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クラッター モデリング

表面クラッターの概要

"表面クラッター" とは、陸、海、または陸海境界からのレーダー信号の反射を指します。表面上を移動する、または表面上にあるターゲットを検出またはトラッキングしようとする場合、クラッターと関心対象を区別できなければなりません。たとえば、地上移動目標指示器 (GMTI) レーダーの用途は、木や家屋からのレーダー反射を考慮しながら地上のターゲットを検出する必要があります。

レーダー システムをシミュレーションする場合、システムが表面クラッターの影響を確実に排除できるように、シミュレーションに表面クラッターを組み込む必要があります。レーダー システムの統計的パフォーマンスを解析する場合は、クラッター リターン分布を解析に組み込む必要があるかもしれません。

クラッターのシミュレーションや解析のためのアプローチ

Radar Toolbox ソフトウェアには、表面のクラッターをシミュレーションや解析に組み込むのに役立つ以下のツールが用意されています。

定数ガンマ クラッター シミュレーションの設定に関する考慮事項

constantGammaClutter を使用する場合は、シミュレーションする状況に合わせてオブジェクトを構成するとともに、ソフトウェアが行う仮定がシステムに対して有効であることを確認しなければなりません。

物理構成プロパティ

constantGammaClutter オブジェクトには、モデル化している状況の物理的な側面に対応するプロパティがあります。これらのプロパティには次が含まれます。

  • 信号の伝播速度、サンプル レート、パルス繰り返し周波数

  • システムの動作周波数

  • レーダー プラットフォームの高度、速度、および方向

  • レーダー アンテナ アレイのブロードサイド俯角

クラッター関連プロパティ

オブジェクトには、クラッターの特性、場所、およびモデリングの忠実度に対応するプロパティがあります。これらのプロパティには次が含まれます。

  • 地形タイプとシステムの動作周波数に依存するガンマ パラメーター。

  • クラッター シミュレーションの方位角カバレッジと最大レンジ。

  • 各クラッター パッチの方位角の範囲。ソフトウェアは内部的に、クラッター リングを、オーバーラップすることなく隣接する一連のクラッター パッチに分割します。

  • クラッターのコヒーレンス時間。この値は、ソフトウェアがクラッター シミュレーションで乱数セットを変更する頻度を示します。

    シミュレーションでは、時間間隔にわたって同一の乱数を使用することも、無相関の乱数を使用することもできます。シミュレーションの動作は現実とは少し異なり、移動するプラットフォームでは短い時間間隔で相互に相関するクラッター リターンが生成されます。

サンプルまたはパルスの使用

constantGammaClutter オブジェクトには、便利な形式で結果を取得できるプロパティがあります。OutputFormat プロパティを使用し、step メソッドに以下を表現する信号を生成させることを選択できます。

  • 固定数のパルス。オブジェクトの NumPulses プロパティを使用してパルスの数を示します。

  • 固定数のサンプル。オブジェクトの NumSamples プロパティを使用してサンプルの数を指定します。通常は 1 つのパルス内のサンプル数を使用します。スタッガード PRF の用途では、step 出力の行列サイズが常に同じであるため、このオプションの方が便利な場合があります。

仮定

constantGammaClutter が提供するクラッター シミュレーションは、次の仮定に基づいています。

  • レーダー システムはモノスタティックである。

  • 伝播は自由空間で行われる。

  • 地形は均質である。

  • クラッター パッチはコヒーレンス時間中は静止している。"コヒーレンス時間" は、ソフトウェアがクラッター シミュレーションで乱数セットを変更する頻度を示します。

  • 信号は狭帯域であるため、空間応答とドップラー シフトは位相シフトによって近似できる。

  • レーダー システムはシミュレーション中に一定の高度を維持する。

  • レーダー システムはシミュレーション中に一定の速度を維持する。

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