ライセンスの借入
ライセンス借入の概要
ライセンスの可動性を高めるために、MathWorks® ではライセンス借入をサポートしています。
この機能を使用すると、ライセンス サーバーへの継続的接続のないコンピューターでも MathWorks 製品を使用できます。
ライセンスを借り入れた後は、コンピューターをネットワークから切断して、チェックアウトした製品を借入期限まで使用し続けることができます。
借り入れたライセンスを早期に返却することも可能です。
商用のコンカレント ライセンスおよびネットワーク ネームド ユーザー ライセンスでは、ライセンス借入の使用が可能です。
最大借入期間は 30 日間 (720 時間) です。
MathWorks 製品は、借り入れたライセンスを使用するクライアント コンピューター上にインストールしなければなりません。
メモ
Campus-Wide License (コンカレント ライセンスを含む) では、ライセンス借入を使用できません。
ライセンス借入の有効化
ライセンス借入を有効にする担当者は、ライセンスの管理者でなければなりません。
ライセンスの借入を有効にするように MathWorks にリクエストします。この変更をリクエストするには、サポートにお問い合わせください。
メモ
借り入れたライセンス ファイルには、各製品の
INCREMENT
行にキーワードBORROW=720
があります。この720
は、借入期間の最大時間数を表します (この値は変更不可)。以下に例を示します。INCREMENT MATLAB MLM 17 30-jan-2025 5 52FCH63184G5 BORROW=720 \ DUP_GROUP=UH SN=220668
最大借入期間の 720 時間は 30 日間に相当します。
ライセンスの借入が有効になったら、新しいライセンス ファイルをダウンロードします。
ライセンス サーバーのネットワーク ライセンス マネージャーを停止します。
ライセンス サーバーで既存のライセンス ファイル
matlabroot/etc/license.dat
からSERVER
行とDAEMON
行をコピーします。ここで、matlabroot
は MATLAB® インストール フォルダーを表します。ライセンス ファイルのSERVER
行とDAEMON
行の例を示します。SERVER mysystem 0012110gbc86 27000 DAEMON MLM C:\Program Files\MATLAB\R2024b\etc\win64\MLM.exe
既存のライセンス ファイルからコピーした
SERVER
行とDAEMON
行を、ライセンス借入を含む新しいライセンス ファイルの最上部に貼り付けます。ライセンス サーバーで、既存のライセンス ファイルを新しいライセンス ファイルで置き換えます。
ネットワーク ライセンス マネージャーを再起動します。
[製品を借入する] メニュー オプションの有効化
メモ
クライアント コンピューターがライセンス サーバーとネットワーク接続されていることを確認してください。
[ライセンス] メニューで [製品を借入する] のメニュー オプションをオンにするには、次の手順に従います。
クライアント コンピューターで MATLAB を起動し、次のコマンドを入力します。
matlab.internal.licensing.enableBorrowUI(true)
ライセンス借入のメニュー オプションを最初にオンにすると、それ以降は MATLAB を起動するといつでも使用できるようになります。
MATLAB を再起動します。
[ライセンス] メニューで [製品を借入する] オプションを見つけます。
[ホーム] タブの [リソース] セクションで、[ヘルプ] をクリックします。
[ライセンス] の下で、[製品を借入する] を探します。
製品の選択による製品ライセンスの借入
製品名を使ってライセンスを借り入れるには、次の手順に従います。
MATLAB を起動します。
[ホーム] タブの [リソース] セクションで、[ヘルプ] をクリックします。
[ライセンス] の下で、[製品を借入する] をクリックします。
[リストから選択することで選択した製品を借入します] を選択します。借入できる製品がダイアログ ボックスに表示されます。
借入期間を指定します。1 日 (既定) ~ 30 日。
借り入れる各製品の横にあるチェック ボックスをクリックします。
[借入] をクリックします。
MATLAB を閉じます。
コンピューターをネットワークから切断します。
MATLAB を再度開くと、借り入れた製品がネットワークから離れて使用可能になります。
借り入れた製品を借入期限が切れるまで引き続き使用します。借入期間の終了前にネットワークに再接続する場合は、借り入れたライセンスの早期返却を参照してください。
製品ライセンスの自動借入
製品ライセンスを自動的に借り入れるには、次の手順に従います。
MATLAB を起動します。
[ホーム] タブの [リソース] セクションで、[ヘルプ] をクリックします。
[ライセンス] の下で、[製品を借入する] をクリックします。
[製品の借入を自動的に行います] を選択します。
借入期間を指定します。1 日 (既定) ~ 30 日。
[自動借入をオンにする] をクリックします。
MATLAB で通常と同様に作業し、ネットワークに接続していないときの方法でタスクを実行します。製品を使用する際は、MATLAB が自動的にそのライセンスを借り入れます。
借り入れるすべての製品について作業が終了したら、[自動借入をオフにする] をクリックします。
MATLAB を閉じます。
コンピューターをネットワークから切断します。
MATLAB を再度開くと、借り入れた製品がネットワークから離れて使用可能になります。
借り入れた製品を借入期限が切れるまで引き続き使用します。借入期間の終了前にネットワークに再接続する場合は、次の節の「借り入れたライセンスの早期返却」を参照してください。
借り入れたライセンスの早期返却
借り入れたライセンスを早期返却するには、次の手順に従います。
コンピューターをネットワークに接続します。
[ホーム] タブの [リソース] セクションで、[ヘルプ] をクリックします。
[ライセンス] の下で、[製品を借入する] をクリックします。
[借入した製品を早めに返却します] を選択します。ダイアログ ボックスには、現在借り入れている製品のリストが表示されます。
早期返却する製品ライセンスを指定します。既定では、借り入れたすべての製品ライセンスが選択されています。返却しない製品があれば選択を解除します。
[返却] をクリックします。
メモ
ライセンスを借り入れてから、同じ MATLAB セッションで返却することはできません。ライセンスを返却する前に、MATLAB を終了して再起動しなければなりません。
ライセンス借入の管理
オプション ファイルを使用して、ライセンス借入の動作を制御します。ネットワーク ライセンス マネージャーのツールを使用して、借入されたライセンスを監視します。
現在借入中のライセンスの特定
ネットワーク ライセンス マネージャーのツールを使用して、ネットワーク構成で借り入れたライセンスのステータスを監視できます。LMTOOLS アプリケーションまたは lmstat
コマンドを使用できます。
Windows システムでの LMTOOLS アプリケーションの使用
ライセンス サーバーにログインします。
フォルダーに移動します。ここで、matlabroot
\etc\win64
は MATLAB インストールの名前を表します。matlabroot
lmtools.exe
実行可能ファイルをダブルクリックして、LMTOOLS アプリケーションを起動します。[LMTOOLS] ダイアログ ボックスの [Server Status] タブを選択します。
[Perform Status Enquiry] ボタンをクリックします。LMTOOLS の出力ウィンドウにステータス情報が表示されます。ステータス情報の製品リストの各項目には、製品の合計ライセンス数および現在チェックアウト中のライセンス数が表示されます。借入中のライセンスの場合、製品の項目にはキーワード (
linger:XXX
) が含まれています。ここで、XXX
は借入期間を秒数で示したものです。lmutil - Copyright (c) 1989-2018 Flexera. All Rights Reserved. Flexible License Manager status on Thu 12/9/2021 15:43 [Detecting lmgrd processes...] License server status: 27000@myserver License file(s) on myserver: C:\Program Files\MATLAB\R2024b\etc\license.dat: myserver: license server UP (MASTER)inclusivetermexception v11.16.2 Vendor daemon status (on myserver): MLM: UP v11.16.2 Feature usage info: Users of MATLAB: (Total of 13 licenses issued; Total of 1 license in use) "MATLAB" v46, vendor: MLM, expiry: 30-jan-2025 vendor_string: vi=0:at=200:ae=1:lu=300:lo=CN:ei=1234567:lr=1:ep=0: floating license juser myserver DESKTOP-4SPTFG0 (v45) (myserver/27000 102), start Thu 12/9 15:41 Users of SIMULINK: (Total of 1 license issued; Total of 0 licenses in use) Users of Compiler: (Total of 1 license issued; Total of 1 license in use) "Compiler" v46, vendor: MLM, expiry: 30-jan-2025 vendor_string: vi=0:at=200:ae=1:lu=300:lo=CN:ei=1234567:lr=1:ep=0: floating license juser myserver DESKTOP-4SPTFG0 (v45) (myserver/27000 201), start Thu 12/9 15:43 (linger: 807316 / 807360)
メモ
MATLAB Compiler™:MATLAB Compiler が借り入れられていない場合でも、ライセンスのステータス情報に
linger
が含まれることがあります。
Windows システムでの lmstat
ユーティリティの使用
ライセンス サーバーにログインし、DOS コマンド ウィンドウを開きます。DOS コマンド ウィンドウを開く 1 つの方法としては、[スタート] メニューから [ファイル名を指定して実行] オプションを選択し、テキスト入力フィールドに「
cmd
」と入力して [OK] をクリックします。
フォルダーに移動します。ここで、matlabroot
\etc\$ARCH
は MATLAB インストールの名前、matlabroot
$ARCH
はプラットフォーム固有のフォルダーを表します。lmstat
を引数として指定して、lmutil
コマンドを実行します (Windows® コンピューターでは、FlexNet® によってすべてのライセンス管理ユーティリティがlmutil
という 1 つのプログラムにパッケージ化されています)。次の例では、
-a
オプションを使用して、lmstat
によって返されるすべての情報を表示します。-c
オプションを使用して、ライセンス ファイルの名前も指定しなければならないことに注意してください。lmstat
の詳細については、『FlexNet End User’s Guide』を参照してください。lmutil lmstat -a -c "C:\Program Files\MATLAB\R2024b\etc\license.dat"
lmstat
によって返されるステータス情報の製品リストの各項目には、製品の合計ライセンス数および現在チェックアウト中のライセンス数が表示されます。借入中のライセンスの場合、製品の項目にはキーワード (linger:XXX
) が含まれています。ここで、XXX
は借入期間を秒数で示したものです。
"Control_Toolbox" v46, vendor: MLM floating license carlostessier lm-server lm-server (v46) (lm-server/27000 201), start Fri 12/17 14:37 (linger: 121500)
メモ
MATLAB Compiler:MATLAB Compiler が借り入れられていない場合でも、ライセンスのステータス情報に linger
が含まれることがあります。
Linux システムでの lmstat
の使用
ライセンス サーバーにログインします。
ディレクトリに移動します。ここで、matlabroot
/etcmatlabroot
は MATLAB インストール フォルダーです。lmstat
ユーティリティを実行します。lmstat -a -c /usr/local/MATLAB/R2024b/etc/license.dat
オプション ファイルを使用したライセンス借入の制御
ネットワーク ライセンス マネージャーのオプション ファイルを使用して、ライセンス借入動作の各種の項目を制御できます。オプション ファイルは、オプション ステートメントが入ったテキスト ファイルです。各オプション ステートメントは、オプションを特定するキーワードで始まります。次の表にライセンス借入の要素を制御するオプション一覧を示します。これらのオプションの詳細については、『FlexNet End User’s Guide』を参照してください。オプション ファイルの例を確認するには、次のトピックの例を参照してください。
タスク | 指定するオプション |
---|---|
借り入れられない特定のライセンス数を予約する。 |
たとえば、3 つの MATLAB ライセンスを借り入れられないようにする場合は、次の構文を使用します。
|
特定の製品のライセンスを借り入れられるユーザーを指定する。 |
たとえば、Fred というユーザーが Image Processing Toolbox™ のライセンスを借り入れられるようにする場合は、次の構文を使用します。
メモ: 特定のユーザーがライセンスを借り入れられるように指定すると、他のユーザーはすべて除外されます。 |
特定の製品のライセンスを借り入れられないユーザーを指定する。 |
たとえば、Donna というユーザーが Image Processing Toolbox のライセンスを借り入れられないようにする場合は、次の構文を使用します。
|
ユーザーがライセンスを借り入れられる最大時間を指定する。 |
たとえば、Image Processing Toolbox のユーザーの借入期間を 3 日間に制限する場合は、次の構文を使用します。
指定する借入期間は 30 日未満でなければなりません。これは MathWorks からのライセンスの借入対応ライセンスで指定された借入期間です。 |
例: ライセンス借入からユーザーを除外する
オプション ファイルを使用したライセンス借入動作の制御について説明するため、この例ではオプション ファイルを使用して、特定の製品のライセンスを借り入れられるユーザーを除外します。
オプション ファイルを作成します。
オプション ファイルは、オプション ステートメントが入ったテキスト ファイルです。任意のテキスト エディターを使用して、次の行が含まれるファイルを作成します。オプション ファイルに任意の名前を付け、便利な任意のフォルダーに保存します。
EXCLUDE_BORROW SIMULINK USER fred
ライセンス ファイルの
DAEMON
行にオプション ファイルの名前を指定します。ライセンス サーバーで任意のシンプルなテキスト エディターを使用してライセンス ファイルを編集し、次のように
options=
キーワードをDAEMON
行に追加します。DAEMON
行が 1 行に収まらない場合は、必ず行継続記号 (\) を使用してください。DAEMON MLM C:\Program Files\MATLAB\R2024b\etc\win64\MLM.exe \ options=C:\myborrowoptions.opt
オプション ファイルが処理されるようにネットワーク ライセンス マネージャーを起動 (または再起動) します。
このオプション ファイルを設定したら、テストします。
ユーザー Fred としてログインします。
MATLAB を起動します。
[製品を借入する] メニューを使用して、借入対象として Simulink® を選択します。
次のエラーが表示されます。
License Manager Error -38. User/host on EXCLUDE list for feature Feature: SIMULINK License path: C:\Program Files\MATLAB\bin\win64\license.dat; C:\Program Files\MATLAB\bin\win64\*.lic