2 波伝播チャネルは、自由空間チャネルよりも複雑度が 1 段高く、マルチパス伝播環境の最も簡単なケースです。自由空間チャネルは、点 1 から点 2 までの直線状の "見通し内" パスのモデルです。2 波チャネルでは、媒体は反射平面境界をもつ均質な等方性媒体として指定されます。境界は常に z = 0 に設定されます。点 1 から点 2 まで伝播する最大 2 波があります。最初の波のパスは、自由空間チャネルと同じ見通し内パスに沿って伝播します。見通し内パスは、"直接パス" と呼ばれることがあります。2 番目の波は点 2 に伝播する前に境界で反射します。反射の法則に従って、反射角は入射角に等しくなります。セルラー通信システムや車載レーダーなどの近距離シミュレーションでは、反射面 (地面や海面) は平坦であると仮定できます。
次の図は、2 つの伝播パスを示します。送信位置 ss と受信側位置 sr から、両方のパスの到来角 θ′los と θ′rp を計算できます。到来角は、ローカル座標系に対する到来放射の仰角と方位角です。この場合、ローカル座標系はグローバル座標系と一致します。送信角度 θlos と θrp を計算することもできます。グローバル座標では、境界での反射角は角度 θrp および θ′rp と同じになります。反射角を知ることは、角度に依存する反射損失データを使用するときに重要です。関数 rangeangle
(Phased Array System Toolbox) を使用し、基準座標軸をグローバル座標系に設定することによって、反射角を決定できます。見通し内パスの合計パス長は、図に Rlos で示されており、送信側と受信側の間の幾何学的距離に等しくなります。反射パスの合計パス長は Rrp= R1 + R2 です。量 L は送信側と受信側の間の地表範囲です。
グローバル座標系の地表範囲とオブジェクトの高さに関して、パス長と角度の正確な式を簡単に導くことができます。