コンカレント ライセンスの管理
ネットワーク コンカレント ユーザーのインストール
管理者は、ネットワークの集中管理サーバーにネットワーク ライセンス マネージャーをインストールする必要があります。このシステムを "ライセンス サーバー" と呼びます。ユーザーはネットワーク経由でライセンス サーバーに接続されている、"クライアント システム" と呼ばれる各自のコンピューターで MATLAB® を実行します。Windows® を実行しているコンピューターは、Linux® または macOS クライアントのライセンス サーバーとして使用でき、その逆も可能です。ライセンス サーバーへの MATLAB 製品のインストール手順の詳細については、インストールに関するドキュメンテーションでネットワーク ライセンス マネージャーのインストール手順を参照してください。
重要な管理タスク
コンカレント ライセンスを使用すると、ネットワークにアクセスできるユーザーは誰でも MathWorks® 製品を使用できるようになります。ネットワーク ネームド ユーザー ライセンスのように、特定のネームド ユーザーにアクセスが限定されることはありません。コンカレント ライセンスでは、ライセンス キーを使用してアクセスを制御します。ユーザーは MATLAB を起動したとき、もしくは他の製品の関数を使用したときに、ライセンス キーをチェックアウトします。特定の製品のキーがすべてチェックアウトされると、ネットワーク ライセンス マネージャーがそれ以降の要求を拒否します。
コンカレント ライセンスのライセンス管理者の主な目標は、製品へのアクセスしやすさを最適化するインストールを設定することです。コンカレント ライセンスの管理に必要な基本タスクは次のとおりです。
ユーザー用の製品設定方法を決定する — 複数の設定方法が使用できます。ユーザーが各自のコンピューターに MATLAB をインストールするか、ネットワーク経由で MATLAB にアクセスするかを決定します。クライアント マシンへの製品のインストールを参照してください。
構成に必要なコンピューターにソフトウェアをインストールする — ファイル サーバーにネットワーク ライセンス マネージャーをインストールし、構成に従ってファイル サーバーまたはクライアント コンピューターに MathWorks 製品をインストールしなければなりません。MathWorks インストーラーを使用するとこれらのすべてのインストールを実行できます。クライアント マシンへの製品のインストールを参照してください。
ネットワーク構成の設計
MathWorks では、ネットワーク インストールに Flexera Software, Inc. のネットワーク ライセンス マネージャー プログラムを使用します。ネットワーク インストールを設定するには、このライセンス マネージャーをインストールしてから MathWorks 製品をインストールしなければなりません。どちらのインストールを実行する場合も MathWorks インストーラーを使用します。既に確立されているライセンス管理スキームに MathWorks 製品を統合する場合は、MathWorks ライセンス管理デーモンをコンピューターにコピーできます。
MATLAB のネットワーク インストールを実行する前に、設定する構成のタイプを決定します。それにより、インストールを実行する回数が決まります。このトピックではこれらの選択肢について説明します。
ローカル クライアント アクセス構成の設定
ローカル クライアント アクセス構成では、ネットワーク ライセンス マネージャーをサーバーにインストールし、MATLAB を各クライアント コンピューターにインストールします。クライアント コンピューター上のユーザーが MATLAB を起動すると、MATLAB はネットワークを経由してライセンス マネージャーに接続し、ライセンス キーをチェックアウトします。
MATLAB をネットワークのクライアント コンピューターにインストールするには、製品のインストールの手順に従います。
ネットワーク アクセス構成の設定
ネットワーク コンカレント ユーザーのインストールでは、MATLAB および他の製品をファイル サーバーにインストールしてネットワーク アクセス構成を設定し、クライアント コンピューターからネットワーク経由で製品にアクセスできます。または、各クライアント コンピューターに製品をインストールして、ローカル アクセス構成を設定できます。この場合、クライアントはライセンス キーをチェックアウトするときにのみサーバーと通信します。
メモ
インストーラーを実行する前にインストールするライセンスのアクティベーションを行わなければなりません。使用している構成に必要なライセンス ファイルを取得するには、MathWorks Web サイトのライセンス センターにアクセスしてください。
ライセンス ファイルを要求するときには、ネットワーク ライセンス マネージャーを実行するコンピューターのホスト ID を入力しなければなりません。インストール時にライセンス ファイルの場所を指定します。
使用されていないライセンス キーに対するタイムアウトの使用
概要
コンカレント ライセンスを保有している場合、ライセンスのタイムアウト オプションを利用して、サイトで使用されていないライセンス キーを自動的に戻すことができます。ライセンス タイムアウトを使用すると、指定された期間にわたり未使用状態であったライセンス キーをネットワーク ライセンス マネージャーが自動的に解放し、使用可能なライセンス キーのプールにライセンスを戻します。
たとえば、MATLAB とツールボックスなどの他の製品を起動するときに、これらの製品のライセンス キーをチェックアウトします。MATLAB セッションを終了せずに帰宅すると、これらのライセンスはチェックアウトされた状態のままとなり、他のユーザーは使用できません。タイムアウトが有効な場合、指定された期間にわたりライセンスが未使用状態になると、使用されていたすべての製品のライセンス キーがネットワーク ライセンス マネージャーにより解放され、これらのキーを他のユーザーが使用できるようになります。
ライセンス タイムアウトの有効化
タイムアウトを利用するには、ネットワーク ライセンス マネージャーのオプション ファイルで TIMEOUT
オプションを指定しなければなりません。このオプション ファイルは、INCLUDE
、EXCLUDE
、および GROUP
ステートメントのようなライセンス マネージャー オプション ステートメントを含むテキスト ファイルです。
ライセンス タイムアウトを有効化するには、以下の手順を実行します。
オプション ファイルが存在しない場合は、任意のテキスト エディターを使用して作成します。オプション ファイルに
MLM.opt
という名前を付け、このファイルを
フォルダーに配置します。ここで、matlabroot
/etc/$ARCHmatlabroot
はインストール フォルダー、$ARCH
はプラットフォーム固有のフォルダーを表します。たとえば、Windows コンピューターでは次のようにファイルを作成します。C:\Program Files\MATLAB\R2024b\etc\win64\MLM.opt
次の構文を使用して、オプション ファイルに
TIMEOUT
オプションを追加します。TIMEOUT feature seconds
feature
には、MATLAB
を指定します。ツールボックスなど、個々の MathWorks 製品に対して、別々のタイムアウト値を指定することはできません。seconds
には、許可するアイドル時間を指定します。最小値は 4 時間 (14,400 秒) です。これより小さいタイムアウトの値を指定すると、この最小値が使用されます。たとえば、5 時間のタイムアウトを指定するには、オプション ファイルに次のように入力します。TIMEOUT MATLAB 18000
ライセンス ファイルの
DAEMON
行がオプション ファイルの場所を指定していることを確認します。ライセンス ファイルのDAEMON
行では、options=
の構文を使用しなければなりません。たとえば、DAEMON
行は次のようになります。DAEMON MLM "C:\Program Files\MATLAB\R2024b\etc\win64\MLM.exe" \ options="C:\Program Files\MATLAB\R2024b\etc\win64\mlm.opt"
ネットワーク ライセンス マネージャーを停止し、再起動します。ライセンス ファイルを変更した場合、またはオプション ファイル内のタイムアウト値を変更した場合は、必ずライセンス マネージャーを再起動しなければなりません。
ライセンス タイムアウトが発生した場合
次の場合にライセンス タイムアウトが発生することがあります。
タイムアウトが有効になっていて、しかも
MATLAB セッションで長時間にわたって何も処理を行っていない。
このような状況では、ネットワーク ライセンス キーは返されますが、MATLAB は開いたままになります。
タイムアウトは、次のようにネットワーク ライセンス マネージャーのログ ファイルに記録されます。
Idle session. Returning keys for <user>@<machine>
タイムアウトした MATLAB セッションを再開するには、MATLAB の使用を再開します。ライセンス キーが使用可能である場合、MATLAB はライセンス キーを自動的にチェックアウトします。ライセンス キーが使用できない場合、MATLAB は警告を発行して再試行します。MATLAB は 10 回試行した後に終了します。
メモ
タイムアウトした Simulink® セッションに戻ったときに使用できるライセンスがない場合、現在開いているモデルの実行または変更はできません。これらのメニュー オプションは、Simulink ライセンス キーが使用可能になるまで無効になります。ただし、タイムアウトした Simulink セッションでモデルを保存することはできます。