量子化されたシステムの絶対的な安定性
この例では、線形時不変システムが円錐セクターに属する静的な非線形性とのフィードバック相互接続にある場合、絶対的な安定性を強制する方法を示します。
フィードバック接続
図 1 に示すフィードバック接続について考えます。
図 1: フィードバック接続
は線形時不変システム、 は次を満たす円錐セクター (ここで ) に属する静的な非線形性です。
この例では、 は次の離散時間システムです。
A = [0.9995, 0.0100, 0.0001; -0.0020, 0.9995, 0.0106; 0, 0, 0.9978]; B = [0, 0.002, 0.04]'; C = [2.3948, 0.3303, 2.2726]; D = 0; G = ss(A,B,C,D,0.01);
セクター境界のある非線形性
この例では、非線形性 が対数量子化器となります。これは次のように定義されます。
ここで、 です。この量子化器はセクター境界 に属します。たとえば、 の場合、量子化器は円錐セクター [0.1818,1.8182] に属します。
% Quantizer parameter rho = 0.1; % Lower bound alpha = 2*rho/(1+rho) % Upper bound beta = 2/(1+rho)
alpha = 0.1818 beta = 1.8182
量子化器のセクター境界をプロットします。
PlotSectorBound(rho)
は量子化の密度を表します。ここで です。 が大きいほど、量子化された値はより正確になります。この量子化器の詳細については、[1] を参照してください。
絶対的な安定性の円錐セクター条件
量子化器の円錐セクター行列は次によって与えられます。
図 1 のフィードバック接続の安定性を保証するには、線形システム が次を満たす必要があります。
ここで、 と は、それぞれ の入力と出力です。
この条件は、セクター インデックス が 1
より小さいかどうかを確認することで検証できます。
である量子化器の円錐セクター行列を定義します。
Q = [1,-(alpha+beta)/2;-(alpha+beta)/2,alpha*beta];
Q
と G
のセクター インデックスを取得します。
R = getSectorIndex([1;-G],-Q)
R = 1.8247
であるため、閉ループ システムは安定していません。この不安定性を確認するには、次の Simulink® モデルを使用します。
mdl = 'DTQuantization';
open_system(mdl)
Simulink モデルを実行します。
sim(mdl)
open_system('DTQuantization/output')
出力軌跡から、閉ループ システムが不安定であることがわかります。これは、 の量子化器では粗すぎるためです。
として、量子化の密度を濃くします。量子化器は円錐セクター [0.4,1.6] に属します。
% Quantizer parameter rho = 0.25; % Lower bound alpha = 2*rho/(1+rho) % Upper bound beta = 2/(1+rho)
alpha = 0.4000 beta = 1.6000
量子化器のセクター境界をプロットします。
PlotSectorBound(rho)
である量子化器の円錐セクター行列を定義します。
Q = [1,-(alpha+beta)/2;-(alpha+beta)/2,alpha*beta];
Q
と G
のセクター インデックスを取得します。
R = getSectorIndex([1;-G],-Q)
R = 0.9702
なので、 である量子化器は、フィードバック接続の安定性の円錐セクター条件を満たします。
として Simulink モデルを実行します。
sim(mdl)
open_system('DTQuantization/output')
セクター インデックスに示されるように、閉ループ システムは安定しています。
参考文献
[1] M. Fu and L. Xie,"The sector bound approach to quantized feedback control," IEEE Transactions on Automatic Control 50(11), 2005, 1698-1711.