等温流体のモデル化のオプション
等温流体ドメインでは、作動流体は、液体と少量の混入空気の混合体です。混入空気とは、流体内に閉じ込められている不溶気体の相対量です。液体と気体の特性は別々に制御できます。
混入空気の量はゼロに指定できます。混入空気がゼロの流体は理想的です。つまり、純粋液体を表します。
混合体の体積弾性率は、一定または圧力の線形関数とすることができます。
混合体に含まれる混入空気の量がゼロ以外の場合は、空気溶解モデルを選択できます。空気溶解がオフの場合、混入空気の量は一定となります。空気溶解がオンの場合、混入空気は液中に溶解可能です。
さまざまな流体特性の計算に使用する方程式は、選択したモデルによって異なります。
混入空気がゼロ | 混入空気が一定 | 空気溶解がオン |
---|---|---|
体積弾性率が一定 | 体積弾性率が一定 | 体積弾性率が一定 |
体積弾性率が圧力の線形関数 | 体積弾性率が圧力の線形関数 | 体積弾性率が圧力の線形関数 |
Isothermal Liquid Properties (IL) ブロックを使用して、適切なモデル化オプションを選択します。
共通の方程式記号
方程式では次の記号を使用します。
p | 液体の圧力 |
p0 | 基準圧力 |
pmin | 最小有効圧力 |
pc | 臨界圧 |
βmix | 混合体の等温体積弾性率 |
βL | 純粋液体の体積弾性率 |
βL0 | 基準圧力 p0 における純粋液体の体積弾性率 |
Kβp | 体積弾性率が圧力の線形関数である場合の比例係数 |
ρmix | 混合体の密度 |
ρL | 純粋液体の密度 |
ρL0 | 基準圧力 p0 における純粋液体の密度 |
ρg | 空気の密度 |
ρg0 | 基準圧力 p0 における空気の密度 |
θ(p) | 圧力の関数としての混入空気の割合 |
α | 流体混合体内の混入空気の体積分率 |
α0 | 基準圧力 p0 における流体混合体内の混入空気の体積分率 |
V | 混合体の合計体積 |
VL | 純粋液体の体積 |
VL0 | 基準圧力 p0 における純粋液体の体積 |
Vg | 空気の体積 |
Vg0 | 基準圧力 p0 における空気の体積 |
M | 混合体の合計質量 |
ML | 純粋液体の質量 |
ML0 | 基準圧力 p0 における純粋液体の質量 |
Mg | 空気の質量 |
Mg0 | 基準圧力 p0 における空気の質量 |
n | 空気のポリトロープ指数 |
理想流体
混入空気がゼロの流体は理想的です。つまり、純粋液体を表します。
体積弾性率が一定
このモデルの場合、定義方程式は次のとおりです。
混合体の密度
混合体の密度の偏微分
混合体の体積弾性率
体積弾性率が圧力の線形関数
このモデルの場合、定義方程式は次のとおりです。
混合体の密度
混合体の密度の偏微分
混合体の体積弾性率
一定の混入空気量
実際には、作動流体には少量の混入空気が含まれます。この一連のモデルでは、シミュレーション中の混入空気の量が一定のままであると仮定します。
体積弾性率が一定
このモデルの場合、定義方程式は次のとおりです。
混合体の密度
混合体の密度の偏微分
混合体の体積弾性率
体積弾性率が圧力の線形関数
このモデルの場合、定義方程式は次のとおりです。
混合体の密度
混合体の密度の偏微分
混合体の体積弾性率
空気溶解がオン
この一連のモデルでは、シミュレーション中に空気溶解の効果を考慮することができます。
基準圧力 p0 (大気圧に等しいと仮定) 以下の圧力では、すべての空気が混入すると仮定される。
pc 以上の圧力では、すべての混入空気が液体に溶解している。
p0 ~ pc の圧力では、溶解によって失われない混入空気の体積分率 θ(p) は圧力の関数となる。
体積弾性率が一定
このモデルの場合、定義方程式は次のとおりです。
混合体の密度
混合体の密度の偏微分
混合体の体積弾性率
体積弾性率が圧力の線形関数
このモデルの場合、定義方程式は次のとおりです。
混合体の密度
混合体の密度の偏微分
混合体の体積弾性率
参照
[1] Gholizadeh, Hossein, Richard Burton, and Greg Schoenau. “Fluid Bulk Modulus: Comparison of Low Pressure Models.” International Journal of Fluid Power 13, no. 1 (January 2012): 7–16. https://doi.org/10.1080/14399776.2012.10781042.
参考
Isothermal Liquid Properties (IL)