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家の熱モデル

この例では、Simulink® を使用して家の熱モデルを作成する方法を示します。このシステムでは、屋外環境、家の熱特性、および家の暖房システムがモデル化されます。

sldemo_househeat_data.m ファイルでは、モデル ワークスペースのデータが初期化されます。変更するには、モデル ワークスペースを直接編集するか、ファイルを編集してモデル ワークスペースを再度読み込みます。モデル ワークスペースを表示するには、Simulink エディターの [モデル化] タブで、[モデル エクスプローラー] をクリックします。

モデルを開く

まず、sldemo_househeat モデルを開きます。

モデルの初期化

このモデルでは、一般的な家の暖房コストが計算されます。モデルを開くと、家に関する情報が sldemo_househeat_data.m ファイルから読み込まれます。このファイルは以下の操作を行います。

  • 家の形状 (大きさ、ウィンドウの数) の定義

  • 建材の熱特性の指定

  • 家の熱抵抗の計算

  • ヒーターの特性 (温風の温度、流量) の指定

  • 電気代の定義 (0.09 $/kWhr)

  • 初期室温の指定 (20℃ = 68℉)

  • メモ: 時間は時 (hour) 単位で指定されます。特定の数量、たとえば空気の流量などは、1 時間あたり (1 秒あたりではなく) の数量で表されます

モデルのコンポーネント

Set Point

Set Point は Constant ブロックです。室内で維持される温度が指定されます。既定では、70℉です。温度は℉単位で指定されます。モデルは温度を℃に変換します。

Thermostat

Thermostat サブシステムには、Relay ブロックが含まれます。望ましい室温の上下 5℉以内の変動が許容されます。気温が 65℉を下回ると、ヒーターのスイッチが入ります。

Thermostat サブシステムを開きます。

Heater

Heater サブシステムは、一定の空気流量 Mdot をモデル化します。これは、sldemo_househeat_data.m ファイルで指定されます。サーモスタットからの信号によって、ヒーターのスイッチは入ったり切れたりします。ヒーターのスイッチが入っている場合は、温度 THeater (既定値は 50℃ = 122℉) の温風が一定流量 Mdot (既定値は 1kg/ 秒 = 3600kg/ 時) ヒーターから送り出されます。方程式 1 は、室内への熱流量を表しています。

方程式 1

$$\frac{dQ}{dt}=\left( T_{heater} - T_{room} \right) \cdot Mdot \cdot c$$

$$\frac{dQ}{dt} = \mbox{ heat flow from the heater into the room}$$

$$c = \mbox{ heat capacity of air at constant pressure}$$

$$Mdot = \mbox{ air mass flow rate through heater (kg/hr)}$$

$$T_{heater} = \mbox{ temperature of hot air from heater}$$

$$T_{room} = \mbox{ current room air temperature}$$

Heater サブシステムを開きます。

Cost Calculator

Cost Calculator は Gain ブロックです。Cost Calculator により、経時変化する熱流量が積分され、エネルギー コストに乗算されます。モデルは、暖房コストを PlotResults スコープにプロットします。

House

House は、室温の変動が計算されるサブシステムです。ヒーターからの熱流量と屋外環境への放熱量が考慮されます。放熱量と温度の時間微係数は、方程式 2 で表されます。

方程式 2

$$\left( \frac{dQ}{dt} \right) _{losses} = \frac{T_{room}-T_{out}}{R_{eq}}$$

$$\frac{dT_{room}}{dt} = \frac{1}{M_{air} \cdot c} \cdot \left( \frac{dQ_{heater}}{dt} - \frac{dQ_{losses}}{dt} \right) $$

$$M_{air} = \mbox{ mass of air inside the house}$$

$$R_{eq} = \mbox{ equivalent thermal resistance of the house}$$

House サブシステムを開きます。

屋外環境のモデル化

屋外環境をシミュレーションするため、モデルでは熱容量が無限で温度 Tout が経時的に変化するヒート シンクを使用します。Constant ブロック Avg Outdoor Temp は、屋外の平均気温として指定されます。Daily Temp Variation Sine Wave ブロックにより、屋外温度の毎日の変動が生成されます。これらのパラメーターの値を変化させることで、暖房コストへの影響を調べることができます。

シミュレーションの実行と結果の可視化

シミュレーションを実行します。PlotResults スコープを使用して結果を可視化します。スコープは、暖房コスト、室温、および屋外の気温をプロットします。屋外の気温は正弦関数的に変動しています。室温は Set Point の 5℃以内に保たれています。時間軸の単位は時 (hour) です。

このモデルによれば、この家の 2 日間の暖房コストは約 $30 です。これらのパラメーター値を変化させて、システム応答を観察してみてください。

次のステップ

このモデルは暖房コストのみを計算します。屋外の気温が室温よりも高い場合、室温は、望ましい Set Point を超えます。

このモデルを変更してエアコンを組み込むことができます。エアコンは、ヒーターを変更したものとして実装できます。これを行うには、以下のようなパラメーターを sldemo_househeat_data.m に追加します。

  • 冷風出力

  • エアコンからの気流の温度

  • エアコンの効率

エアコンとヒーターの両方を制御するには、サーモスタットを変更します。

参考

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