max

シンボリック入力の最大要素

R2021a 以降

構文

M = max(A)

M = max(A,[],nanflag)

M = max(A,[],dim)

M = max(A,[],dim,nanflag)

M = max(A,[],'all')

M = max(A,[],'all',nanflag)

C = max(A,B)

C = max(A,B,nanflag)

説明

M = max(A) は、シンボリック入力の最大要素を返します。

• A がベクトルの場合、max(A) は A の最大値を返します。

• A が行列の場合、max(A) は各列の最大値を含む行ベクトルです。

シンボリック式を含む入力 A について、シンボリック関数 max は、最大値を表さない引数を削除することによって簡約された未評価の式を返します。出力は、シンボリック変数の条件を表す別の引数をもつ可能性があります。たとえば、syms x; max([1 x]) は、x が複素数であるため、コマンド ウィンドウで出力 max([1, x], [], 2, 'Omitnan', ~in(x, 'real')) を返します。

M = max(A,[],nanflag) は、NaN 値を計算に含めるか除外するかを指定します。たとえば、max(A,[],'includenan') は A にすべての NaN 値を含みますが、max(A,[],'omitnan') はこれらを無視します。

M = max(A,[],dim) は、次元 dim に沿って最大要素を返します。たとえば、A が行列の場合、max(A,[],2) は各行の最大値を含む列ベクトルです。

また、M = max(A,[],dim,nanflag) は、nanflag オプションの使用時に、演算の対象の次元を指定します。

M = max(A,[],'all') は、A のすべての要素の最大値を返します。

M = max(A,[],'all',nanflag) は、nanflag オプションの使用時に、A のすべての要素の最大値を計算します。

C = max(A,B) は、A または B から取得された最大要素をもつ配列を返します。

また、C = max(A,B,nanflag) は、NaN 値の処理方法を指定します。

例

最大実数要素

実数要素のシンボリック ベクトルを作成します。シンボリック関数 max を使用し、最大実数要素を求めます。

syms x real
A = [23 42 37 18 x];
M = max(A)

M = $$\max \left(\left[42,x\right],\left[\right],2,\mathrm{"omitnan"},\mathrm{symfalse}\right)$$

シンボリック関数 max は、未評価の式を返します。式は、最大値を表さない引数を削除することによって簡約されます。

NaN を含む最大要素

シンボリック ベクトルを作成し、その最大値を NaN 値を除いて計算します。

syms x positive
A = [1.75 x 3.25 -2.5 NaN 0.5 NaN 0.2 -4*x];
M = max(A,[],'omitnan')

M = 
$$\max \left(\left[\frac{13}{4},x\right],\left[\right],2,\mathrm{"omitnan"},\mathrm{symfalse}\right)$$

'omitnan' は既定のオプションであるため、max(A) もこの結果を生成します。

'includenan' フラグを使用して NaN を返します。

M = max(A,[],'includenan')

M = $$\mathrm{NaN}$$

行列の各列における最大要素

シンボリック行列を作成し、各列の最大要素を求めます。

syms x real
A = [1 x -0.5; -2 2 x]

A = 
$$\left(\begin{array}{ccc}1& x& -\frac{1}{2}\\ -2& 2& x\end{array}\right)$$

M = max(A)

M = 
$$\left(\begin{array}{ccc}1& \max \left(\left[2,x\right],\left[\right],2,\mathrm{"omitnan"},\mathrm{symfalse}\right)& \max \left(\left[-\frac{1}{2},x\right],\left[\right],2,\mathrm{"omitnan"},\mathrm{symfalse}\right)\end{array}\right)$$

行列の各行における最大要素

シンボリック行列を作成し、各行の最大要素を求めます。

syms x real
A = [1 x -0.5; -2 2 x]

A = 
$$\left(\begin{array}{ccc}1& x& -\frac{1}{2}\\ -2& 2& x\end{array}\right)$$

M = max(A,[],2)

M = 
$$\left(\begin{array}{c}\max \left(\left[1,x\right],\left[\right],2,\mathrm{"omitnan"},\mathrm{symfalse}\right)\\ \max \left(\left[2,x\right],\left[\right],2,\mathrm{"omitnan"},\mathrm{symfalse}\right)\end{array}\right)$$

行列の最大値

シンボリック行列を作成します。

syms x real
A = [1 x -0.5; -2 2 x]

A = 
$$\left(\begin{array}{ccc}1& x& -\frac{1}{2}\\ -2& 2& x\end{array}\right)$$

行列の全次元の最大値を求めるには、'all' オプションを使用します。

M = max(A,[],'all')

M = $$\max \left(\left[2,x\right],\left[\right],2,\mathrm{"omitnan"},\mathrm{symfalse}\right)$$

最大要素の比較

複素数要素を使って 2 つのシンボリック行列を作成します。2 つの行列から取得される最大要素を求めます。これらは、大きさが最大となる複素数値です。

syms x y
A = [x 2+1i; 3 4i; -5 y]

A = 
$$\left(\begin{array}{cc}x& 2+\mathrm{i}\\ 3& 4\hspace{0.17em}\mathrm{i}\\ -5& y\end{array}\right)$$

B = [1 y; 2i 1+1i; -3 x]

B = 
$$\left(\begin{array}{cc}1& y\\ 2\hspace{0.17em}\mathrm{i}& 1+\mathrm{i}\\ -3& x\end{array}\right)$$

C = max(A,B)

C = 
$$\left(\begin{array}{cc}\max \left(\left[1,x\right],\left[\right],2,\mathrm{"omitnan"},x\notin \mathbb{R}\right)& \max \left(\left[2+\mathrm{i},y\right],\left[\right],2,\mathrm{"omitnan"},\mathrm{symtrue}\right)\\ 3& 4\hspace{0.17em}\mathrm{i}\\ -5& \max \left(\left[x,y\right],\left[\right],2,\mathrm{"omitnan"},x\notin \mathbb{R}\vee y\notin \mathbb{R}\right)\end{array}\right)$$

最大関数を使った式のプロット

シンボリック関数 max を使用し、以下の式を定義します。変数 $$x$$ が実数であると仮定します。

$$\mathit{f}\left(\mathit{x}\right)=\{\begin{array}{ll}\sqrt{\mathit{x}-1}& \mathit{x}>1\\ 0& \mathit{x}<1\end{array}$$

syms x real
f(x) = sqrt(max(x,1) - 1)

f(x) = 
$$\sqrt{\max \left(\left[1,x\right],\left[\right],2,\mathrm{"omitnan"},\mathrm{symfalse}\right)-1}$$

fplot を使用して式をプロットします。

fplot(f,[-5 5])

入力引数

A — 入力配列

シンボリック式 | シンボリック式のベクトル | シンボリック式の行列

入力配列。シンボリック式、シンボリック式のベクトルまたは行列として指定します。

• A が複素数の場合、max(A) は最大の絶対値をもつ複素数値を返します。絶対値が等しい場合、max(A) は最大の絶対値および最大の位相角をもつ値を返します。

• A がスカラーの場合、max(A) は A を返します。

• A が 0 行 0 列の空の配列である場合、max(A) も空の配列になります。

データ型: sym | single | double
複素数のサポート: あり

nanflag — NaN の条件

'omitnan' (既定値) | 'includenan'

NaN の条件。次の値のいずれかとして指定します。

• 'omitnan' — 入力の NaN 値をすべて無視します。すべての要素が NaN の場合、max は最初の 1 つを返します。

• 'includenan' — 計算の入力に NaN 値を含めます。

データ型: char

dim — 演算の対象の次元

正の整数スカラー

演算の対象の次元。正の整数スカラーとして指定します。値を指定しない場合、既定値は、サイズが 1 ではない最初の配列の次元です。

次元 dim は、長さが 1 に短縮された次元を示します。size(A,dim) が 0 でない限り、size(M,dim) は 1 であり、他の全次元のサイズは同じままです。size(A,dim) が 0 の場合、max(A,dim) は A と同じサイズの空の配列を返します。

2 次元の入力配列 A について考えます。

• dim = 1 の場合、max(A,[],1) は、各列における最小要素を含む行ベクトルを返します。

  

• dim = 2 の場合、max(A,[],2) は、各行における最小要素を含む列ベクトルを返します。

  

dim が ndims(A) より大きい場合、max は A を返します。

B — 追加の入力配列

シンボリック式 | シンボリック式のベクトル | シンボリック式の行列

追加の入力配列。シンボリック式、シンボリック式のベクトルまたは行列として指定します。入力 A と入力 B は同じサイズまたは適合するサイズでなければなりません (たとえば、M 行 N 列の行列 A と、スカラーまたは 1 行 N 列の行ベクトル B)。詳細については、基本的な演算で互換性のある配列サイズを参照してください。

データ型: sym | single | double
複素数のサポート: あり

出力引数

M — 最大値

シンボリック式 | シンボリック式のベクトル | シンボリック式の行列

最大値。シンボリック式、シンボリック式のベクトルまたは行列として返されます。size(A,dim) が 0 でない限り、size(M,dim) は 1 であり、他の全次元のサイズは、A において対応する次元のサイズと一致します。size(A,dim) が 0 の場合、M は A と同じサイズの空の配列です。

C — A または B からの最大要素

シンボリック式 | シンボリック式のベクトル | シンボリック式の行列

A または B からの最大要素。シンボリック式、シンボリック式のベクトルまたは行列として返されます。C のサイズは、A および B の次元の暗黙的な拡張によって決まります。詳細については、基本的な演算で互換性のある配列サイズを参照してください。

バージョン履歴

R2021a で導入

R2021a: シンボリック式の最大要素の検索

シンボリック変数を含むシンボリック式に対して関数 max を使用できるようになりました (以前のリリースではエラーがスローされました)。

参考

sort | min

トピック

• 配列インデックス付け