Boschのエンジニアリングツールチームは、MATLABを使用してENValyzerを開発しました。このツールは、従来の手法との整合性を維持したまま解析作業を簡略化し、エンジニアの意思決定を支援するように設計されています。MATLAB言語のオブジェクト指向プログラミングにより、アプリケーション全体で250以上のクラス定義ファイルを作成するなど、継続的な保守作業を省力化しました。
ENValyzerでは、MATLABの機能を使用して、テストベンチ、車両、収集システムから収集したさまざまな形式の測定データの読み取りと書き込みが可能です。
MATLABとMATLAB用のツールボックスを使用して、回帰分析、曲線近似、フィルター処理、スペクトル解析、データ平滑化、主成分分析(PCA)の計算に使用する関数などの汎用的な解析機能を追加したほか、専門分野に特化した解析用のMATLAB関数も独自に開発しました。
エンジニアがENValyzerで解析結果を可視化できるように、MATLABを使用して、単一プロット、二次プロット、行列プロット、複数軸のビューを追加しています。
結果を表やプロットで表示するPDF、HTML、Microsoft PowerPoint®形式の解析レポートや可視化レポートも生成可能です。レポート作成用テンプレートは、さまざまな分野に合わせて作成やカスタマイズすることができます。
ENValyzerの初期バージョンの作成後、Signal Processing Toolbox™の機能を使用して、さらに高度な機能も追加しました。これにより、フーリエ解析の実行、チェビシェフフィルターやバタワースフィルターによるノイズの除去、Savitzky-Golay平滑化フィルターの適用などが可能になっています。
これらの新しい機能では、特定分野のテストや検証を担当するエンジニアが頻繁に実行するプロセスを自動化しています。たとえば、ステアリンググループに対しては、ステアリングギアの品質を自動で評価できるように、ステアリング角度やトルクなどの測定チャネルについてフィルター処理、平滑化、その他の信号処理を実行する機能をENValyzerに加えました。
Parallel Computing Toolbox™を使用して複数のプロセッサコアで同時に計算を実行できるため、複数のデータファイルをまとめて解析することができます。
また、MATLABをインストールしていないテストエンジニアでもENValyzerを使用できるように、MATLAB Compiler™を使用してスタンドアロンバージョンも作成しました。
Boschは現在、ENValyzerを自社の環境で運用しているほか、MathWorks Connections Programや他のマーケティングフォーラムを通じて他の企業にも販売しています。Boschのインド、ドイツ、北米のエンジニアは、コモンレールシステムやステアリングシステムのデータの評価、ステアリングギアや燃料計センサの検証にENValyzerを使用しています。