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rangeangle

範囲と角度の計算

R2019b 以降

説明

関数 rangeangle は、送信点または一連の送信点から基準点までの信号の伝播パス長とパス方向を決定します。この関数は、"自由空間" モデルと "2 波" モデルの 2 つの伝播モデルをサポートしています。"自由空間" モデルは、送信点から基準点までの単一の見通し内パスです。"2 波" マルチパス モデルは 2 つのパスを生成します。最初のパスは自由空間パスに従います。2 番目のパスは、z = 0 の境界平面からの反射パスです。パス方向は、基準点のグローバル座標系または基準点のローカル座標系のいずれかに対して定義されます。基準点での距離と角度は、信号がパスに沿って移動する方向に依存しません。

[rng,ang] = rangeangle(pos) は、送信点または一連の送信点 pos からグローバル座標系の原点までの信号パスの伝播パス長 rng と方向角 ang を返します。方向角は、原点でのグローバル座標軸に対する方位角と仰角です。信号は、送信点から原点までの見通し内パスに従います。見通し内パスは、点間の幾何学的直線に対応します。

[rng,ang] = rangeangle(pos,refpos) は、基準点または一連の基準点 refpos も指定します。ここでは、rng には、送信点から基準点までの伝播パス長が含まれています。方向角は、基準点でのグローバル座標軸に対する方位角と仰角です。複数の点と複数の基準点を指定できます。

[rng,ang] = rangeangle(pos,refpos,refaxes) は、基準点でのローカル座標系の座標軸 refaxes も指定します。方向角は、refpos を中心とするローカル座標軸に対する方位角と仰角です。

[rng,ang] = rangeangle(___,model) は伝播モデルも指定します。model"freespace" に設定すると、信号は送信点から受信点までの見通し内パスに沿って伝播します。model"two-ray" に設定すると、信号は送信点から受信点までの 2 つのパスに沿って伝播します。最初のパスは見通し内パスです。2 番目のパスは反射パスです。この場合、関数は、各送信点と対応する基準点に対して 2 つのパスの距離と角度を返します。

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原点から (1000,2000,50) メートルの位置にあるターゲットの範囲と角度を計算します。

TargetLoc = [1000;2000;50];
[tgtrng,tgtang] = rangeangle(TargetLoc)
tgtrng = 2.2366e+03
tgtang = 2×1

   63.4349
    1.2810

(100,100,10) メートルのローカル原点に対する (1000,2000,50) メートルの位置にあるターゲットの範囲と角度を計算します。

TargetLoc = [1000;2000;50];
Origin = [100;100;10];
[tgtrng,tgtang] = rangeangle(TargetLoc,Origin)
tgtrng = 2.1028e+03
tgtang = 2×1

   64.6538
    1.0900

(100,100,10) メートルのローカル座標系原点に対する (1000,2000,50) メートルの位置にあるターゲットの範囲と角度を計算します。グローバル座標の座標軸に対して z 軸の周りに 45° 回転したローカル座標基準フレームを選択します。

targetpos = [1000;2000;50];
origin = [100;100;10];
refaxes = [1/sqrt(2) -1/sqrt(2) 0; 1/sqrt(2) 1/sqrt(2) 0; 0 0 1];
[tgtrng,tgtang] = rangeangle(targetpos,origin,refaxes)
tgtrng = 2.1028e+03
tgtang = 2×1

   19.6538
    1.0900

入力引数

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送信点の位置 (メートル単位)。実数値の 3 行 1 列のベクトルまたは実数値の 3 行 N 列の行列として指定します。行列は複数の送信点を表します。列には、[x;y;z] の形式で N 個の点の直交座標が含まれます。

pos が 3 行 N 列の行列の場合、refpos は、N 個の基準位置に対する 3 行 N 列の行列として指定しなければなりません。すべての基準点が同一である場合は、単一の 3 行 1 列のベクトルで refpos を指定できます。

例: [1000;2000;50]

データ型: double

基準点の位置 (メートル単位)。実数値の 3 行 1 列のベクトルまたは実数値の 3 行 N 列の行列として指定します。行列は複数の基準点を表します。列には、[x;y;z] の形式で N 個の点の直交座標が含まれます。

refpos が 3 行 N 列の行列の場合、pos は、N 個の送信位置に対する 3 行 N 列の行列として指定しなければなりません。すべての送信点が同一である場合は、単一の 3 行 1 列のベクトルで pos を指定できます。

位置の単位はメートルです。

例: [100;100;10]

データ型: double

ローカル座標系の座標軸。実数値の 3 行 3 列の行列または 3 x 3 x N の配列として指定します。配列の場合、各ページは各基準点でのローカル座標系の座標軸に対応します。refaxes の列は、直交座標でのローカル座標系の座標軸の方向を指定します。N は、pos または refpos の次元が 1 より大きい場合、それらの列数に一致しなければなりません。

例: rotz(45)

データ型: double

伝播モデル。"freespace" または "two-ray" として指定します。"freespace" を選択すると、自由空間伝播モデルが呼び出されます。"two-ray" を選択すると、2 波伝播モデルが呼び出されます。

データ型: char | string

出力引数

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伝播範囲 (メートル単位)。実数値の 1 行 N 列のベクトルまたは実数値の 1 行 2N 列のベクトルとして返されます。

  • model"freespace" に設定した場合、rng のサイズは 1 行 N 列になります。伝播範囲は、pos で定義された位置から refpos で定義された対応する基準位置までの直接パスの長さです。

  • model"two-ray" に設定した場合、rng には、直接パスと反射パスの範囲が含まれます。rng の列は、送信点と基準点の同じペアに対する見通し内パスと反射パスをそれぞれ 1 つおきに表します。

方位角と仰角 (度単位)。2 行 N 列の行列または 2 行 2N 列の行列として返されます。各列は、[azimuth;elevation] の形式で方向角を表します。

  • model"freespace" に設定した場合、ang は 2 行 N 列の行列となり、送信点から基準点までのパスの角度を表します。

  • model"two-ray" に設定した場合、ang は 2 行 2N 列の行列になります。ang の列は、見通し内パスと反射パスをそれぞれ 1 つおきに表します。

詳細

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ローカル座標系とグローバル座標系の角度

関数 rangeangle は、グローバル座標系またはローカル座標系のいずれかでパスの距離と角度を返します。既定では、関数 rangeangle は、グローバル座標に対して信号パスが作る角度を決定します。refaxes 引数を追加した場合、ローカル座標に対する角度を計算できます。例として、次の図に、refaxes を使用してグローバル座標 (xyz) から回転させた 5 行 5 列の等間隔矩形アレイ (URA) を示します。ローカル座標系 (x'y'z') の x' 軸は、この配列の主軸に一致していて、配列の動きに応じて動きます。パス長は方向とは無関係です。グローバル座標系は方位角と仰角 (Φ,θ) を定義し、ローカル座標系は方位角と仰角 (Φ',θ') を定義します。

ローカル座標とグローバル座標の座標軸

自由空間伝播モデル

自由空間信号伝播モデルでは、均質な等方性媒体内をある点から別の点まで伝播する信号は、"見通し内パス" または "直接パス" と呼ばれる直線上を移動します。この直線は、放射の伝播元から伝播先までの幾何学的ベクトルによって定義されます。

2 波伝播モデル

2 波伝播チャネルは、自由空間チャネルよりも複雑度が 1 段高く、マルチパス伝播環境の最も簡単なケースです。自由空間チャネルは、点 1 から点 2 までの直線状の "見通し内" パスのモデルです。2 波チャネルでは、媒体は反射平面境界をもつ均質な等方性媒体として指定されます。境界は常に z = 0 に設定されます。点 1 から点 2 まで伝播する最大 2 波があります。最初の波のパスは、自由空間チャネルと同じ見通し内パスに沿って伝播します。見通し内パスは、"直接パス" と呼ばれることがあります。2 番目の波は点 2 に伝播する前に境界で反射します。反射の法則に従って、反射角は入射角に等しくなります。セルラー通信システムや車載レーダーなどの近距離シミュレーションでは、反射面 (地面や海面) は平坦であると仮定できます。

次の図は、2 つの伝播パスを示します。送信位置 ss と受信側位置 sr から、両方のパスの到来角 θ′los と θ′rp を計算できます。到来角は、ローカル座標系に対する到来放射の仰角と方位角です。この場合、ローカル座標系はグローバル座標系と一致します。送信角度 θlos と θrp を計算することもできます。グローバル座標では、境界での反射角は角度 θrp および θ′rp と同じになります。反射角を知ることは、角度に依存する反射損失データを使用するときに重要です。関数 rangeangle (Phased Array System Toolbox) を使用し、基準座標軸をグローバル座標系に設定することによって、反射角を決定できます。見通し内パスの合計パス長は、図に Rlos で示されており、送信側と受信側の間の幾何学的距離に等しくなります。反射パスの合計パス長は Rrp= R1 + R2 です。量 L は送信側と受信側の間の地表範囲です。

グローバル座標系の地表範囲とオブジェクトの高さに関して、パス長と角度の正確な式を簡単に導くことができます。

R=xsxrRlos=|R|=(zrzs)2+L2R1=zrzr+zz(zr+zs)2+L2R2=zszs+zr(zr+zs)2+L2Rrp=R1+R2=(zr+zs)2+L2tanθlos=(zszr)Ltanθrp=(zs+zr)Lθlos=θlosθrp=θrp

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