6 xmeas_7 xmeas_8 xmeas_9 xmeas_10 xmeas_11 xmeas_12 xmeas_13 xmeas_14 xmeas_15 xmeas_16 xmeas_17 xmeas_18 xmeas_19 xmeas_20 xmeas_21 xmeas_22 xmeas_23 xmeas_24 xmeas_25 xmeas_26 xmeas_27 xmeas_28 xmeas_29 xmeas_30 xmeas_31 xmeas_32 xmeas_33 xmeas_34 xmeas_35 xmeas_36 xmeas_37 xmeas_38 xmeas_39 xmeas_40 xmeas_41 xmv_1 xmv_2 xmv_3 xmv_4 xmv_5 xmv_6 xmv_7 xmv_8 xmv_9 xmv_10 xmv_11 ___________ _____________ ______ _______ _______ _______ _______ _______ _______ _______ _______ _______ ________ ________ ________ ________ ________ ________ ________ ________ ________ ________ ________ ________ ________ ________ ________ ________ ________ ________ ________ ________ ________ ________ ________ ________ ________ ________ ________ ________ ________ ________ ________ ________ ______ ______ ______ ______ ______ ______ ______ ______ ______ ______ ______ 1 1 1 0.25038 3674 4529 9.232 26.889 42.402 2704.3 74.863 120.41 0.33818 80.044 51.435 2632.9 25.029 50.528 3101.1 22.819 65.732 229.61 341.22 94.64 77.047 32.188 8.8933 26.383 6.882 18.776 1.6567 32.958 13.823 23.978 1.2565 18.579 2.2633 4.8436 2.2986 0.017866 0.8357 0.098577 53.724 43.828 62.881 53.744 24.657 62.544 22.137 39.935 42.323 47.757 47.51 41.258 18.447 1 1 2 0.25109 3659.4 4556.6 9.4264 26.721 42.576 2705 75 120.41 0.3362 80.078 50.154 2633.8 24.419 48.772 3102 23.333 65.716 230.54 341.3 94.595 77.434 32.188 8.8933 26.383 6.882 18.776 1.6567 32.958 13.823 23.978 1.2565 18.579 2.2633 4.8436 2.2986 0.017866 0.8357 0.098577 53.724 43.828 63.132 53.414 24.588 59.259 22.084 40.176 38.554 43.692 47.427 41.359 17.194 1 1 3 0.25038 3660.3 4477.8 9.4426 26.875 42.07 2706.2 74.771 120.42 0.33563 80.22 50.302 2635.5 25.244 50.071 3103.5 21.924 65.732 230.08 341.38 94.605 77.466 31.767 8.7694 26.095 6.8259 18.961 1.6292 32.985 13.742 23.897 1.3001 18.765 2.2602 4.8543 2.39 0.017866 0.8357 0.098577 53.724 43.828 63.117 54.357 24.666 61.275 22.38 40.244 38.99 46.699 47.468 41.199 20.53 1 1 4 0.24977 3661.3 4512.1 9.4776 26.758 42.063 2707.2 75.224 120.39 0.33553 80.305 49.99 2635.6 23.268 50.435 3102.8 22.948 65.781 227.91 341.71 94.473 77.443 31.767 8.7694 26.095 6.8259 18.961 1.6292 32.985 13.742 23.897 1.3001 18.765 2.2602 4.8543 2.39 0.017866 0.8357 0.098577 53.724 43.828 63.1 53.946 24.725 59.856 22.277 40.257 38.072 47.541 47.658 41.643 18.089
データのクリーンアップ
学習データ セットとテスト データ セットの両方で、故障番号が 3、9 および 15 のデータ エントリを削除します。これらの故障番号は認識が不可能で、関連するシミュレーション結果は誤りです。
faultytesting(faultytesting.faultNumber == 3,:) = []; faultytesting(faultytesting.faultNumber == 9,:) = []; faultytesting(faultytesting.faultNumber == 15,:) = []; faultytraining(faultytraining.faultNumber == 3,:) = []; faultytraining(faultytraining.faultNumber == 9,:) = []; faultytraining(faultytraining.faultNumber == 15,:) = [];
データの分割
検証用に学習データの 20% を予約することによって、学習データを学習データと検証データに分割します。検証データ セットを使用すると、モデルのハイパーパラメーターを調整しながら、学習データ セットへのモデルの適合を評価できます。データの分割は、ネットワークの過適合や適合不足を防ぐためによく使用されます。
故障ありと故障なしの両方の学習データ セットで、行の総数を取得します。
H1 = height(faultfreetraining); H2 = height(faultytraining);
シミュレーション実行数は、特定の故障タイプで TEP プロセスを繰り返した回数です。学習データ セットとテスト データ セットの両方から、最大のシミュレーション実行数を取得します。
msTrain = max(faultfreetraining.simulationRun); msTest = max(faultytesting.simulationRun);
検証データについて最大のシミュレーション実行数を計算します。
rTrain = 0.80; msVal = ceil(msTrain*(1 - rTrain)); msTrain = msTrain*rTrain;
サンプルまたはタイム ステップの最大数 (つまり、TEP シミュレーション中にデータが記録された最大の回数) を取得します。
sampleTrain = max(faultfreetraining.sample); sampleTest = max(faultfreetesting.sample);
故障なしと故障ありの学習データ セットで分割点 (行番号) を取得して、学習データ セットから検証データ セットを作成します。
rowLim1 = ceil(rTrain*H1); rowLim2 = ceil(rTrain*H2); trainingData = [faultfreetraining{1:rowLim1,:}; faultytraining{1:rowLim2,:}]; validationData = [faultfreetraining{rowLim1 + 1:end,:}; faultytraining{rowLim2 + 1:end,:}]; testingData = [faultfreetesting{:,:}; faultytesting{:,:}];
ネットワークの設計と前処理
最終データ セット (学習データ、検証データ、およびテスト データで構成) には、500 個の等間隔のタイム ステップをもつ 52 個の信号が格納されています。そのため、信号つまりシーケンスを正しい故障番号に分類する必要があるため、これはシーケンス分類の問題となります。
長短期記憶 (LSTM) ネットワークは、シーケンス データの分類に適しています。
LSTM ネットワークは、新しい信号を分類するために過去の信号の一意性を記憶する傾向があるため、時系列データに向いています。
LSTM ネットワークでは、シーケンス データをネットワークに入力し、シーケンス データの個々のタイム ステップに基づいて予測を行うことができます。LSTM ネットワークの詳細については、長短期記憶ニューラル ネットワークを参照してください。
関数
trainnet
を使用してシーケンスを分類するようにネットワークを学習させるには、最初にデータを前処理しなければなりません。データは cell 配列でなければなりません。ここで cell 配列の各要素は 1 回のシミュレーションに含まれる 52 個の信号のセットを表す行列です。cell 配列の各行列は、TEP の特定のシミュレーションの信号セットであり、故障ありまたは故障なしのいずれかにできます。信号の各セットは 0 ~ 20 の範囲の特定の故障クラスを指しています。
データ セット セクションで前述したように、データには 52 個の変数が格納されており、その値はシミュレーションにおいて特定の時間にわたって記録されます。変数 sample
は、この 52 個の変数が 1 回のシミュレーション実行で記録される回数を表します。変数 sample
の最大値は、学習データ セットでは 500、テスト データ セットでは 960 です。したがって、シミュレーションごとに、長さが 500 または 960 の 52 個の信号のセットが存在します。信号の各セットは、TEP の特定のシミュレーション実行に属し、範囲 0 ~ 20 の特定の故障タイプを指します。
学習データセットとテスト データセットは両方とも各故障タイプについて 500 個のシミュレーションを含みます。学習データから 20% が検証用に保持されるため、学習データ セットには各故障タイプにつき 400 個のシミュレーション、検証データには各故障タイプにつき 100 個のシミュレーションが残ります。補助関数 helperPreprocess
を使用して信号のセットを作成します。ここで各セットは、1 回の TEP シミュレーションを表す cell 配列の単一要素に含まれる double 行列です。そのため、学習データ セット、検証データ セット、およびテスト データ セットの最終的なサイズは次のようになります。
Xtrain
のサイズ: (シミュレーションの総数) X (故障タイプの総数) = 400 X 18 = 7200XVal
のサイズ: (シミュレーションの総数) X (故障の種類の総数) = 100 X 18 = 1800Xtest
のサイズ: (シミュレーションの総数) X (故障の種類の総数) = 500 X 18 = 9000
データ セットにおいて、最初の 500 回のシミュレーションは故障タイプが 0
(故障なし) であり、それ以降の故障ありのシミュレーションの順序はわかっています。この情報により、学習データ セット、検証データ セット、およびテスト データ セットに対する真の応答の作成が可能になります。
Xtrain = helperPreprocess(trainingData,sampleTrain); Ytrain = categorical([zeros(msTrain,1);repmat([1,2,4:8,10:14,16:20],1,msTrain)']); XVal = helperPreprocess(validationData,sampleTrain); YVal = categorical([zeros(msVal,1);repmat([1,2,4:8,10:14,16:20],1,msVal)']); Xtest = helperPreprocess(testingData,sampleTest); Ytest = categorical([zeros(msTest,1);repmat([1,2,4:8,10:14,16:20],1,msTest)']);
データ セットの正規化
正規化は、値の範囲内の差異を歪めることなく、データ セット内の数値を共通の尺度にスケーリングする手法です。この手法によって、大きな値をもつ変数が学習中に他の変数の優位にならないようにします。また、学習に必要となる重要な情報を失うことなく、大きな範囲の数値を小さな範囲 (通常 –1 ~ 1) に変換します。
学習データ セットに含まれるすべてのシミュレーションからのデータを使用して、52 個の信号の平均と標準偏差を計算します。
tMean = mean(trainingData(:,4:end)); tSigma = std(trainingData(:,4:end));
補助関数 helperNormalize
を使用して、学習データの平均と標準偏差に基づき、3 つのデータ セット内の各 cell に正規化を適用します。
Xtrain = helperNormalize(Xtrain, tMean, tSigma); XVal = helperNormalize(XVal, tMean, tSigma); Xtest = helperNormalize(Xtest, tMean, tSigma);
データの可視化
Xtrain
データ セットには、400 回の故障なしシミュレーション、その後に 6800 回の故障ありシミュレーションが含まれます。故障なしのデータと故障ありのデータを可視化します。最初に、故障なしのデータのプロットを作成します。この例の目的上、Xtrain
データ セット内の 10 個の信号のみをプロットしてラベルを付け、読みやすい Figure を作成します。
figure; splot = 10; plot(Xtrain{1}(:,1:10)); xlabel("Time Step"); title("Training Observation for Non-Faulty Data"); legend("Signal " + string(1:splot),'Location','northeastoutside');
次に、400 以降の任意の cell 配列要素をプロットして、故障なしのプロットと故障ありのプロットを比較します。
figure; plot(Xtrain{1000}(:,1:10)); xlabel("Time Step"); title("Training Observation for Faulty Data"); legend("Signal " + string(1:splot),'Location','northeastoutside');
層アーキテクチャと学習オプション
LSTM 層は、入力シーケンスの重要な部分のみを記憶する傾向があるため、シーケンス分類に適しています。
入力層
sequenceInputLayer
を入力信号の数 (52) と同じサイズに指定します。3 つの LSTM 隠れ層を指定し、それぞれ 52 個、40 個、25 個のユニットをもたせます。この指定は、[2] で行った実験からヒントを得ています。LSTM ネットワークを使用したシーケンス分類の詳細については、深層学習を使用したシーケンスの分類を参照してください。
過適合を防ぐため、LSTM 層の間に 3 つのドロップアウト層を追加します。ドロップアウト層は、ネットワークが層内の少数のニューロンのセットから影響を受けないよう、指定の確率でランダムに次の層の入力要素をゼロに設定します。
最後に、分類のために、出力クラスの数 (18) と同じサイズの全結合層を含めます。全結合層の後に、複数クラス問題の各クラスに小数の確率値 (予測可能性) を割り当てるソフトマックス層を含めます。
numSignals = 52; numHiddenUnits2 = 52; numHiddenUnits3 = 40; numHiddenUnits4 = 25; numClasses = 18; layers = [ ... sequenceInputLayer(numSignals) lstmLayer(numHiddenUnits2,'OutputMode','sequence') dropoutLayer(0.2) lstmLayer(numHiddenUnits3,'OutputMode','sequence') dropoutLayer(0.2) lstmLayer(numHiddenUnits4,'OutputMode','last') dropoutLayer(0.2) fullyConnectedLayer(numClasses) softmaxLayer];
trainnet
を使用する学習オプションを設定します。
名前と値のペア 'ExecutionEnvironment'
の既定値を 'auto'
のままにします。この設定では、ソフトウェアが実行環境を自動的に選択します。既定では、trainnet
は利用可能な GPU があればそれを使用し、そうでない場合は CPU を使用します。GPU で学習を行うには、Parallel Computing Toolbox™ とサポートされている GPU デバイスが必要です。サポートされているデバイスについては、GPU 計算の要件 (Parallel Computing Toolbox)を参照してください。この例は大量のデータを使用するため、GPU を使用すると学習時間が大幅に短縮されます。
名前と値の引数のペア 'Shuffle'
を 'every-epoch'
に設定すると、すべてのエポックで同じデータが破棄されるのを回避できます。
深層学習の学習オプションの詳細については、trainingOptions
を参照してください。
maxEpochs = 40; miniBatchSize = 50; options = trainingOptions('adam', ... 'ExecutionEnvironment','auto', ... 'GradientThreshold',1, ... 'MaxEpochs',maxEpochs, ... 'MiniBatchSize', miniBatchSize,... 'Shuffle','every-epoch', ... 'Verbose',0, ... 'Plots','training-progress',... 'ValidationData',{XVal,YVal});
ネットワークの学習
trainnet
を使用して LSTM ネットワークに学習させます。
net = trainnet(Xtrain,Ytrain,layers,"crossentropy",options);
学習進行状況の図は、ネットワークの精度のプロットを示しています。図の右側で、学習時間と設定に関する情報を確認します。
ネットワークのテスト
テスト セットで学習済みネットワークを実行し、信号内の故障タイプを予測します。minibatchpredict
を使用してテスト データのスコアを取得し、そのスコアを各ラベルに変換します。
scores = minibatchpredict(net,Xtest); Ypred = scores2label(scores,unique(Ytrain));
精度を計算します。この精度は、Ypred
内の分類に一致するテスト データ内の真のラベルの数を、テスト データ内のイメージの数で除算したものです。
acc = sum(Ypred == Ytest)./numel(Ypred)
acc = 0.9997
高い精度は、ニューラル ネットワークが未知の信号の故障タイプを最小限の誤差で正しく特定できたことを示します。そのため、精度が高いほど、ネットワークは優れたものとなります。
テスト信号の真のクラス ラベルを使用して混同行列をプロットし、ネットワークが各故障をどの程度適切に特定しているかを判定します。
confusionchart(Ytest,Ypred);
混同行列を使用すると、分類ネットワークの有効性を評価できます。混同行列は、主対角に数値、それ以外の場所に 0 をもちます。この例の学習済みネットワークは有効であり、信号の 99% 以上を正しく分類します。
参考文献
[1] Rieth, C. A., B. D. Amsel, R. Tran., and B. Maia. "Additional Tennessee Eastman Process Simulation Data for Anomaly Detection Evaluation." Harvard Dataverse, Version 1, 2017. https://doi.org/10.7910/DVN/6C3JR1.
[2] Heo, S., and J. H. Lee. "Fault Detection and Classification Using Artificial Neural Networks." Department of Chemical and Biomolecular Engineering, Korea Advanced Institute of Science and Technology.
補助関数
helperPreprocess
補助関数 helperPreprocess
は、最大サンプル番号を使用してデータを前処理します。サンプル番号は信号長を示し、これはデータ セット全体で一貫しています。データ セットに対して信号長のフィルターを含む for ループを実行し、52 個の信号のセットを生成します。各セットは cell 配列の要素です。各 cell 配列は 1 回のシミュレーションを表します。
function processed = helperPreprocess(mydata,limit) H = size(mydata,1); processed = {}; for ind = 1:limit:H x = mydata(ind:(ind+(limit-1)),4:end); processed = [processed; x]; %#ok<AGROW> end end
helperNormalize
補助関数 helperNormalize
は、データ、平均、および標準偏差を使用してデータを正規化します。
function data = helperNormalize(data,m,s) for ind = 1:size(data,1) data{ind} = (data{ind} - m)./s; end end
参考
lstmLayer
| trainnet
| trainingOptions
| dlnetwork
| sequenceInputLayer