回転アクチュエータおよび並進アクチュエータでの熱効果のシミュレーション
熱端子の使用
電気巻線をもつ回転アクチュエータおよび並進アクチュエータを表すすべてのブロックには、オプションで各電気巻線ごとに熱端子を表示できます。したがって、たとえば次のようになります。
DC Motor ブロックでは、電機子に対応する単一の熱端子をオプションで表示できる。
Shunt Motor ブロックでは 2 つの熱端子を固定子巻線用に 1 つ、界磁巻線用に 1 つ、オプションで表示できる。
熱端子は、電力を熱に変換する銅抵抗の損失を表します。これらの損失は、i2R 損失と呼ばれることがあります。一部のブロックには、渦電流やヒステリシスに起因する鉄損のモデルが含まれています。鉄損モデルが含まれている場合、鉄損は熱端子における熱に考慮されます。
熱端子は既定では非表示になっています。ブロック線図で特定のブロック インスタンス上の熱端子を表示するには、次を行います。
熱端子を表示するブロックをダブルクリックします。
[モデリング オプション] パラメーターを
[熱端子を表示]
に設定します。
熱端子が表示されている場合、ブロック ダイアログ ボックスには、[温度依存性] と [熱端子] という 2 つのタブが追加で含められます。単一の巻線をもつアクチュエータ ブロックでは、これらのタブにあるパラメーター セットは常に同じです。
抵抗温度係数 — 抵抗を温度の関数として定義する方程式のパラメーター α。アクチュエータ ブロックの熱モデルに説明があります。既定値は銅に対応し、
0.00393
1/K です。測定温度 — モーターのパラメーターが定義される温度。既定値は
25
℃ です。
熱質量 — 温度を 1 度上げるのに必要なエネルギーとして定義される、電気巻線の熱質量。既定値は
100
J/K です。初期温度 — シミュレーション開始時の熱端子の温度。既定値は
25
℃ です。
パラメーター値の選択の詳細については、アクチュエータ ブロックの熱モデルを参照してください。
2 つの巻線をもつアクチュエータ ブロックのパラメーターは異なっており、それぞれのブロックのリファレンス ページで説明されています。
アクチュエータ ブロックの熱モデル
次の図は、アクチュエータ ブロックによって使用される熱端子モデルを示しています。銅巻線によって発生する熱は、Ideal Heat Flow Source の S 物理量信号入力端子への入力として指定されます。熱質量は、銅巻線の集中熱質量を表します。ここで、熱質量は、温度を 1 度上げるために必要なエネルギーとして定義されています。質量が M で表され、比熱容量が cp とされる場合、熱質量は M·cp となります。
巻線抵抗は温度に線形的に依存すると仮定され、次で与えられます。
R = R0 (1 + α (T – T0 ))
ここで、
R は、温度 T における抵抗。
R0 は、測定温度 (または基準温度) T0 における抵抗。
α は抵抗の温度係数。銅の標準値は 0.00393/K です。