ソフトウェアテスト

ソフトウェアテストとは

ソフトウェアテストとは、プログラムを評価して要件を満たしていることを確認するプロセスですが、新機能開発の妨げになるだけではないのか?生産性を下げる要因?あるいは、ローカルマシンですべて正常に機能しているようなので不要な作業ではないのか?など、誤解されていることが多いのが現状です。次のような状況を想像してみてください。あなたはエンジニアで、次世代ロケット向け制御ソフトウェアの設計開発に何年も費やしてきました。打ち上げ当日、すべてが順調に進んでいましたが、打ち上げから数秒後、ロケットが進路を外れて爆発してしまいました。原因は単純な整数オーバーフローでした。これはアリアン 5 号ロケットの初飛行で実際に起こったことで、ソフトウェアのバグがいかに悲惨な結果を招くかを示した一例に過ぎません。

空を飛ぶロケットのイラスト。まっすぐな青い点線とカーブした赤い点線が描かれています。ロケットは赤い曲線上を飛行し、爆発します。

些細なソフトウェアのエラーであっても、ロケットが進路を外れるという予期せぬ結果を招くことがあります。

ソフトウェアテストの重要性

ソフトウェアのエラーは重大な結果を招きます。実際にバグが原因で、放射線治療装置が誤った線量を出力した、取引アルゴリズムが数百万ドルの損失を出した、単位変換ミスが原因で火星探査機が失われた事例があります。こうした実際の出来事は、被害が生じる前に潜在的なバグを特定する上で、ソフトウェアテストが果たす重要な役割を浮き彫りにします。日々の業務の中で、エンジニアは機能するコード、つまり長期間にわたり確実に機能し続けるコードを作成したいと考えています。ソフトウェアテストのお陰で、ソフトウェアに基づいた重要な意思決定が確実に健全なものになります。

机の前に座ってコンピュータを操作している男性のイラスト。画面にはコードとさまざまな色が表示されています。

ソフトウェアテストによって、コードが長期間にわたり確実に機能することが保証されます。

開発プロセスの早い段階でテストを行うことで、コストを大幅に削減できます。バグの修正にかかるコストは、開発ライフサイクルが進むにつれて増加します。問題を早期に発見することは、時間とコストを節減するだけでなく、プロジェクトの遅延リスクを最小限に抑え、よりスムーズな開発プロセスを実現します。開発の初期段階にソフトウェアテストを組み込むことで、チームは深刻化する前に潜在的な問題を検出して対処することができるため、よりロバストで信頼性の高いソフトウェアの構築が実現します。

手動ソフトウェアテストと自動ソフトウェアテスト

コードを作成したことがある人は、たとえ無意識だったとしても、コードをテストしています。ソフトウェアテストは、バグ、エラー、欠けている要件を特定するために、ソフトウェア アプリケーションを評価するプロセスです。スクリプトを実行して正しい結果が得られるかどうかを確認することは、手動テストと呼ばれる形態の一つです。しかし、手動テストではテスト担当者が手順を覚えて、結果が正しいかどうかを評価する必要があります。この作業は個人のアプリケーションに関する知識に依存します。その担当者が退職すると、持っていた知識、つまりコードをテストする能力も一緒に失われてしまいます。

異なる種類のソフトウェアテストを示す図。「手動テスト」というラベルの付いた工具箱と、「自動テスト」というラベルの付いた歯車。

反復プロセスを伴うテストの場合、すぐに手動で行うことが困難になります。コードの複雑さが増すにつれて、自動ソフトウェアテストの方がメリットは大きくなります。

最新のソフトウェアテストは、手動から自動へと進化し、ソフトウェアを体系的に評価する方法が確立されています。期待される動作やテスト手順を文書化することで、個人の重要な知識をテストコードに移転することができ、それによってテストに関わる人が増え、コードの一貫性と信頼性が高まります。自動ソフトウェアテストを活用することで、実際のシステム動作と期待される結果を比較し、注意が必要な相違点 (または更新が必要なテスト) を明確にすることができます。

ソフトウェアテストの目的

  • バグを早期に検出する: 開発プロセスの早い段階でバグを特定することは極めて重要です。プロジェクトが進むにつれて、バグの修正コストは急激に増加するためです。実装後まで残ったバグは、金銭的損失や信用の失墜につながりかねません。
  • 信頼性とパフォーマンスに関する問題の解明: コードは、エッジケースも含めて、あらゆる条件下でテストすることが不可欠です。応答時間の遅延といったパフォーマンスの問題は、間違った結果と同様に深刻な問題になりえます。

ソフトウェアテストの種類

ソフトウェアテストにはさまざまな種類があり、どこから始めればよいか迷うことがあります。エンジニアなら誰もが知っておくべき、重要なソフトウェアテストをいくつかご紹介します。

  • ユニットテスト: 個々のコンポーネントやコード単位の機能を個別に検証することに重点を置きます。ユニットテストは、早い段階でバグを分離、特定するのに役立ち、比較的短時間で簡単に作成して実行できます。
  • 統合テスト: コードユニット間のインターフェイスを検証し、想定どおりに連携できていることを確認します。データ形式の不一致やコード間インターフェイスの非互換性などの問題を検出します。
  • システムテスト: 統合されたシステム全体をテストし、指定された要件を満たしていることを確認します。現実世界のシナリオをシミュレーションすることで、ソフトウェアが想定条件下で正しく動作することを確認します。
  • スモークテスト: 最も重要な機能が正しく動作し、ソフトウェアが次のテストに進む準備ができていることを確認します。ソフトウェアの基本的な機能を素早くチェックすることができます。 
  • 回帰テスト: コード変更が予期しない動作の変化を引き起こしていないかをチェックします。これにより、変更後もソフトウェアが意図した機能を維持していることを確認できます。
  • パフォーマンステスト: さまざまな条件下でソフトウェアのパフォーマンスを評価します。応答時間やリソース使用量などの基準を測定し、ボトルネックを特定してパフォーマンスを最適化します。

モッキングは、それ自体はテストではありませんが、依存関係を模倣することでコンポーネントを分離してテストできるようにする手段として利用されます。実際のコンポーネントに頼らなくても、システムから特定の部分を分離してテストすることができます。

これらのテストは、プロジェクトの特定のニーズに合わせて組み合わせることができます。たとえば、モッキングを用いたユニットテストや、回帰テストを兼ねた統合テストなどがあります。

ソフトウェアテストの種類

単体テスト、スモークテスト、回帰テストなど、すべてのエンジニアが知っておくべき 7 つの重要なソフトウェアテストをご紹介します。

例: MATLAB を使用したユニットテスト

最も基本的なテストは手作業によるもので、コマンドラインで実行し、出力が想定どおりかどうかを確認します。: しかし、手作業によるソフトウェアテストには限界があり、エラーが発生しやすいです。

手動テストの代わりに、MATLAB のユニット テスト フレームワークを使用すると、繰り返し実行可能なテストを作成することができます。

ここでは、fibonacci 関数を使ったシンプルなユニットテストの例を見てみましょう。

MATLAB でのソフトウェアテストのスクリーンショット。ユニットテスト作成のためのコンテキストメニューが強調表示されています。

MATLAB で関数を右クリックしてテストを作成します。

ソフトウェアテストに使用する MATLAB コードのスクリーンショット。オレンジ色の枠がユニットテストクラスに提供する値を示しています。

MATLAB を使用したソフトウェアテスト: 正しい値を入力するとテストクラスが作成され、そのテストを実行して関数を検証することができます。

ユニットテストの作成は、MATLAB のテストブラウザーを使用すると簡単です。このテストで、作成した関数を評価し、実際の出力と期待される出力を比較してエラーをチェックします。

MATLAB のテストブラウザーとは

テストブラウザーを使用して反復的なコードテストを行う方法について説明します。このインターフェイスにより、テストとデバッグのプロセスが合理化され、スクリプトからパブリッシュまでをより効率的に行うことができます。

この簡単なソフトウェアテストの例は、関数が想定される結果を返すことを確認し、出力を自動的に検証します。 

ソフトウェアテストのベストプラクティス

可能な限り自動化する

自動化は、テストを自動的に実行することで、プロセスを加速してより多くの領域をカバーできるようにします。繰り返しの多い時間のかかるテストを自動化することで、リソースをより複雑なシナリオに集中させることができます。自動化されたテストは高い頻度で一貫した実行が可能なため、コード変更による新たなバグの発生を確実に抑えることができます。開発環境とのシームレスな統合を可能にするフレームワークやツールの活用を検討することで、ソフトウェアテストのプロセスを効率化することができます。

コード開発と並行してテストを作成する

プロジェクトの完了を待つよりも、コード開発を進めながらテストを作成する方が、問題をより早く特定するのに役立ち、それぞれのコードを開発する度にテストで確認することができます。これを実践することで、開発者が機能を実装する前に要件や設計を十分に検討するようになるため、よりロバストでメンテナンスしやすいコードの開発につながります。

左列にコードを、右列に対応するテストを示す 3 行のアイコン。

ソフトウェアテストのベストプラクティスは、テストとコードを同時に作成することです。

テストカバレッジの優先順位付け

すべてのコードは平等に創られているわけではありません。それはテストでも同様です。他のコンポーネントに依存されていたり、複雑なロジックを含んでいる場合や、これまで多くのバグが発生している部分を優先してテストを行います。十分なカバレッジを確保しつつ、テストプロセスに過度な負担をかけないバランスの取れたアプローチを目指します。コード カバレッジ ツールを活用して、コードベースのテストされていない部分を特定し、その部分に重点的に取り組みます。

こうしたソフトウェアテストのベストプラクティスを取り入れることで、チームはソフトウェアの品質と信頼性を高めることができるため、最終的にはプロジェクトの成功率とユーザー満足度の向上につながります。


製品使用例および使い方


ソフトウェア リファレンス


参考: 継続的インテグレーション