bistaticConstantSNR
構文
説明
bistaticConstantSNR を使用して、カッシーニの卵形線またはカッシーニの曲面とも呼ばれる、バイスタティック定数 SNR (S/N 比) の等高線または表面を作成およびプロットし、オプションで出力します。モノスタティック レーダーとは異なり、バイスタティック レーダー システムでは、送信機要素と受信機要素が同じ場所ではなく別々の場所にあります。bistaticConstantSNR 関数は、バイスタティック送信機および受信機が同期されていると仮定します。
例
この例では、バイスタティック レーダーの定数 SNR 等高線 (カッシーニの卵形線) をプロットし、バイスタティック レーダー定数 K を計算する方法を示します。
バイスタティック レーダー定数 (K) の計算および定数 SNR 等高線のプロット
周波数 5.6 GHz、ピーク電力 1.5 MW で動作するバイスタティック レーダーについて、カッシーニの卵形線をプロットします。送信機と受信機は 5 km 離れています。バイスタティック ターゲットのレーダー断面積 (RCS) が 0.1 で、パルス幅が 0.2 マイクロ秒の矩形波であると仮定します。送信機のゲインは 20 dB、受信機のゲインは 10 dB です。システム損失はないものと仮定します。
% Inputs freq = 5.6e9; % Radar operating frequency (Hz) lambda = freq2wavelen(freq); % Wavelength (m) Pt = 1.5e6; % Peak power (W) tau = 0.2e-6; % Pulse width (s) sigma = 0.1; % Bistatic radar cross section (m^2) Gtx = 20; % Transmitter gain (dB) Grx = 10; % Receiver gain (dB) txpos = [-2.5e3 0]; % Transmitter position (m) rxpos = [2.5e3 0]; % Receiver position (m) % Calculate bistatic radar constant K (dB) K = radareqsnr(lambda,1,Pt,tau,rcs=sigma,gain=[Gtx Grx]); % Plot bistatic constant SNR contours bistaticConstantSNR(txpos,rxpos,K)

この例では、指定された SNR 値でバイスタティック レーダーの定数 SNR 等高線 (カッシーニの卵形線) をプロットする方法を示します。送信機中心と受信機中心の動作領域を示す尖点を含めます。
定数 SNR 等高線のプロット
で与えられるバイスタティック レーダー定数 K をもつバイスタティック レーダーについて、カッシーニの卵形線をプロットします。ここで、L は送信機と受信機の間の距離です。SNR が [10 13 16 20 23 30] の等高線をプロットし、尖点を含めます。
% Inputs txpos = [-1e3 0]; % Transmitter position (m) rxpos = [1e3 0]; % Receiver position (m) L = norm(txpos - rxpos); % Baseline distance (m) K = pow2db(30*L^4); % Bistatic radar constant K (dB) SNRs = [10 13 16 20 23 30]; % SNRs (dB) % Plot bistatic constant SNR contours bistaticConstantSNR(txpos,rxpos,K,SNR=SNRs,IncludeCusp=true)

この例では、指定した方位角と仰角におけるバイスタティック レーダーの定数 SNR 表面 (カッシーニの曲面) をプロットする方法を示します。
定数 SNR 表面のプロット
周波数 5.6 GHz、ピーク電力 1.5 MW で動作するバイスタティック レーダーについて、カッシーニの曲面をプロットします。プロットを方位角 0 ~ 180 度、仰角 -45 ~ 45 度に制限し、km 単位でプロットします。送信機と受信機は 5 km 離れています。バイスタティック ターゲットの RCS が 0.1 で、パルス幅が 0.2 マイクロ秒の矩形波であると仮定します。送信機のゲインは 20 dB、受信機のゲインは 10 dB です。システム損失はないものと仮定します。
% Inputs freq = 5.6e9; % Radar operating frequency (Hz) lambda = freq2wavelen(freq); % Wavelength (m) Pt = 1.5e6; % Peak power (W) tau = 0.2e-6; % Pulse width (s) sigma = 0.1; % Bistatic radar cross section (m^2) Gtx = 20; % Transmitter gain (dB) Grx = 10; % Receiver gain (dB) txpos = [-2.5e3 0 0]; % Transmitter position (m) rxpos = [2.5e3 0 0]; % Receiver position (m) % Calculate bistatic radar constant K (dB) K = radareqsnr(lambda,1,Pt,tau,rcs=sigma,gain=[Gtx Grx]); % Plot bistatic constant SNR surfaces bistaticConstantSNR(txpos,rxpos,K, ... PlotUnits="km",AzimuthLimits=[0 180],ElevationLimits=[-45 45], ... ShowLocalCoordinates=true) view([-40 20])

この例では、指定された SNR 値でバイスタティック レーダーの定数 SNR 等高線データを出力し、手動でプロットする方法を示します。
定数 SNR 等高線の計算
で与えられるバイスタティック レーダー定数 K をもつバイスタティック レーダーについて、SNR が 20 dB である場合のカッシーニの卵形線を計算します。ここで、L は送信機と受信機の間の距離です。結果を手動でプロットします。
% Inputs txpos = [-1e3 0]; % Transmitter position (m) rxpos = [1e3 0]; % Receiver position (m) L = norm(txpos - rxpos); % Baseline distance (m) K = pow2db(30*L^4); % Bistatic radar constant K (dB) % Calculate bistatic constant SNR contour M = bistaticConstantSNR(txpos,rxpos,K,SNR=20,NumSamples=1e3)
M = struct with fields:
X: [-1.7892e+03 -1.7892e+03 -1.7890e+03 -1.7886e+03 -1.7882e+03 -1.7876e+03 -1.7869e+03 -1.7861e+03 -1.7852e+03 -1.7841e+03 -1.7829e+03 -1.7816e+03 -1.7801e+03 -1.7785e+03 -1.7768e+03 -1.7749e+03 -1.7730e+03 -1.7709e+03 … ] (1×1028 double)
Y: [-2.1912e-13 -11.2530 -22.5045 -33.7530 -44.9970 -56.2350 -67.4655 -78.6870 -89.8980 -101.0970 -112.2823 -123.4525 -134.6060 -145.7412 -156.8565 -167.9503 -179.0210 -190.0669 -201.0865 -212.0779 -223.0396 -233.9698 -244.8667 … ] (1×1028 double)
SNR: 20
% Plot figure plot(M.X,M.Y,'LineWidth',1.5) hold on plot(txpos(1),txpos(2),'^','LineWidth',1.5,'MarkerSize',10) plot(rxpos(1),rxpos(2),'v','LineWidth',1.5,'MarkerSize',10) grid on axis equal xlabel('X (m)') ylabel('Y (m)') legend('SNR = 20 dB','Transmitter','Receiver') title('Constant SNR = 20 dB')

入力引数
送信機の位置は、グローバル直交座標の 2 要素または 3 要素の行ベクトルとして、メートル単位で指定します。txpos が 2 要素の行ベクトルである場合、この関数は定数 SNR 等高線をプロットします。txpos が 3 要素の行ベクトルである場合、この関数は定数 SNR 表面をプロットします。txpos の長さは rxpos の長さと一致します。
データ型: double
受信機の位置は、グローバル直交座標の 2 要素または 3 要素の行ベクトルとして、メートル単位で指定します。rxpos が 2 要素の行ベクトルである場合、この関数は定数 SNR 等高線をプロットします。rxpos が 3 要素の行ベクトルである場合、この関数は定数 SNR 表面をプロットします。rxpos の長さは txpos の長さと一致します。
データ型: double
スカラーのバイスタティック レーダー定数 (dB 単位)。詳細については、バイスタティック レーダー定数 (K)を参照してください。
データ型: double
名前と値の引数
例: bistaticConstantSNR(txpos,rxpos,K,SNR=20,NumSamples=1e3,NumTrials=100,IncludeCusp=true)
オプションの引数のペアを Name1=Value1,...,NameN=ValueN として指定します。ここで、Name は引数名で、Value は対応する値です。名前と値の引数は他の引数の後に指定しなければなりませんが、ペアの順序は重要ではありません。
定数 SNR の等高線または表面を計算する S/N 比。行ベクトルとして dB 単位で指定します。既定値は [10:5:30] です。
データ型: double
定数 SNR の等高線または表面を計算する最小レンジと最大レンジ。[MinRange MaxRange] としてメートル単位で指定します。ここで、MinRange は最小レンジ、MaxRange は最大レンジです。座標系は、原点がバイスタティック ベースラインの中点として定義されるローカル座標系です。既定値は [1 100e3] です。
データ型: double
定数 SNR の等高線または表面を計算する最小方位角と最大方位角。[MinAzimuth MaxAzimuth] として指定します。ここで、MinAzimuth は最小方位角、MaxAzimuth は最大方位角です。単位は度です。方位角は、正の x 軸から反時計回りに測定された角度です。正の x 軸は、txpos から rxpos を指す単位ベクトルです。座標系は、原点がバイスタティック ベースラインの中点として定義されるローカル座標系です。既定値は [-180 180] です。
データ型: double
定数 SNR 表面を計算する最小仰角と最大仰角。[MinElevation MaxElevation] として指定します。ここで、MinElevation は最小仰角、MaxElevation は最大仰角です。単位は度です。このプロパティは定数 SNR 表面にのみ適用されるため、txpos が 3 要素の行ベクトルである場合にのみ使用できます。仰角は、x-y 平面から正の x 軸に向かって測定された角度です。正の x 軸は、txpos から rxpos を指す単位ベクトルです。座標系は、原点がバイスタティック ベースラインの中点として定義されるローカル座標系です。既定値は [-90 90] です。
データ型: double
RangeLimits 引数、AzimuthLimits 引数、および ElevationLimits 引数によって定義された各領域のレンジ、方位角、および仰角の次元のサンプル数。スカラーまたはベクトルとして指定します。
スカラー —
NumSamplesをスカラーとして指定する場合、すべての次元に同じスカラー値が適用されます。2 要素の行ベクトル —
NumSamplesを 2 要素の行ベクトルとして指定する場合、その形式は[NumSamplesRange NumSamplesAzimuth]になります。ここで、NumSamplesRangeはレンジ内のサンプル数、NumSamplesAzimuthは方位角のサンプル数です。3 要素の行ベクトル —
NumSamplesを 3 要素の行ベクトルとして指定する場合、その形式は[NumSamplesRange NumSamplesAzimuth NumSamplesElevation]になります。ここで、NumSamplesRangeはレンジ内のサンプル数、NumSamplesAzimuthは方位角のサンプル数、NumSamplesElevationは仰角次元のサンプル数です。
仰角次元は SNR 等高線には関係ありません。txpos が 2 要素の行ベクトルであり、NumSamples が 3 要素の行ベクトルとして指定されている場合、NumSamples の 3 番目の要素は無視されます。NumSamples の 3 要素指定は、txpos が SNR 表面の 3 要素行ベクトルである場合に適切です。特にレンジ次元でのサンプリング数を増やすと、精度は向上しますが、パフォーマンスが低下する可能性があります。既定値は [501 73 37] であり、既定のレンジ、方位角、および仰角の範囲に対して、レンジでは 200 メートル、方位角と仰角では 5 度の分解能になります。
データ型: double
卵形線または表面を 2 つの部分に分けるベースライン上の点 (尖点) を、定数 SNR の等高線または表面のプロットに含めるようにします。尖点は、送信機中心と受信機中心の 2 つの異なる動作領域を示すレムニスケートの中心に発生します。尖点をプロットするには、IncludeCusp を true に設定します。それ以外の場合、尖点は考慮されません。既定値は false です。
データ型: logical
プロットの単位をメートル ("m")、キロメートル ("km")、マイル ("mi")、海里 ("nmi")、フィート ("ft")、またはキロフィート ("kft") のいずれかとして指定します。既定値は "m" です。
データ型: string
プロット上でローカル座標軸を有効にします。ローカル座標軸をプロットするには、ShowLocalCoordinates を true に設定します。それ以外の場合、ローカル座標軸はプロットされません。既定値は false です。
データ型: logical
プロット座標軸のハンドル。Axes オブジェクトとして指定します。gca 関数を使用して、現在の座標軸のプロパティを取得および設定します。
出力引数
各バイスタティック定数 SNR の等高線または表面を記述する座標または SNR 値が格納された 3 つのフィールドをもつ 1 行 L 列の構造体配列を返します。ここで、L は等高線または表面の数です。
txposは 2 要素の行ベクトル — 等高線の場合、Mの 3 つのフィールドには X、Y、および SNR という名前が付けられます。各等高線について、X は x 座標値 (メートル) から成る行ベクトル、Y は y 座標値 (メートル) から成る行ベクトル、SNR はスカラーの定数 SNR 値 (dB) です。txposは 3 要素の行ベクトル — 表面の場合、Mの 3 つのフィールドには Faces、Vertices、および SNR という名前が付けられます。各等値面について、Faces は各行が多角形の面に対応する 3 列の行列、Vertices は各行に頂点の x 座標、y 座標、および z 座標の値 (メートル) が格納された 3 列の行列、SNR はスカラー定数 SNR 値 (dB) です。
IncludeCusp が true に設定されている場合、出力 M には、尖点 SNR だけでなく、ユーザーが指定したすべての SNR が含まれます。座標系は、原点がバイスタティック ベースラインの中点として定義されるローカル座標系です。patch 関数を使用して、Faces と Vertices のデータをプロットできます。
尖点での SNR 値を返します。尖点とは、卵形線または表面を 2 つの部分に分け、送信機中心と受信機中心の 2 つの異なる動作領域が出現するベースライン上の点です。
詳細
バイスタティック レーダー定数 K には、レーダーとターゲットに関連するパラメーターが組み込まれており、バイスタティック レーダーによって受信される電力または信号を決定するために使用されます。K は通常次のように定義されます。
ここで、方程式の各項は次のとおりです。
Pt — 送信機電力 (ワット)
Gt — 送信機アンテナ ゲイン
Gr — 受信機アンテナ ゲイン
λ — レーダー波長 (メートル)
σ — ターゲットの無変動レーダー断面積 (RCS) (平方メートル)
Ft — 送信機からターゲットへのパスの伝播係数
Fr — 受信機からターゲットへのパスの伝播係数
k — ボルツマン定数 (ジュール/ケルビン)
Ts — 受信機システム ノイズ温度 (ケルビン)
Bn — 受信機ノイズ帯域幅 (ヘルツ)
Lt — 送信機損失係数
Lr — 受信機損失係数
損失係数やゲイン係数など、デシベルで表された項は、10x/10 の形式で方程式を入力します。ここで、x は変数を表します。たとえば、既定の損失係数が 0 dB である場合、損失項は 100/10=1 になります。
下のイメージは、2 次元の場合のバイスタティック ジオメトリを示しています。送信機サイトと受信機サイトは x 軸に沿って配置されます。bistaticConstantSNR 関数において、正の x 軸は txpos から rxpos を指す単位ベクトルです。ベースライン L、つまり直接パスは、送信機 Tx と受信機 Rx の間のラインとして定義されます。送信機からターゲットまでのラインはレンジ RT であり、受信機からターゲットまでのレンジはレンジ RR です。方位角は、x-y 平面内で正の x 軸から反時計回りに測定された度単位での角度です。以下に示すように、ローカル座標系の原点は、バイスタティック ベースライン L の中心点です。

カッシーニの卵形線は、三角形の頂点の隣辺の積が一定かつ対辺の長さが固定である場合の、三角形の頂点の軌跡です [1]。バイスタティックの場合、頂点がターゲットになります。頂点の隣辺は RT と RR です。ベースライン L は固定された対辺となります。カッシーニのバイスタティック卵形線は、任意のバイスタティック平面における定数 S/N 比 (SNR) の等高線です。
SNR = K / (RT2RR2),
ここで、K はバイスタティック レーダー定数です。
参照
[1] Willis, Nicholas J. Bistatic Radar. Raleigh, NC: SciTech Publishing, Inc., 2005.
バージョン履歴
R2024b で導入
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