PMSM (Six-Phase)
正弦波の磁束分布をもつ六相永久磁石同期モーター
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説明
PMSM (Six-Phase) ブロックは、六相スター巻線固定子をもつ永久磁石同期機 (PMSM) をモデル化します。モーターに 6 つの固定子巻線がある場合は、このブロックを使用して、埋込永久磁石同期機 (IPMSM)、表面永久磁石同期機 (SPMSM)、軸方向磁束 (パンケーキ) モーター、または PMSM サーボモーターといったタイプのモーターをモデル化します。
六相 PMSM には、ABC グループと XYZ グループの 2 つの三相固定子巻線グループがあります。これらの 2 つのグループは 30 度の位相シフトをもちます。
次の図は、固定子巻線の等価電気回路を示しています。

方程式
固定子巻線にかかる電圧は次のとおりです。
ここで、
va、vb、および vc は、端子 ~ABC から中性点端子 n1 への個々の相電圧です。
vx、vy、および vz は、端子 ~XYZ から中性点端子 n2 への個々の相電圧です。
Rs は、各固定子巻線の等価抵抗です。
ia、ib、および ic は、端子 ~ABC から端子 n1 に流れる電流です。
ix、iy、および iz は、端子 ~XYZ から端子 n2 に流れる電流です。
、、、、、および は、各固定子巻線の磁束の変化率です。
永久磁石と 6 本の巻線は、各巻線を鎖交する合計磁束に寄与します。合計磁束は次のとおりです。
ここで、
ψa、ψb、ψc、ψx、ψy、および ψz は、各固定子巻線を鎖交する合計磁束です。
Laa、Lbb、Lcc、Lxx、Lyy、および Lzz は、固定子巻線の自己インダクタンスです。これらの自己インダクタンスは回転子の電気角 θe の関数で、固定子の相あたりの自己インダクタンス Ls と固定子のインダクタンス変動 Lm によって決まります。
。ここで、θr は回転子の機械的角度です。
rotor offset は、d 軸に対する回転子の電気角を定義する場合は
0で、q 軸に対する回転子の電気角を定義する場合は-pi/2です。Ls は固定子の相あたりの自己インダクタンスです。この値は、各固定子巻線の平均自己インダクタンスです。
Lm は固定子のインダクタンス変動です。この値は、回転子の角度の変化に伴う自己インダクタンスと相互インダクタンスの変動量です。
Lab、Lac、Lba などは、固定子巻線の相互インダクタンスです。これらの相互インダクタンスは回転子の電気角 θe の関数で、固定子の相互インダクタンス Ms と固定子の相あたりの自己インダクタンス Ls によって決まります。
Ms は固定子の相互インダクタンスです。この値は、固定子巻線間の平均相互インダクタンスです。
ψam、ψbm、ψcm、ψxm、ψym、および ψzm は、固定子巻線を鎖交する永久磁石の磁束です。
巻線 a-a' を鎖交する永久磁石の磁束は、θe = 0° のときに最大になり、θe = 90° のときにゼロになります。したがって、鎖交したモーター磁束は次のように定義されます。
ここで、ψm は永久磁石の鎖交磁束です。
簡易電気方程式
ブロックの電気方程式に分離変換を適用すると、回転子の角度に依存しないトルクの式が得られます。
分離変換は次のように定義されます。
変換行列 P は、次の疑似直交特性をもちます。
固定子巻線の電圧と電流に対して分離変換を使用すると、その電圧と電流は回転子の角度に依存しない dq0 座標系に変換されます。
ABC グループと XYZ グループの d 軸、q 軸、および零相の固定子の電圧と鎖交磁束を得るには、電圧と鎖交磁束の方程式に変換を適用します。
ここで、
vd、vq、vz1、vz2、v01、および v02 は、ABC グループと XYZ グループの d、q、z1、z2 の各成分と零相の固定子の電圧で、次のように定義されます。
id、iq、iz1、iz2、i01、および i02 は、ABC グループと XYZ グループの d 軸、q 軸、および零相の固定子の電流で、次のように定義されます。
は固定子の d 軸インダクタンスです。
は固定子の q 軸インダクタンスです。
は固定子の零相インダクタンスです。
ω は回転子の機械回転速度です。
N は回転子の永久磁石の極対数です。
トルク方程式は次のように定義されます。
熱効果のモデル化
熱端子を表示して、電力を熱に変換する損失の影響をモデル化できます。熱端子を表示するには、[モデリング オプション] パラメーターを次のどちらかに設定します。
熱端子なし— ブロックには、固定子巻線に関連付けられた展開された電気量保存端子が含まれますが、熱端子は含まれません。熱端子を表示— ブロックには、固定子巻線に関連付けられた展開された電気量保存端子と、各巻線および回転子用の熱保存端子が含まれます。
アクチュエータ ブロックにおける熱端子の使い方の詳細については、回転アクチュエータおよび並進アクチュエータでの熱効果のシミュレーションを参照してください。
変数
シミュレーションの前にブロック変数の優先順位と初期ターゲット値を設定するには、ブロックのダイアログ ボックスまたはプロパティ インスペクターの [初期ターゲット] セクションを使用します。詳細については、ブロック変数の優先順位と初期ターゲットの設定を参照してください。
ノミナル値は、モデル内で予想される変数の大きさを指定する方法を提供します。ノミナル値に基づくシステムのスケーリングを使用すると、シミュレーションのロバスト性が向上します。ノミナル値は、ブロックのダイアログ ボックスまたはプロパティ インスペクターの [ノミナル値] セクションなど、さまざまなソースを使用して指定できます。詳細については、ノミナル値によるシステムのスケーリングを参照してください。
例
端子
保存
パラメーター
参照
[1] Krause, Paul, Oleg Wasynczuk, Scott Sudhoff, and Steven Pekarek, eds. Analysis of electric machinery and drive systems. Hoboken, NJ, USA: John Wiley & Sons, Inc., 2013. https://doi.org/10.1002/9781118524336.
[2] Su, Jian Yong, Jin Bo Yang, and Gui Jie Yang. Research on Vector Control and PWM Technique of Six-Phase PMSM. Advanced Materials Research 516–517 (May 2012): 1626–31. https://doi.org/10.4028/www.scientific.net/AMR.516-517.1626.
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