参照プロジェクトを使用した大規模なモデリング プロジェクトの整理
MATLAB® では、親プロジェクトから他のプロジェクトを参照可能にすることで、大規模なプロジェクトのコンポーネント化をサポートしています。大規模なモデリング プロジェクトを複数のコンポーネントに整理すると、コードの再利用、チームベースのモジュール開発、単体テスト、コンポーネントの個別リリースが容易になります。
プロジェクト参照を通じてプロジェクトを小さいプロジェクトに整理すると、親プロジェクトから次のことが可能になります。
すべての参照プロジェクトのプロジェクト パス、ショートカット、ソース管理情報にアクセスする。
参照プロジェクトに属するファイルを表示、編集、実行する。
同じプロジェクト階層内のプロジェクト間でファイルを移動する。
R2025a において: プロジェクト階層でファイルの名前変更、移動、削除を行うと、解析がトリガーされ、そのプロジェクトと階層の上流にあるすべてのプロジェクトについて、そのファイルの使用箇所を更新するように求められます。
現在のプロジェクトとそのすべての参照プロジェクトについて依存関係の分析を実行する。詳細については、プロジェクトの依存関係の解析を参照してください。
プロジェクトを開くと、最初に参照プロジェクトが読み込まれます。このアクションにより、参照プロジェクトのパスが MATLAB 検索パスに追加され、参照プロジェクトで指定した起動アクションが実行されます。現在のプロジェクトで参照している他のすべてのプロジェクトを表示するには、[プロジェクト] ツールストリップの [環境] セクションで [参照] をクリックします。[参照] ツリーに階層内のすべてのプロジェクトが表示されます。
このサンプル プロジェクトでは、他のプロジェクトを 2 つ参照しています。このサンプル プロジェクト階層をダウンロードするには、サンプル プロジェクト階層を開くを参照してください。
階層内に欠落したプロジェクトや循環依存関係になるプロジェクトがある場合、[参照] ツリーのそのプロジェクトの横にアイコンが表示されます。[プロジェクトの問題] パネルの [起動] タブでも同じ情報を確認できます。プロジェクトの起動とシャットダウンの問題の詳細については、Run Project Checksを参照してください。
サンプル プロジェクト階層を開く
例を開いてサポート プロジェクトをダウンロードします。この例では、最上位の Airframe
プロジェクトを開きます。このプロジェクトに 2 つの参照プロジェクト SignalMultiplier
と WindGustLibrary
が含まれています。
最上位の Airframe
サンプル プロジェクトは機体シミュレーションを提供します。Signal Multiplier
および Wind Gust library
で提供される追加の機能を使用するために、それらを最上位プロジェクトで参照プロジェクトとして追加しています。
Signal Multiplier
参照プロジェクトは、S-Function を最上位プロジェクトから独立したコンポーネントで開発する方法を示します。参照プロジェクトはソース コード、ビルド サポートおよびパス管理を提供します。ビルド フォルダーはプロジェクト パス上にあります。これにより、最上位プロジェクトのパス上にも必ずあることになります。このプロジェクトにはRebuild S-function
ショートカットがあります。Wind Gust Library
参照プロジェクトは、ライブラリおよびライブラリに必要なバス オブジェクトを含むデータ ディクショナリを提供します。このプロジェクト パスによって、ライブラリが最上位プロジェクトで使用されるように必ず設定されます。
別のプロジェクトへの参照の追加と削除
他のプロジェクトを参照することで、新しいコンポーネントをプロジェクトに追加できます。
プロジェクトへの参照を追加するには、次の手順に従います。
[プロジェクト] タブの [環境] セクションで [参照] をクリックします。
[参照] タブで [新規参照] をクリックします。その後、利用可能なオプションからいずれかを選択します。
参照するプロジェクトのルート フォルダーが親プロジェクトのルート フォルダーを基準に適切に定義されている場合は、[相対] を選択します。
参照するプロジェクトがコンピューターからアクセスできる共有の場所 (ネットワーク ドライブなど) にある場合は、[絶対] を選択します。
PRJ ファイルを使って、必要なプロジェクトを参照して選択します。
[開く] をクリックします。
MATLAB で参照プロジェクトを読み込むと、参照プロジェクトのパスが MATLAB 検索パスに追加され、指定されている起動ファイルが実行されるか読み込まれます。同様に、MATLAB で参照プロジェクトを閉じると、プロジェクトのパスが検索パスから削除され、指定されているシャットダウン ファイルが実行されます。MATLAB では、参照プロジェクトが親プロジェクトよりも先に読み込まれます。この読み込み順序により、起動ファイルやシャットダウン ファイルで親プロジェクトから参照プロジェクトにアクセスできます。
ヒント
Git™ ソース管理下のプロジェクトをサブモジュールとしてクローンすることで参照プロジェクトを取り込むこともできます。プロジェクトのサブモジュールをクローンしてから、同じ手順を使用して参照プロジェクトとして追加します。詳細については、Organize Projects into Components Using References and Git Submodulesを参照してください。
参照プロジェクトの情報を表示するには、[参照] ツリーでプロジェクトを選択します。
プロジェクト参照をプロジェクト階層から削除するには、[参照] ツリーで参照プロジェクトを選択します。その後、[参照] タブで [削除] をクリックします。
参照プロジェクト ファイルの表示、変更または実行
他のプロジェクトを参照しているプロジェクトがある場合、参照プロジェクトに属するファイルの表示、変更、実行を親プロジェクトから直接行うことができます。
参照プロジェクトを表示するには、親プロジェクトの [プロジェクト] タブで [参照] をクリックします。その後、[参照] ツリーで参照プロジェクトを選択します。
ファイルを変更または実行するには、ファイルを右クリックし、利用可能なオプションのリストから選択します。
参照プロジェクトがソース管理下にある場合にソース管理の詳細を表示するには、空白部分を右クリックし、[ソース管理] 、 [詳細の表示] を選択します。
開いているプロジェクトで参照しているプロジェクトのショートカットにアクセスするには、[プロジェクト] ツールストリップで [ショートカット] ギャラリーを展開します。参照プロジェクトのショートカットが表示されない場合は、[プロジェクト参照を表示] チェック ボックスをオンにします。ショートカットを作成および編集する方法の詳細については、頻繁に使用するタスクのためのショートカットの作成を参照してください。
フォルダーを抽出して参照プロジェクトを作成する
プロジェクト内の既存のフィルダーを抽出して参照プロジェクトを作成できます。フォルダーの抽出後も、参照プロジェクトのファイルとフォルダーの内容やショートカットに親プロジェクトから引き続きアクセスできます。
機体のサンプル プロジェクトを考えます。フォルダー trial
を作成し、開発作業をこのフォルダー内で行うと仮定します。次を作成します。
Simulink® ライブラリ、MATLAB ファイル、
Readme
ドキュメントへのショートカット設計およびソース コード フォルダー
データ ファイル
管理を容易にするために、trial
フォルダーを個別のコンポーネントに変換します。さらに、主要ファイルへのショートカットなど、フォルダーの内容にアクセスします。これらの要件を満たすために、プロジェクトからフォルダーを抽出し、フォルダーを参照プロジェクトに変換します。
[プロジェクト] パネルでフォルダーを右クリックし、[参照プロジェクトに抽出] を選択します。
[参照プロジェクトの作成] ダイアログ ボックスで、プロジェクトの名前と場所を指定します。
[参照タイプ] セクションで [相対] または [絶対] のいずれかを選択します。現在のプロジェクトのルートを基準にして新しいプロジェクトの場所を指定する場合は、[相対] を選択します。新しい場所の絶対パス (ネットワーク ドライブのパスなど) を指定する場合は、[絶対] を選択します。
[OK] をクリックします。
フォルダー trial
とその内容がプロジェクトから削除されます。[ショートカット] ギャラリーの [trial] セクションに新しいショートカットが 3 つ表示されます。