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むだ時間のある周波数応答データ (FRD) モデル

この例は、むだ時間の周波数応答データへの吸収が、高い周波数で望まない位相ラッピングを起こす可能性があることを示しています。

むだ時間を含むシステムに対して周波数応答データを収集するときに、むだ時間を位相シフトとして周波数応答に吸収できます。あるいは、測定した周波数応答からむだ時間を分離できるのであれば、frd モデル オブジェクトの InputDelayOutputDelay、または ioDelay プロパティを使用して遅延を表すことができます。後者の方法は、この例が示すように、より良好な数値結果を提供する可能性があります。

frd モデル fsys は、2 秒の伝達遅延を含みます。モデルを MATLAB® ワークスペースに読み込んで、むだ時間を検査します。

load('frddelayexample.mat','fsys')
fsys.IODelay
ans = 2

fsys のボード線図は伝達遅延の効果を示します。この遅延が原因で、周波数の増加に伴い位相の累積が発生します。

bodeplot(fsys)

absorbDelay コマンドは、すべてのむだ時間を周波数応答に直接吸収し、その結果、IODelay = 0frd モデルになります。

fsys2 = absorbDelay(fsys);
fsys2.IODelay
ans = 0

遅延を表す 2 つの方法を比較することによって、遅延を周波数応答に吸収することが位相ラッピングを発生させることがわかります。

bode(fsys,fsys2)

位相ラッピングは、高周波数または周波数グリッドがスパースである数値の誤差を導入する可能性があります。そのため、システムが e-τsG(s) の形式をとる場合は、G(s) の周波数応答データを測定し、InputDelayOutputDelay、または ioDelay を使用してむだ時間 τ をモデル化することによって、よりよい結果を得られる可能性があります。

参考

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