範囲収集のためのカスタム データ型オーバーライド設定の使用
この例では、固定小数点ツールでの範囲収集ステップ中に使用されるカスタム データ型オーバーライド設定を指定する方法を示します。
既定では、固定小数点ツールは、モデルに対して指定されているデータ型とデータ型オーバーライドを利用します。固定小数点ツールを使用してモデルのデータ型を double、single、またはスケーリングされた double でオーバーライドすることができます。モデル内の要素に対してカスタム データ型オーバーライドを指定するには、関数 set_param
を使用します。
サンプル モデルの読み込み
fxp_custom_dto
モデルを開きます。このモデルは 3 つのサブシステムで構成されています。ブロック線図を更新 (Ctrl+D) して、モデルに現在設定されているデータ型を表示します。
open_system('fxp_custom_dto')
元のモデルは、モデル内の 3 つのサブシステムそれぞれに対して、倍精度データ型を使用します。
サブシステムのデータ型のオーバーライド
Subsystem A
と Subsystem C
のデータ型を single でオーバーライドするには、関数 set_param
を使用します。
set_param('fxp_custom_dto/Subsystem A','DataTypeOverride','Single'); set_param('fxp_custom_dto/Subsystem C','DataTypeOverride','Single');
ブロック線図を更新してモデルを検証し、データ型オーバーライドが適用されたことを確認します。
固定小数点ツールを使用した範囲の収集
fxp_custom_dto
モデルの [アプリ] タブで、[固定小数点ツール] を選択します。
固定小数点ツールで、[新規]、[範囲の収集] を選択します。[設計対象のシステム (SUD)] で、fxp_custom_dto
を選択します。[範囲の収集モード] で、[シミュレーション範囲] を選択します。
[範囲の収集] で、[現在の設定を使用] を選択します。[範囲の収集] をクリックします。
固定小数点ツールは、モデルに適用された現在のデータ型オーバーライドを使用したシミュレーションを介して範囲を収集します。この例では、Subsystem A
と Subsystem C
のデータ型は single でオーバーライドされ、Subsystem B
は倍精度のままです。
データ型オーバーライドの設定の検証
関数 set_param
を使用して指定されたカスタム データ型オーバーライド設定が、範囲収集の実行中にモデルに適用されたことを検証するには、固定小数点ツールの [結果] スプレッドシートを調べます。
BaselineRun
のコンパイルされたデータ型 ([CompiledDT]) 列は、Subsystem A
および Subsystem C
で single
データ型が使用され、モデルの残りの部分は double
データ型を使用したシミュレーションであったことを示しています。
モデル参照階層に対するデータ型のオーバーライド
参照モデルが含まれるモデルのシミュレーションを実行する場合、最上位モデルのデータ型オーバーライドの設定によって、参照モデルの設定が制御されることはありません。これらの設定は、参照モデルに対して個別に指定し、さらに設定の一貫性が必要かどうかも指定しなければなりません。たとえば、最上位モデルのデータ型オーバーライド設定を double に設定し、参照モデルではローカル設定を使用するように設定した場合に、参照モデルで固定小数点データ型が使用されると、データ型伝播の問題が発生する可能性があります。
参照モデルのいずれかのインスタンスに対してデータ型のオーバーライド設定を変更すると、モデルのすべてのインスタンスと参照モデル自体の設定が変更されます。