C++ 開発環境の設定
MATLAB® 関数を統合する C++ 開発環境を設定するには、いくつかのツールが必要です。最初に、関数を記述するために MATLAB が必要です。次に、これらの MATLAB 関数からデプロイ可能な関数を作成するために、MATLAB Compiler SDK™ が必要です。これらのデプロイ可能な関数を C++ アプリケーションと統合するために、C++ 開発環境が必要です。オプションとして、MATLAB 自体を使用してクロスプラットフォームの C++ 開発を行う方法、Windows® で Microsoft® Visual Studio® を使用する方法、または Visual Studio Code と CMake を使用して複数のプラットフォームにわたって開発を行う方法があります。
前提条件
デプロイする MATLAB 関数を記述します。
compiler.build.cppSharedLibrary
関数または C++ 共有ライブラリ コンパイラ アプリを使用して、MATLAB 関数を含むデプロイ可能な C++ 共有ライブラリを作成します。
C++ 開発用の MATLAB デスクトップの設定 (Windows、Linux、macOS)
MATLAB コマンド プロンプトで次を実行して、C++ アプリケーションで使用する C++ コンパイラを構成します。
mbuild -setup
mbuild
ユーティリティは、C++ コンパイラを構成することに加え、MATLAB Compiler SDK で生成された C++ 共有ライブラリを統合するアプリケーションをコンパイルおよびリンクします。そのオプション ファイルでは、アプリケーションのビルドに使用するコンパイラとリンカーの設定を指定します。MATLAB エディターを使用して、C++ アプリケーション コードを作成します。
compiler.build.cppSharedLibrary
関数または C++ 共有ライブラリ コンパイラ アプリを使用して、デプロイ可能な C++ 共有ライブラリを MATLAB 関数から作成します。関数
mbuild
を使用して、MATLAB Compiler SDK C++ 共有ライブラリに対して C++ アプリケーション コードをコンパイルおよびリンクします。mbuild <cppApplicationSourceCode>.cpp -v (MATLAB Data API) mbuild <cppApplicationSourceCode>.cpp <compilerSDKGeneratedLibrary>.lib -v (mwArray API)
C++ 開発用の Microsoft Visual Studio の設定 (Windows のみ)
Visual Studio で新しい C++ プロジェクトを作成します。C++ コンソール アプリケーションを作成する場合は [コンソール アプリ] を選択します。それ以外の場合は、該当するプロジェクト タイプを選択します。
[ソリューション エクスプローラー] でプロジェクト ノードを右クリックして [プロパティ] を選択し、プロジェクトのプロパティにアクセスします。
プロジェクト プロパティ ページで [プラットフォーム] が
[x64]
に設定されていることを確認します。プロジェクト プロパティ ページの左側のペインから、プロジェクトのプロパティを構成します。
構成手順 MATLAB データ配列を使用する場合 mwArray を使用する場合 追加インクルード ディレクトリ [C/C++]、[全般] で、[追加インクルード ディレクトリ] フィールドに次のディレクトリを追加します。
MATLAB で設定している場合:
C:\Program Files\MATLAB\R2025b\extern\include
MATLAB Runtime で設定している場合:
C:\Program Files\MATLAB\MATLAB Runtime\R2025b\extern\include
[C/C++]、[全般] で、[追加インクルード ディレクトリ] フィールドに次のディレクトリを追加します。
MATLAB で設定している場合:
C:\Program Files\MATLAB\R2025b\extern\include
MATLAB Runtime で設定している場合:
さらに、生成されたヘッダー ファイルC:\Program Files\MATLAB\MATLAB Runtime\R2025b\extern\include
<compilerSDKGeneratedLibrary>.h
を含むディレクトリを追加します。追加ライブラリ ディレクトリ [リンカー]、[全般] で、[追加のライブラリ ディレクトリ] フィールドに次のディレクトリを追加します。
MATLAB で設定している場合:
C:\Program Files\MATLAB\R2025b\extern\lib\win64\microsoft
MATLAB Runtime で設定している場合:
C:\Program Files\MATLAB\MATLAB Runtime\R2025b\extern\lib\win64\microsoft
[リンカー]、[全般] で、[追加のライブラリ ディレクトリ] フィールドに次のディレクトリを追加します。
MATLAB で設定している場合:
C:\Program Files\MATLAB\R2025b\extern\lib\win64\microsoft
MATLAB Runtime で設定している場合:
さらに、生成されたヘッダー ファイルC:\Program Files\MATLAB\MATLAB Runtime\R2025b\extern\lib\win64\microsoft
<compilerSDKGeneratedLibrary>.h
を含むディレクトリを追加します。追加の依存関係 [リンカー]、[入力] で、[追加の依存ファイル] フィールドに次のライブラリを追加します。
delayimp.lib libMatlabCppSharedLib.lib libMatlabDataArray.lib
[リンカー]、[入力] で、[追加の依存ファイル] フィールドに次のライブラリを追加します。
<compilerSDKGeneratedLibrary>.lib mclmcrrt.lib
DLL の遅延読み込み [リンカー]、[入力] で、[DLL の遅延読み込み] フィールドに次のライブラリを追加します。 libMatlabDataArray.dll
該当なし。
C++ アプリケーション コードにヘッダー ファイルを含めます。
MATLAB データ API を使用している場合は次を追加します。
#include "MatlabCppSharedLib.hpp"
mwArray
API を使用している場合は次を追加します。#include "<compilerSDKGeneratedLibrary>.h"
Visual Studio で設定をテンプレートとしてエクスポート (オプション)
必要なすべての構成と依存関係を含めてプロジェクトを設定したら、将来それを再利用するためにテンプレートとしてエクスポートできます。その手順は次のとおりです。
Visual Studio でプロジェクトを開き、メイン メニューから [プロジェクト]、[テンプレートのエクスポート] に進みます。[テンプレートのエクスポート ウィザード] が開きます。
作成するテンプレートのタイプとして [プロジェクト テンプレート] を選択し、[次へ] をクリックします。
テンプレートとしてエクスポートする現在のプロジェクトを選択し、[次へ] をクリックします。
テンプレートの名前、説明、アイコン、プレビュー イメージを指定します。テンプレートの出力場所も選択できるほか、テンプレートを Visual Studio に自動的にインポートするかどうかを決めることもできます。それらの詳細を入力したら、[完了] をクリックします。
プロジェクト テンプレートの .zip
ファイルが Visual Studio で作成されます。テンプレートを自動的にインポートするように選択した場合は、このテンプレートが [新しいプロジェクト] ダイアログの [Visual C++]、[マイ テンプレート] で使用可能になります。
テンプレートにはプロジェクト ファイルと構成がすべて含まれますが、外部依存関係は含まれないことに注意してください。
Visual Studio での環境変数の設定
CPPSHARED_BASE_CTF_PATH 環境変数の設定
この手順は、必ず MATLAB コード アーカイブ (.ctf
ファイル) を生成した後にのみ実行してください。これは、MATLAB コード アーカイブを使用する C++ アプリケーションの実行時にアプリケーションでアーカイブの場所を識別するために必要になります。CPPSHARED_BASE_CTF_PATH
環境変数を設定し、.ctf
ファイルを含むディレクトリを指すように設定することで、この場所が認識されるようにすることができます。
Visual Studio で次の手順に従います。
[ソリューション エクスプローラー] でプロジェクトを右クリックして [プロパティ] を選択し、[プロパティ ページ] ダイアログを開きます。
左側の列で [構成プロパティ] の下の [デバッグ] を選択します。
右側の列で [環境] フィールドを見つけ、次のように入力します。
CPPSHARED_BASE_CTF_PATH=<path to directory containing .ctf file>
[適用] をクリックしてから、[OK] をクリックしてダイアログを閉じます。
この手順により、Visual Studio でアプリケーションを実行またはデバッグするときに必ず環境変数が設定されるようになります。
PATH 環境変数の設定
アプリケーションが必要な MATLAB または MATLAB Runtime ライブラリを見つけられるようにするために、Visual Studio で PATH
環境変数を設定する必要があります。デバッグの目的で Visual Studio 内からアプリケーションを実行する場合、これは不可欠です。
Visual Studio で次の手順に従います。
[ソリューション エクスプローラー] でプロジェクトを右クリックして [プロパティ] を選択し、[プロパティ ページ] ダイアログを開きます。
左側の列で [構成プロパティ] の下の [デバッグ] を選択します。
右側の列で [環境] フィールドを見つけ、次のように入力します。
MATLAB:
PATH=C:\Program Files\MATLAB\R2025b\runtime\win64;%PATH%
MATLAB Runtime:
PATH=C:\Program Files\MATLAB\MATLAB Runtime\R2025b\runtime\win64;%PATH%
[適用] をクリックしてから、[OK] をクリックしてダイアログを閉じます。
この手順により、Visual Studio でアプリケーションを実行またはデバッグするときに必ず環境変数が設定されるようになります。
C++ 開発用の Visual Studio Code と CMake の設定 (Windows、Linux、および macOS)
前提条件
Visual Studio Code のダウンロードとインストール。
CMake (3.14 以降を推奨) のダウンロードとインストール。
C++ コンパイラのインストール。
Windows:MinGW または Microsoft C++ ビルド ツール。
Linux®:GCC
macOS: Xcode コマンド ライン ツール。
サポートされているコンパイラの一覧については、https://www.mathworks.com/support/requirements/supported-compilers.html を参照してください。
Visual Studio Code 拡張機能のインストール。
Microsoft による C/C++: この拡張機能は、IntelliSense、デバッグ、コード参照などの機能を提供します。
Microsoft による CMake ツール: この拡張機能は、CMake 統合とビルド サポートを提供します。
Visual Studio Code の構成
ターミナルまたはコマンド プロンプトを開きます。
プロジェクトを作成する場所に移動し、新しいディレクトリを作成します。
mkdir MyCppMatlabProject cd MyCppMatlabProject
現在のディレクトリを開いた状態で Visual Studio Code を起動します。
code .
code
が認識されないことを示すエラーが表示されたら、Visual Studio Code をシステムの PATH に追加するか、code
実行可能ファイルへの絶対パスを使用することが必要な場合があります。新しいソース ファイルは、ターミナルから直接作成するか、Visual Studio Code 内で作成できます。
c_cpp_properties.json
ファイルを編集して、IntelliSense エンジンが MATLAB 固有のライブラリをピックアップするように構成します。c_cpp_properties.json
ファイルでincludePath
を設定するには、includePath
配列にパスを追加します。次のようにフォーマットします。"includePath": [ "${workspaceFolder}/**", "C:\\Program Files\\MATLAB\\R2025b\\extern\\include", "path\\to\\v2\\generic_interface\\header\\file\\directory" ]
"path\\to\\v2\\generic_interface\\header\\file\\directory"
は、ヘッダー ファイルへの実際のディレクトリ パスに置き換えてください。これにより、コンパイラは必要なヘッダー ファイルを見つけることができます。launch.json
ファイルを編集してデバッガーの設定を構成し、アーカイブ ファイル (.ctf
ファイル) へのパスを指定します。launch.json
ファイルでCPPSHARED_BASE_CTF_PATH
環境変数を設定するには、アーカイブ (.ctf
ファイル) ディレクトリへのパスを指定するエントリをenvironment
配列に追加します。次のようにフォーマットします。"environment": [ { "name": "CPPSHARED_BASE_CTF_PATH", "value": "path\\to\\v2\\generic_interface\\ctf\\file\\directory" } ]
"path\\to\\v2\\generic_interface\\ctf\\file\\directory"
は、実際のディレクトリ パスに置き換えてください。
CMake の構成
プロジェクト ディレクトリに、次の内容を含む CMakeLists.txt
ファイルを作成します。
ビルド
Ctrl+Shift+P (macOS では Cmd+Shift+P) を押して [コマンド パレット] を開きます。
「CMake:Build」と入力し、リストからこれを選択します。
他の開発環境
他の C++ 開発環境を使用するには、コンパイル時に含める追加のファイルとライブラリを把握する必要があります。最初に、MATLAB で関数 mbuild
を使用し、詳細モードを使用して C++ アプリケーションをコンパイルすることを推奨します。これにより、他の開発環境で含める必要があるすべてのファイルが表示されます。
関連ファイルの場所
Windows | MATLAB
MATLAB Runtime
|
Linux | MATLAB
MATLAB Runtime
|
macOS | MATLAB
MATLAB Runtime
|
環境のテスト
C++ アーティファクトの生成に使用された MATLAB のインストール バージョンまたは MATLAB Runtime に対して C++ アプリケーションをテストできます。ただし、デプロイ時には MATLAB Runtime を使用する必要があります。