EV バッテリー熱管理システム
この例では、電気自動車 (EV) のバッテリー加熱-冷却システムを示します。バッテリー温度を最適な範囲内に維持することは、効率的な充電および放電にとって重要です。このモデルでは、さまざまな周囲温度における FTP-75 ドライブ サイクルまたは急速充電サイクルのシミュレーションを行います。熱液体冷却液回路は、バッテリーと加熱-冷却ユニットの間で熱を伝達します。EV バッテリー冷却システムの設計の詳細については、EV Battery Cooling System Designを参照してください。
モデル
open_system("EVBatteryThermalManagementSystem");
バッテリーおよびコールド プレート
バッテリーは、直列接続された 4 つのバッテリー パックで構成されています。バッテリー パックは、熱を放出または吸収するためにコールド プレートと接続されています。各セルで使用するデータは、[1] に基づいています。
open_system('EVBatteryThermalManagementSystem/Battery')
コールド プレートには、次の 2 つのバリアントがあります。個別プレートと一体型プレートです。個別プレート バリアントは、それぞれがバッテリー パックと接続される 4 枚の個別冷却プレートで構成されています。各冷却プレートには熱液体チャネルがあり、対応するバッテリー パックはそのチャネルを介して熱を放出または吸収します。この構成図では、青色の長方形はバッテリー パックを表し、白色の背景の長方形は冷却プレートを表します。黄色の線は液体チャネルを表します。

open_system('EVBatteryThermalManagementSystem/Cold Plate/Individual Plates')
一体型プレート バリアントは、すべてのバッテリー パックを載せる 1 枚の大型冷却プレートを表します。この構成図に示すように、このプレートは 16 個のカスタム プレート要素を使用して離散化されています。冷却プレートの高度なモデル化については、Connect Cooling Plate to Battery Blocks (Simscape Battery)を参照してください。

open_system('EVBatteryThermalManagementSystem/Cold Plate/Integrated Plate')
このモデルでは、コンパイル速度を向上させるために、コンパイル時にこれらの要素を再利用します。詳細については、Enable Component Reuse During Compilationを参照してください。
各要素は、Thermal Mass ブロックと Pipe (TL) ブロックで構成されています。Conductive Heat Transfer ブロックは、各要素から隣接する要素およびバッテリーへの熱伝達をモデル化します。
open_system('EVBatteryThermalManagementSystem/Cold Plate/Integrated Plate/Plate Element 1','force')

加熱-冷却ユニット
加熱-冷却ユニットでは、冷却液は熱を放出または吸収します。このユニットには、冷媒システム、ラジエーター、およびヒーターの 3 つのサブユニットがあります。バルブ システムは、これらのサブユニット間に流量を分配します。冷却モードでは、バルブ システムは冷媒システムとラジエーターのみに流れを通し、それらの間で流量を分配して効率的に冷却します。加熱モードでは、バルブ システムは冷却液がヒーターのみを流れるように制御します。
open_system('EVBatteryThermalManagementSystem/Heating-Cooling Unit')
open_system('EVBatteryThermalManagementSystem/Heating-Cooling Unit/Valve System')
ドライブ サイクル シミュレーション
既定では、このモデルは次の条件を使用します。
バッテリー目標温度 = 20℃
周囲温度 = 初期バッテリー温度 = 30℃
システム サイクル = FTP-75 ドライブ サイクル
コールド プレート アーキテクチャ = 個別プレート
モデルを実行します。
sim("EVBatteryThermalManagementSystem")
冷媒システムが動作して、バッテリー温度を低下させます。周囲温度である 30℃ がバッテリー目標温度である 20℃ より高く、ラジエーターでは冷却できないため、バルブ システムは流れをラジエーターへ導きません。
周囲温度を低温の 5℃ に設定してシミュレーションを実行します。初期バッテリー温度は周囲温度と同じです。
T_env = 278; % [K] Cold environment temperature T_init = T_env; % [K] Initial system temperature sim("EVBatteryThermalManagementSystem")

最初はヒーターが熱を供給し、その後は冷たい外気が通過するラジエーターによって、システムの熱が周囲環境へ放出されます。
充電サイクル シミュレーション
バッテリーを効率よく充電するには、温度制御が必要です。適度な周囲温度で充電サイクルのシミュレーションを実行します。
set_param([bdroot '/System Inputs'], 'ActiveScenario', 'Charge_Cycle') t_sim = 1600; % [s] Stop Time battery.Qe_init = 25; % [A*hr] Initial cell charge deficit T_env = 288; % [K] Environment temperature T_init = T_env; % [K] Initial system temperature sim("EVBatteryThermalManagementSystem")

最初は、温度が目標値に収束するまでヒーターが加熱を行います。ヒーターの動作が停止した後も、バッテリー充電によって発生する熱により温度は上昇し続けます。ラジエーターは、最初は少量の充電熱をシステムから除去します。その後は、より強力な冷却を行うために、冷媒システムが充電熱を除去します。熱負荷が高い場合は、冷却分岐のバルブによって、ラジエーターではなく冷媒システムへより多くの冷却液が流れるように制御されます。
次の図は、直列接続された 4 つのリチウムイオン バッテリー パックの性能を示します。
EVBatteryThermalManagementSystemPlot1Battery

次の図は、システム内の熱流量を示します。
EVBatteryThermalManagementSystemPlot2Heat

後半では、冷却液から加熱-冷却ユニットへの熱流量は、バッテリーからコールド プレートへの熱流量よりも大きくなります。この差分の大きさは、ポンプ動力に相当します。
次の図は、システムの入力電力を示します。プロットでは、冷媒とヒーターの効率はいずれも 0.7 であると仮定しています。
EVBatteryThermalManagementSystemPlot3Energy

一体型コールド プレートを使用して、同じ充電サイクルのシミュレーションを行います。
set_param([bdroot '/Cold Plate'], 'OverrideUsingVariant', 'IntegratedPlate') sim("EVBatteryThermalManagementSystem")

次の図は、一体型プレートのヒートマップのアニメーションを示します。

目標温度は 20℃ であり、温度分布は常にほぼ均一です。
参考文献
[1] Huria, Tarun, Massimo Ceraolo, Javier Gazzarri, and Robyn Jackey."High fidelity electrical model with thermal dependence for characterization and simulation of high power lithium battery cells."In 2012 IEEE international electric vehicle conference, pp. 1-8.IEEE, 2012.