RF 受信機のトップダウン設計
この例では、トップダウンの方法論を使用して ZigBee のようなアプリケーションの RF 受信機を設計する方法を説明します。まず、概要レベルの要件を決定し、それに基づいてシステムレベルの仕様を決定します。次に、RF Budget Analyzer (RF Toolbox)アプリを使用して、ゲイン、非線形性、ノイズのバジェットを RF 受信機の各コンポーネントに割り当てます。この例では、理想的なリファレンス設計のビット エラー レート (BER) を確認してから、劣化要因を追加してそれが全体的な性能に与える影響を評価します。また、この例では、劣化要因がない設計のビット エラー レート (BER) を確認してから、劣化モデル追加後の BER 性能を解析します。この例では、"RF Budget Analyzer" アプリを使用して、ノイズおよび非線形性のバジェットに影響する要素をランク付けします。
設計仕様
この例の RF 受信機では、以下の設計仕様を使用します。
データ転送速度 = 250 kbps
ハーフ サイン パルス整形を使用した OQPSK 変調 (ZigBee® の物理レイヤーに関する IEEE® 802.15.4 規格の規定に準拠)
直接シーケンス スペクトル拡散、チップ レート = 2 Mchip/s
感度仕様 = -100 dBm
BER 仕様 = 1e-4
飽和電力 0 dBm の 10 ビット アナログ デジタル コンバーター (ADC)
規格に完全に準拠した ZigBee 波形を作成するために、Communications Toolbox™ を使用します。
設計ワークフロー
トップダウンの方法論を使用して RF 受信機を設計するワークフローは、次の 4 つの手順で構成されます。
手順 1: ベースバンド送信機およびベースバンド受信機の開発
この手順では、次の作業を行います。
波形生成用に、ZigBee のようなベースバンド送信機をモデル化します。
BER 測定用に、ZigBee のようなベースバンド受信機機モデルをモデル化します。
リンクレベルの理想的な受信機モデルを使用して、1e-4 のターゲット BER を実現するのに役立つ SNR を決定します。
詳細については、Develop ZigBee-Like Baseband Transmitter and Receiver (RF Blockset)の例を参照してください。
手順 2: RF 受信機の仕様の決定
この手順では、次の作業を行います。
手順 1 で決定した ADC の仕様と SNR を使用して、RF 受信機のノイズ指数 (NF) とゲイン (G) を決定します。
シミュレーションを高速化するため、BER を確認して対応するチップ エラー レート (ChER) を測定します。
詳細については、Determine RF Receiver Specifications (RF Blockset)の例を参照してください。
手順 3: RF 受信機モデルの調整と RF 劣化要因のシミュレーション
この手順では、次の作業を行います。
RF 受信機のアーキテクチャを調整し、RF バジェットの解析に基づいて RF 受信機の各コンポーネントの仕様を決定します。
直接変換アーキテクチャを使用して、RF 受信機の回路エンベロープ モデルを作成します。
回路エンベロープ モデルを使用して、位相ノイズ、非線形性、インピーダンスの不一致、および局部発振器 (LO) の隔離限界などの RF 劣化要因をシミュレートします。
詳細については、Refine RF Receiver Model and Simulate RF Impairments (RF Blockset)の例を参照してください。
手順 4: 大電力帯域外干渉信号のシミュレーション
この手順では、次の作業を行います。
大電力帯域外干渉信号を追加し、マルチキャリアのシミュレーションを実行します。
DC オフセット キャンセル アルゴリズムの仕様を決定します。
詳細については、Simulate High-Power Out-of-Band Interfering Signal (RF Blockset)の例を参照してください。