MathWorks、新しい予知保全ツールをMATLABに追加

MathWorks は本日、状況監視や予知保全アルゴリズムの設計およびテストを支援する新しい MATLAB 製品、Predictive Maintenance Toolbox を発表しました。Predictive Maintenance Toolbox には、アルゴリズムを設計しているエンジニア向けに、データ管理、機器の状態を示す特徴量の設計、そして状態監視や残存耐用時間（RUL）の推定を行う機能が、多くの例題も合わせて備わっています。

Predictive Maintenance Toolbox を使用して、ローカルに格納されているか、クラウドのストレージ上にあるファイルからインポートしたセンサー データの解析とラベル付けを行うことができます。また、Simulink モデルから生成された、機器障害を表すシミュレーﾄされた故障データにラベルを付けることもできます。スペクトル解析および時系列解析などに基づいた信号処理および動的モデルの手法を用いて、エンジニアはデータの前処理を行い、機器の状態監視に使用可能な特徴量を抽出できます。生存モデル、類似性モデルおよびトレンドベース モデルを使用して RUL を予測することで、機器の故障までの時間推定が可能になります。このツールボックスには、モーター、変速機などの機器向けのリファレンスの例が含まれており、独自の予知保全および状況の監視アルゴリズムの開発に再利用できます。

これによって、エンジニアは機器故障の発生する可能性がある時期の予測や、センサー データの監視による隠れた異常の検出に必要なアルゴリズムを開発および検証することができます。これらのアルゴリズムの開発は、ローカル ファイル、Amazon S3 や Windows Azure Blob Storage などのクラウドのストレージ システム、Hadoop 分散ファイル システムに格納されているヒストリカル データにアクセスすることで行われます。別のデータのソースとして、故障のダイナミクスが組み込まれた機器の物理モデルからのシミュレーション データがあります。データから最適な特徴量を抽出および選択してから、対話型のアプリを使用して機械学習モデルにこれらの特徴量を学習させることで、機器故障を予測または検出することができます。

MathWorks の Technical Marketing Manager の Paul Pilotte は次のように述べています。「予知保全は、産業分野におけるモノのインターネット (IoT) の主要な適用分野です。これは不要な保全のコストの削減と予定外のダウンタイムの削減には不可欠です。機械学習や信号処理のバックグラウンドをもたないエンジニアは、予知保全のアルゴリズムの設計は困難であると感じています。そういったチームも今後は Predictive Maintenance Toolbox を出発点として使用することで、アルゴリズム設計やテスト方法を学び、必要な能力を迅速に身に付けられます。」

故障を予測し機器のダウンタイムを削減したり、故障の根本原因の自動判別、不要なメンテナンスコストの削減を MATLAB を使用してエンジニアリングチームがどのように実現したかの詳細は、予知保全向け MATLAB および Simulink を参照してください。