SR 11-7

SR 11-7 とは?

SR 11-7 は、米国連邦準備制度理事会 (FRB) と通貨監督庁 (OCC) が発行したモデルリスク管理 (MRM) に関する監督上のガイダンスです。2011 年、FRB および OCC は、モデルリスク管理 (MRM) に関する監督上のガイダンスとして SR 11-7 を共同で発行しました。この「原則主義」のガイダンスでは、銀行の意思決定において定量モデルを使用する場合に生じるリスクを効果的に管理するための、健全なプログラムの要素を明示しています。

SR 11-7 は、国立銀行、州立銀行、銀行持株会社、および FRB または OCC が主たる監督者であるその他すべての機関に適用されます。

米国以外でも、モデルリスクの重要性と金融システムに与えるその影響を認識しており、SR 11-7 と同様の以下のようなガイダンスを国ごとに発行しています。

  • SS 3/18 (英国 PRA、2018 年 4 月)
  • TRIM (ECB、2017 年 2 月)
  • E-23 (カナダ OSFI、2017 年 9 月)

SR 11-7 ガイダンスは、モデルの開発、実装、使用、モデル検証、モデルガバナンス、ポリシー、制御などのモデルライフサイクル全体に対応しています。図 1 は、モデルライフサイクルのさまざまなコンポーネントを、一元管理されたモデルインベントリと、各コンポーネントを担当するステークホルダーとともに示したものです。

モデルライフサイクルのさまざまなコンポーネントと、各コンポーネントを担当するステークホルダーを強調表示した M R M のホイール図。

図 1.SR 11-7 のコアコンポーネントに対応したモデルライフサイクル。

SR 11-7 が発行されて以来、銀行はガイダンスの実装に多大な時間と資金を投入してきましたが、現在も以下のような課題を抱えています。

  • データおよびドキュメンテーションの取り扱い
  • モデル結果の再現、解釈、および妥当性確認
  • 導入の加速化と規模拡大
  • リアルタイムでのモデルパフォーマンスの監視

SR 11-7 に関連する課題は、ホワイトペーパー「効果的なモデルリスク管理」に記載されています。図 2 に示すように、ホワイトペーパーでは、ウォーターフォール型のモデルライフサイクルからアジャイル型のモデルライフサイクルへの移行が、コストを削減し、コンプライアンスを促進することが強調されています。

アジャイルなモデルリスク管理ガイダンスの実装により達成された時間効率を示す、ウォーターフォール モデルとアジャイルモデルのライフサイクルを比較したタイムラインの図。

図 2. SR 11-7 ガイダンスのアジャイルな実装。

SR 11-7、EU TRIM、OSFI E-23、SS 3/18、MRM における業界のベストプラクティスなどの課題やグローバルな規制慣行を考慮し、MathWorks は、モデルの開発、検証、展開、監視、および管理を迅速かつ効率的に行う MathWorks Modelscapeソリューションを開発しました。

MathWorks は、HSBC のグループリスク解析部門に Modelscape を実装して、世界中のユーザーがアクセスできるようにするとともに、図 3 に示すように、ウォーターフォール型 MRM からアジャイル型 MRM への移行をサポートしました。

MATLAB モデルリスク管理ソリューションの導入により、HSBC が得た価値の概略を示す図。

図 3.ウォーターフォール型からアジャイル型 SR 11-7 の実装への移行。

次のビデオでは、HSBC グローバル COO の Ray O'Brien 氏が、アジャイル MRM のビジョンと、戦略や規制の変化に適応するための HSBC における MATLAB の使用方法を説明しています。金融リスク管理とモデルベースデザイン。

その取り組みが評価され、MathWorks は、図 4 に示すように、運用リスクソリューションに関する 2021 年 Chartis RiskTech Quadrant でカテゴリリーダーに選出されました。

MathWorks を運用リスク分野のカテゴリリーダーとして認定した Chartis の RiskTech Quadrant のグラフ。

図 4. 運用リスク分野に関する 2021 年 Chartis RiskTech Quadrant。


参考: Modelscape, Model Risk