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グリッド形成コンバーターの設計と解析

R2023b 以降

この例では、13 個の事前定義されたテスト シナリオでグリッド形成 (GFM) コンバーターの性能を設計して解析する方法を示します。その後、テスト結果をグリッド コード規格と比較して、望ましい運用とコンプライアンスを確保できます。この例の GFM コンバーターは、代替慣性エミュレーション手法、構成可能な制御ループ、異なる電流制限手法を提供し、幅広い回路網の強度に適しています。このモデルは MATLAB® でダウンロードするか、MATLAB Central File Exchange と GitHub® からアクセスできます。

例の概要

この例では、次の方法を学習します。

  • グリッド コード規格から性能要件を特定。

  • ドループ制御とバーチャル同期機の制御を使用してグリッド形成コントローラーを設計。

  • バーチャル インピーダンスと電流飽和の方法を使用して異なる電流制限手法を設計。

  • 電圧、周波数、および位相の変化についてグリッド事業者のグリッド形成技術仕様を確認。

  • 慣性、減衰、および故障の変化に照らしてシステムの性能を評価。

詳細については、次の手順に従って Web ブラウザーで開く概要を確認するか、Power Converter Circuit and Control Design with Simscape (MATLAB Central File Exchange) を参照してください。

ファイルのダウンロード

gitclone関数を使用して、現在のフォルダーに最新のリポジトリをクローンします。

gitclone("https://github.com/simscape/Power-Converter-Circuit-Control-Simscape");

あるいは、次のオプションを使用して最新のファイルをダウンロードすることもできます。

プロジェクトを開く

gitclone 関数を使用した後、MATLAB によって現在のフォルダーに新しいフォルダーが作成されます。この例では、プロジェクトを使用してサポート ファイルを管理します。GridFormingConverterWithSimscape プロジェクト ファイルを開きます。開いているプロジェクトがある場合は、このプロジェクトを読み込む前に MATLAB によって閉じられます。モデルには何百ものサポート ファイルが含まれているため、プロジェクト環境の構成には数分かかります。プロジェクトでは、モデルの確認に役立つ概要が Web ブラウザーで開きます。

openProject("Power-Converter-Circuit-Control-Simscape");

プロジェクトの確認

GFM コンバーター システム

最上位モデルは、この例の GFM コンバーター システムの設計を示しています。このモデルは、415 V/11 kV ステップアップ変圧器に接続する 500 kVA、415 V、50 Hz の三相 GFM コンバーターで構成されています。変圧器は伝送線路によって 11 kV グリッドに接続されています。低電圧レベルでの GFM コンバーター出力にローカル負荷が接続されています。グリッド形成コンバーター モデルは、グリッドの電圧、周波数、位相、ローカル負荷、短絡比 (SCR)、X/R 比、電力指令、自立モードを変更したり、故障を発生させたりできるテスト ハーネスを提供します。

コントローラーの手法

制御手法を指定するには、testCondition.activePowerMethod 変数の値を Virtual Synchronous Machine または Droop Control に設定します。バーチャル同期機 (VSM) 手法を選択するには、MATLAB コマンド ウィンドウで次を実行します。

testCondition.activePowerMethod = 'Virtual Synchronous Machine'; 

VSM 制御法は、同期機の慣性と減衰を模しています。ソフトウェアでは、一定の周波数基準またはグリッド システムの測定周波数を使用して、コントローラーの減衰電力が計算されます。グリッド周波数の測定値に基づく減衰電力の方が、グリッド周波数の外乱時の性能に優れています。

フォルト ライドスルー手法

グリッド コード規格では、すべてのインバーターベースのリソースに電圧と周波数の外乱に対するライドスルー機能が必要です。フォルト ライドスルー オプションを指定するには、testCondition.currentLimitMethod 変数の値を次のいずれかに設定します。

  • Virtual Impedance

  • Current Limiting

  • Virtual Impedance and Current Limiting

フォルト ライドスルー オプションを Virtual Impedance に設定するには、MATLAB コマンド ウィンドウで次を実行します。

testCondition.currentLimitMethod = 'Virtual Impedance';  

テスト シナリオ

この例では、GFM コンバーターおよびコントローラーの性能を評価できる 13 個のテスト シナリオが用意されています。

  • 通常運転 — 外乱のないモデルのシミュレーションを実行します。

  • 有効電力の基準値の変化 — 有効電力の基準値に瞬間的な変化を発生させます。

  • 無効電力の基準値の変化 — 無効電力の基準値に瞬間的な変化を発生させます。

  • グリッド電圧の変化 — グリッド電圧に瞬間的な変化を発生させます。

  • ローカル負荷の変化 — ローカル負荷に瞬間的な変化を発生させます。

  • グリッド周波数の小さな変化 (0.5 Hz) — システム周波数を 1 Hz/秒のレートで 0.5 Hz 増やします。

  • グリッド周波数の大きな変化 (2 Hz) — システム周波数を 2 Hz/秒のレートで 2 Hz 増やします。

  • グリッド周波数の全範囲の変化 — システム周波数を 2 Hz/秒のレートで 2 Hz 増やし、5 秒待ってから周波数を 1 Hz/秒のレートで 5 Hz 減らします。

  • グリッド位相の 10 度の変化 — 位相に瞬間的な 10 度の変化を適用します。

  • グリッド位相の 60 度の変化 — 位相に瞬間的な 60 度の変化を適用します。

  • 永続的な三相故障 — 三相地絡故障を生成し、無効電力を測定します。

  • 一時的な三相故障 — 三相地絡故障を生成し、特定の時間が経過した後に解消します。

  • 自立運転 — 定常状態の運転中にグリッドの回路ブレーカーが落ちて、自立状態の GFM コンバーターをシミュレーションします。

PlotGridFormingConverter 関数を使用して、13 個のテスト シナリオのシミュレーション結果をプロットします。この関数は測定された有効電力と周波数の解析も行い、システムがシミュレーション時間の終了時に安定状態に達するかどうかをチェックします。PlotGridFormingConverter 関数は、次の入力を取ります。

  • testCondition — シミュレーションの設定。5 つの変数の struct として指定します。

  • plotFlag — 結果と概要 MATLAB table をプロットするオプション。結果をプロットするには、この入力を 1 に設定します。

  • オプションの 3 番目の変数 — すべてのテスト シナリオを一度にシミュレーションするには、これを "All" に設定します。

テスト シナリオと時間を含むテスト変数プロファイルは GridFormingConverterTestCondition.mlx ファイルで定義できます。

テスト シナリオのシミュレーション

テスト シナリオを設定してシミュレーションするには、まず testCondition 変数の値を設定します。

testCondition 変数は次を定義します。

  • 有効電力法

  • 電流制限手法

  • グリッドの短絡比

  • グリッドの X/R 比

  • テスト名

次のコードは、GFM コンバーターの有効電力制御法を "Virtual Synchronous Machine"、フォルト ライドスルー手法を "Virtual Impedance"、グリッドの短絡比を 2.5、X/R 比を 5 に設定します。

このテスト シナリオでは、システムで有効電力の基準値に瞬間的な変化が発生します。このテスト シナリオを使用すると、GFM コンバーターの追跡機能、応答時間、および出力電圧の変動を調べることができます。このテスト シナリオを設定してシミュレーションするには、MATLAB コマンド ウィンドウで次を実行します。

testCondition.activePowerMethod = 'Virtual Synchronous Machine'; 
testCondition.currentLimitMethod = 'Virtual Impedance'; 
testCondition.SCR = 2.5;
testCondition.XbyR = 5;
testCondition.testCondition = 'Change in active power reference'; 
outputTable = PlotGridFormingConverter(testCondition,1); 

MathWorks® Simscape™ Team による最新の例を確認するには、MATLAB Central の MathWorks Simscape Team を参照してください。

参考

トピック