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火星のヘリコプターのシステムレベル設計

この例では、Simscape™ Electrical™ を使用して、火星での飛行に適した同軸回転子をもつヘリコプターをモデル化する方法を説明します。このヘリコプターは NASA が開発したロボット ヘリコプター Ingenuity をヒントにしています。これは、別の惑星での最初の動力飛行を実現しました。

ヘリコプターの高度を対話的に制御するために、Command Dashboard サブシステム内のブロックを使用します。

モデルの概要

このヘリコプターのモデルは、ソーラー パネル、バッテリー パック、ヒーター、モーターとドライブ、2 個のギアボックス、二重反転する 2 個の同軸回転子で構成され、さらに重力、抗力、質量および接地力の 1D 機械モデルも含みます。

バッテリー パックには、直列接続された 6 個のリチウムイオン セルがあります。中央のセルのみがインストルメント化されます。ヒーターが中央のセルに取り付けられています。熱はセル同士の間や防護ケースに移動して、火星の環境に放散します。

バッテリー パックの正しいサイズを決定するには、モーター ドライブのノミナル電圧と必要なノミナル電力、ノミナル飛行時間、ペイロード重量、およびバッテリー エネルギーと重量の比を考慮する必要があります。さらに、ソーラー パネルのサイズと平均日照量、および低温となる火星の夜間に最小温度を維持するために必要な熱量を併せて、1 日あたりのサイクルで貯蔵できる最小エネルギーおよび最大エネルギーが決まります。

Command Dashboard

シミュレーション中にヘリコプターを対話的に制御するために、Command Dashboard サブシステム内で Slider ブロック、Switch ブロック、および Knob ブロックを使用します。

モデルはリアルタイムよりはるかに速く方程式を解くため、システムでは、アニメーションがリアルタイムより 30 倍だけ速くなるように、シミュレーションの進行を遅くすることができます。

制御システムの概要

このヘリコプターは、-125℃の低温に達することもある火星の寒い夜を乗り切る必要があります。電子回路とバッテリーはそのような温度で動作できないため、ヒーターが温度を許容範囲に維持します。

回転子は飛行中に大量の電力を消費し、バッテリーは特定の温度を超える場合にのみ、そのような電力を供給できます。離陸前に、ヒーターを使用してそのような温度に達する必要があります。

ヘリコプターが離陸可能になると、Flight Controller サブシステムでの高度の制御が有効になります。これは、回転子の速度、昇降速度、および高度をそれぞれ制御する 3 つの PID で構成されています。出力は、Motor & Drive ブロック用の指令トルクです。

高度とバッテリー セル温度のプロット

バッテリー セル数に対する飛行時間のプロット

バッテリーの総数が、最大飛行可能時間に直接影響します。さらにバッテリーを追加してより多くのエネルギー ストレージを用意できますが、これは機体の重量も増加させます。最終的に、追加の重量を持ち上げるだけの十分な電力をモーターから提供できなくなります。

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