プログラムによるモデル保守性メトリクスの収集

この例では、モデル保守性ダッシュボードで使用されるメトリクスデータを収集し、レポートを生成し、そのレポートを使用してモデル設計アーティファクトを評価する方法を説明します。

プロジェクト内のあるモデルが大きい、複雑である、または可読性が良くないなどの場合、設計のテストが困難で、保守が難しくなる可能性があります。メトリクス結果を使用して、より小さくテストが可能なユニットを識別したり、モデルを再構成して可読性を向上させたりして、設計をリファクタリングする必要があるかどうかを判定します。

メトリクス結果の収集とアクセス

プロジェクトを開く

解析するモデルを含むプロジェクトを開きます。この例では、MATLAB® コマンドウィンドウで次のように入力します。

dashboardCCProjectStart

メトリクス結果の収集

metric.Engine オブジェクトを作成します。metric.Engine オブジェクトを使用して、現在のプロジェクトについてのメトリクスデータを収集できます。

metric_engine = metric.Engine();

モデルの保守性についてのメトリクス識別子の配列を作成します。

maintainabilityMetrics = getAvailableMetricIds(metric_engine,...
App="DashboardApp",...
Dashboard="ModelMaintainability");

一度に 1 つのユニットの結果、またはプロジェクト内の各ユニットの結果を収集できます。

この例では、ユニット db_ControlMode についての結果を収集するとします。プロジェクト内のモデルファイルへのパスとモデルの名前を特定する配列を作成します。

unit = [fullfile(pwd,"models","db_ControlMode.slx"),"db_ControlMode"];

関数 execute を使用してユニット db_ControlMode の保守性メトリクス結果を収集します。

execute(metric_engine,maintainabilityMetrics,ArtifactScope=unit);

メトリクス結果へのアクセスと表示

関数 getMetrics を使用してメトリクス結果にアクセスします。この例では、メトリクス slcomp.SimulinkSignalLines およびユニット db_ControlMode についての結果を保存します。

results_SignalLines = getMetrics(metric_engine,"slcomp.SimulinkSignalLines",...
ArtifactScope=unit);

モデル保守性メトリクス slcomp.SimulinkSignalLines によって、モデルの各層の Simulink® 信号線の数が判定されます。モデル保守性メトリクスの詳細については、モデル保守性メトリクスを参照してください。

関数 getMetrics は、特定のメトリクスについてのメトリクス結果を含む metric.Result オブジェクトを返します。

関数 disp を使用してモデル層と信号線の数を表示します。これらは、metric.Result オブジェクトの Artifacts プロパティと Value プロパティにあります。マシンによっては異なる順序で結果が表示されることがあります。

for n=1:length(results_SignalLines)

    disp([' Model Layer: ', results_SignalLines(n).Artifacts.Name])
    disp(['Signal Lines: ', num2str(results_SignalLines(n).Value)])
    disp(newline);

end

 Model Layer: Switch Case Action
Subsystem1

Signal Lines: 1

 Model Layer: Switch Case Action
Subsystem

Signal Lines: 1

 Model Layer: Control_Mode_StateMachine

Signal Lines: 60

 Model Layer: Transitions_From_ACTIVE

Signal Lines: 14

 Model Layer: check_speed_range

Signal Lines: 6

 Model Layer: Transitions_From_DISABLED

Signal Lines: 11

 Model Layer: Switch Case Action
Subsystem2

Signal Lines: 1

 Model Layer: Switch Case Action
Subsystem2

Signal Lines: 1

 Model Layer: wasActiveOnce

Signal Lines: 12

 Model Layer: Transitions_From_THROTTLE_OVERRIDE

Signal Lines: 14

 Model Layer: db_ControlMode

Signal Lines: 14

 Model Layer: Target_Speed_Calculator

Signal Lines: 18

 Model Layer: Switch Case Action
Subsystem1

Signal Lines: 1

 Model Layer: Switch Case Action
Subsystem

Signal Lines: 23

 Model Layer: isFirstStep

Signal Lines: 2

 Model Layer: Switch Case Action
Subsystem4

Signal Lines: 1

 Model Layer: Switch Case Action
Subsystem3

Signal Lines: 1

 Model Layer: Transitions_From_ENABLED

Signal Lines: 20

 Model Layer: db_ControlMode_DisableTransition

Signal Lines: 10

 Model Layer: db_ControlMode_DeactivateTransition

Signal Lines: 10

コード出力には、モデル層 Control_Mode_StateMachine に 60 の Simulink 信号線が含まれていることが示されています。これらの結果に基づいて、そのモデル層を再構成して可読性を向上させることを検討します。

レポートの生成

metric_engine に収集されたモデルの保守性の結果を含むレポートファイルを生成します。既定では、レポートファイルの種類は PDF です。この例では、レポートファイルの種類を HTML として指定します。

generateReport(metric_engine,...
App="DashboardApp",...
Dashboard="ModelMaintainability",...
Type="html-file");

メトリクス結果をレポートファイルに保存して、プロジェクトやダッシュボードを開くことなくアクセスします。

あるいは、モデル保守性ダッシュボードを開いて結果を表示し、アーティファクトを確認できます。プログラムでモデル保守性ダッシュボードにアクセスするには、次のように入力します。

modelDesignDashboard

参考

モデル保守性メトリクス