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時変コヒーレンス

フーリエ領域コヒーレンスは、周波数の関数として、2 つの定常過程間の線形相関を 0 から 1 のスケールで測定するための確立された手法です。ウェーブレットでは、データについての、時間とスケール (周波数) での局所情報が提供されるため、ウェーブレットベースのコヒーレンスを使用すると、周波数の関数として時変相関を測定できます。つまり、非定常過程に適したコヒーレンス測定というわけです。

これを説明するために、2 人の被験者から取得した近赤外線分光法 (NIRS) データを調べます。NIRS は、酸素化ヘモグロビンおよび脱酸素化ヘモグロビンの異なる吸収の特性を利用して、脳の活動を測定します。記録部位は両被験者の上前頭皮質で、データは 10 Hz でサンプリングされています。データは Cui, Bryant & Reiss (2012) によるもので、この例のために著者に提供していただきました。

実験では、被験者はタスクに対して協力と競争を繰り返しました。タスクの周期は約 7.5 秒でした。

load NIRSData;
figure
plot(tm,NIRSData(:,1))
hold on
plot(tm,NIRSData(:,2),'r')
legend('Subject 1','Subject 2','Location','NorthWest')
xlabel('Seconds')
title('NIRS Data')
grid on;
hold off;

Figure contains an axes object. The axes object with title NIRS Data, xlabel Seconds contains 2 objects of type line. These objects represent Subject 1, Subject 2.

時間領域データを調べても、個々の時系列にどの振動が存在し、両方のデータ セットにどの振動が共通しているかは明らかではありません。ウェーブレット解析を使用して、両方の質問に答えます。

ウェーブレット コヒーレンスを時間および周波数の関数として取得します。wcoherence を使用して、ウェーブレット コヒーレンス、クロススペクトル、スケールから周波数またはスケールから周期の変換、および円錐状影響圏を出力できます。この例では、補助関数 helperPlotCoherencewcoherence の出力をプロットするための便利なコマンドをいくつかパッケージ化しています。

[wcoh,~,f,coi] = wcoherence(NIRSData(:,1),NIRSData(:,2),10,'numscales',16);
helperPlotCoherence(wcoh,tm,f,coi,'Seconds','Hz');

Figure contains an axes object. The axes object with title Wavelet Coherence, xlabel Seconds, ylabel Hz contains 2 objects of type image, line.

プロットでは、1 Hz 付近のデータ収集周期全体の強力なコヒーレンスの領域がわかります。これは 2 人の被験者の心調律に起因します。さらに、0.13 Hz 付近の強力なコヒーレンスの領域がわかります。これはタスクに起因する被験者の脳内のコヒーレントな振動を表します。ウェーブレット コヒーレンスを周波数ではなく周期の単位で表示することがより自然である場合、サンプリング間隔を入力できます。サンプリング間隔を使用した場合、wcoherence はスケールから周期への変換を返します。

[wcoh,~,P,coi] = wcoherence(NIRSData(:,1),NIRSData(:,2),seconds(1/10),...
    'numscales',16);
helperPlotCoherence(wcoh,tm,seconds(P),seconds(coi),'Time (secs)','Periods (Seconds)');

Figure contains an axes object. The axes object with title Wavelet Coherence, xlabel Time (secs), ylabel Periods (Seconds) contains 4 objects of type image, line.

ここでも、約 1 秒の周期で記録全体で発生している被験者の心臓の活動に対応するコヒーレントな振動に注意してください。タスクに関係する活動は、約 8 秒の周期にも表れます。このデータのウェーブレット解析の詳細については、Cui, Bryant, & Reiss (2012) を参照してください。

要約すると、この例では、ウェーブレット コヒーレンスを使用して、2 つの時系列における時間局在型のコヒーレントな振動動作を調査する方法について説明しました。非定常信号の場合、時間と周波数 (周期) の情報が同時に提供されるコヒーレンスの測定方法がしばしば役立ちます。

参考文献: Cui, X., D. M. Bryant, and A. L. Reiss. "NIRS-Based hyperscanning reveals increased interpersonal coherence in superior frontal cortex during cooperation." Neuroimage. Vol. 59, Number 3, 2012, pp. 2430-2437.