故障した PMSM
この例では、Simscape™ Electrical™ を使用して故障した永久磁石同期モーター (PMSM) をモデル化する方法を説明します。一般的に、PMSM をモデル化するときには、各巻線を、関連するインダクタンス、誘起逆起電力 (EMF)、および隣接する巻線との相互誘導結合をもつ単一のエンティティとして表すことができます。しかし、巻線が故障した場合、単一エンティティの仮定が破綻します。結果のダイナミクスを正しく取得するには、巻線スロットのレベルでモーターをモデル化しなければなりません。このためには、磁気ドメインでモデル化する必要があります。
この例では、巻線と回転子のエア ギャップに Simscape Electrical の基本的なブロックを使用して、磁気ドメインで PMSM のモデルを作成する方法を説明します。また、巻線と回転子の永久磁石の故障を発生させて、その影響を評価する方法も説明します。
モデルの概要
モデルの最上位で、標準ライブラリの PMSM ブロックと、表面磁石型永久磁石同期機 (SPMSM) を表すカスタムの磁気ドメイン サブシステムを比較します。次に、磁気ドメイン モデルを非故障状態のケースで検証してから、さまざまな故障時動作を調べることができます。
磁気ドメインの SPMSM サブシステムの概要
次の図に、10 個の回転子極と 9 個の固定子巻線スロットをもつ SPMSM のモデル アーキテクチャを示します。参照スロットであるスロット 1 は A 相の 3 つのスロットの中央です。巻線の故障がこのスロットに導入されます。
参照モデルに照らした検証
以下のプロットは、Simscape Electrical の標準 PMSM ライブラリ ブロックによるシミュレーション結果に対する、カスタムの磁気ドメイン モデルによるシミュレーション結果を示したものです。
All faults disabled
開放故障
シミュレーションの途中で、スロット 1 の巻線が開回路になります。
Fault scenario: Open circuit in Tooth 1
地絡故障
シミュレーションの途中で、スロット 1 の巻線の中間点が地絡します。
Fault scenario: Grounded Tooth 1
絶縁巻線故障
シミュレーションの途中で、スロット 1 の巻線の半分が絶縁されます。
Fault scenario: Isolated turns in Tooth 1
磁石強度低下による故障
シミュレーションの途中で、回転子の永久磁石の 1 つで強度が低下します。
Fault scenario: Demagnetized first rotor pole
参考
PMSM | Rotating Air Gap | Magnetic Rotor | Winding | Fundamental Reluctance