二相流体システムのモデル化
Two-Phase Fluid ライブラリのブロックは、位相変化が発生する可能性のある流体をモデル化します。二相流体は、蒸発や凝縮によってモデル内の温度や圧力に反応します。二相流体ドメインのブロックは、液体、蒸気、その両方、または超臨界流体をモデル化できます。
Two-Phase Fluid ライブラリの使用
二相流体のブロックでは、流体と蒸気の混合物が均質であり、流体相間で速度差がないものと仮定されます。二相流体ドメインは、層化した液体および蒸気の流れをモデル化せず、混合物を単一の流体として扱います。唯一の例外は、Simscape™ Fluids™ ライブラリにある Receiver Accumulator (2P) (Simscape Fluids) ブロックです。このブロックは、液体と蒸気の分離を明示的にモデル化します。
アクロス変数は絶対圧力と比内部エネルギーで、スルー変数は質量流量とエネルギー流量です。これらの変数では、圧力と質量流量の積は仕事率ではないため、疑似ボンド グラフが生成されます。
二相流体のブロックは、チョーク流れをモデル化しません。チョーク流れをモデル化する必要がある場合は、Interface (2P-G) (Simscape Fluids) ブロックを挿入し、気体ドメインを使用してチョーク流れをモデル化します。Interface (2P-G) (Simscape Fluids) ブロックは、Simscape Fluids ライブラリにあります。
対象とする用途
Two-Phase Fluid ライブラリには、オリフィス、チャンバー、油圧機械式変換器、センサーおよびソースなどの基本的な要素が含まれています。これらのブロックを使用して、以下のような、液体で位相変化が必要となる用途でモデルを作成します。
HVAC システム
冷凍サイクル
自動車冷却システム
発電
Simscape Fluids のライセンスをお持ちの場合は、熱交換器、流体機械、バルブなどのより複雑なブロックを使用できます。詳細については、Two-Phase Fluid ライブラリ (Simscape Fluids)を参照してください。
二相流体特性
温度や粘度などの二相流体特性は、圧力および内部エネルギーの関数です。Two-Phase Fluid Properties (2P) ブロックを使用して、ネットワークの二相流体特性を指定します。twoPhaseFluidTables 関数を使用して、ブロックの流体特性を生成できます。特定の作動流体に対する流体特性の生成の詳細については、流体プロパティ テーブルの手動生成を参照してください。
Simscape Fluids のライセンスをお持ちの場合は、Two-Phase Fluid Predefined Properties (2P) (Simscape Fluids) ブロックを使用して二相流体システムで事前定義済みの作動流体を指定できます。このブロックを使用して、指定した圧力と温度の範囲で、水、一般的な冷媒、二酸化炭素、およびその他の流体を含むリストから作動流体を選択します。
Two-Phase Fluid Properties (2P) ブロックを使用して、作動流体の p-h 線図を可視化できます。ブロック ダイアログ ボックスを開き、[プロット] の下で、[二相流体特性 (コンター)] の横にある [プロット] ボタンをクリックします。次の図で、流体領域がラベル付けされた、既定の二相流体の p-h 線図を示します。

飽和ドームの下にある流体は、蒸気と液体の混合物です。プロット内の等高線は、固定温度値を示します。ドームの下で温度等高線に沿って右に移動すると、圧力は固定のまま、エンタルピーおよび蒸気乾き度が増加します。ドームの左側は飽和液体曲線、右側は飽和蒸気曲線です。これらの 2 つの曲線は臨界点で交わります。臨界点より上は超臨界領域であり、蒸気と液体が別個の位相として存在しません。
二相流体の一部のブロックでは、過冷却度または過熱度によって内部状態が定義されます。たとえば、Reservoir (2P) ブロックでは、[タンクのエネルギーの指定] を [過冷却度] または [過熱度] に設定し、それぞれ [タンクの過冷却] または [タンクの過熱] パラメーターを使用してタンクのエネルギーを指定できます。これらのパラメーターはいずれも温度変化の単位をもち、飽和ドームからの温度についての距離を定義します。過冷却は、左側の曲線から左方向への距離、すなわち液体の飽和温度と流体温度の差です。過熱は、右側の曲線から右方向への距離、すなわち流体温度と蒸気の飽和温度の差です。
二相流体の体積をもつブロック
Two-Phase Fluid ライブラリの特定のブロックは、流体体積をモデル化します。これらのブロックは、ブロック内部の二相流体の体積を表すために内部ノードを使用します。この内部ノードは表示されませんが、Simscape データ ログを使用してそのパラメーターと変数にアクセスできます。詳細については、シミュレーション データ ログについてを参照してください。
次のブロックは、流体体積をモデル化します。Controlled Reservoir (2P) ブロックおよび Reservoir (2P) ブロックの場合、ブロックは体積を無限大としてモデル化します。
| ブロック | 二相流体の体積 |
|---|---|
| Constant Volume Chamber (2P) | 有限 |
| Pipe (2P) | 有限 |
| Rotational Mechanical Converter (2P) | 有限 |
| Translational Mechanical Converter (2P) | 有限 |
| Reservoir (2P) | 無限 |
| Controlled Reservoir (2P) | 無限 |
Two-Phase Fluid ライブラリの他のコンポーネントでは、流体体積を任意に小さくできるため、コンポーネント内に流体が入ってから出て行くまでの時間はごく短くなります。これらのコンポーネントは準定常状態であり、内部ノードをもちません。
ブロックの端子における断面積
二相流体ドメインの多くのブロックでは、入口端子と出口端子における断面積をブロック パラメーターとして指定できます。相互に接続する端子には同じ断面積を指定します。たとえば、Constant Volume Chamber (2P) ブロックの端子 [A] を Pipe (2P) ブロックに接続する場合、Constant Volume Chamber (2P) ブロックの [端子 A での断面積] パラメーターを Pipe (2P) ブロックの [断面積] パラメーターと同じ値に設定します。
流速が速い (マッハ数が 1 に近い) 場合は特に、接続された端子の面積の違いが予期しない温度差となって現れることがあります。詳細については、端子における断面積の指定を参照してください。