イメージのガイド付きフィルター処理とは
ガイド付きイメージ フィルター処理では、ガイド イメージと呼ばれる別のイメージからのコンテキストを使用して、イメージ フィルター処理の出力に影響を与えます。他のフィルタリング演算と同様に、ガイド付きイメージ フィルター処理は近傍演算です。ただし、ガイド付きイメージ フィルター処理では、出力ピクセルの値を計算するときに、ガイド イメージ内の対応する空間近傍にある領域の統計を考慮します。ガイド イメージとして使用できるのは、対象のイメージ自体、別バージョンのイメージ、まったく異なるイメージのいずれかです。さまざまなガイド イメージを選択することで、カラーライゼーション、イメージ マッティング、フラッシュあり/フラッシュなしのノイズ除去、エッジ保存型フィルター処理などのさまざまなイメージ処理演算を実行できます。
アルゴリズム
ガイド イメージ G
を使用してイメージ A
をフィルター処理する場合、ガイド付きイメージ フィルター処理は、入力イメージ A
のピクセル i の値とその空間近傍、およびガイド イメージ G
の対応するピクセルとその空間近傍を使用して、出力 B
のピクセル i の値を決定します。ガイド イメージ G
が入力イメージ A
と同じ場合、出力イメージ B
の構造は入力イメージ A
と同じままになります。ガイド イメージ G
が入力イメージ A
と異なる場合、ガイド イメージ G
の構造が出力イメージ B
に影響を与え、これらの構造が入力イメージ A
に刷り込まれることになります。この効果は "構造転写" と呼ばれます。
出力イメージ B
は、局所的には、ガイド イメージ G
の線形変換です。
bi と gi は、それぞれ B
と G
の i 番目のピクセルです。xk と yk は、アルゴリズムが一定であると仮定する場合の正方形ウィンドウ ωk 内の係数です。
関数 imguidedfilter
は、線形変換の重みを最適化して、入力イメージ A
と出力イメージ B
の間の誤差 E を最小化します。
ai は A
の i 番目のピクセルです。ε は、ガイド イメージ G
が出力イメージ B
に与える影響度を制御する正規化パラメーターであり、平滑化の度合いに相当します。
ε に高い値を指定する場合、コスト関数を最小化するために、係数 xk を小さくし、yk を入力イメージ A
のピクセル ai の値に近づけなければなりません。この xk と yk の値により、ガイド イメージ G
の影響度が低減され、出力イメージ B
がより滑らかになります。一方、ε に低い値を指定する場合は、係数 xk に大きな値を指定できます。これにより、ガイド イメージ G
の影響度が増し、出力イメージ B
の滑らかさが低下します。関数 imguidedfilter
を使用する場合、名前と値の引数 DegreeOfSmoothing
を調整することで ε の値を制御し、名前と値の引数 NeighborhoodSize
を指定することでフィルター処理に対する近傍の影響度を制御できます。近傍のサイズはウィンドウ ωk の半径です。
用途
さまざまなガイド イメージを選択することで、カラーライゼーション、イメージ マッティング、フラッシュあり/フラッシュなしのノイズ除去、エッジ保存型フィルター処理などのさまざまなイメージ処理演算を実行できます。
カラーライゼーション — イメージのさまざまな部分に対話的に希望の色を付けたグレースケール イメージがある場合、その希望の色を使用してイメージ全体に色付けすることができます。入力イメージ
A
としてイメージの色差チャネルを使用し、構造に適用するガイド イメージG
として輝度チャネルを使用します。イメージ マッティング — RGB イメージのアルファ マット データを強調して、細い構造をキャプチャできます。入力イメージ
A
としてアルファ マットを使用し、構造に適用するガイド イメージG
として RGB イメージを使用します。フラッシュあり/フラッシュなしのノイズ除去 — フラッシュなしで撮影されたイメージはノイズが発生しやすくなります。フラッシュを使用して撮影した対応するイメージを使用して、フラッシュなしのイメージのノイズを除去できます。入力イメージ
A
としてフラッシュなしのイメージを使用し、構造に適用するガイド イメージG
としてフラッシュありのイメージを使用します。ガイド付きフィルターを使用したフラッシュあり/フラッシュなしのノイズ除去の例については、ガイド付きフィルターを使用したフラッシュあり/フラッシュなしのノイズ除去の実行を参照してください。
エッジ保存型フィルター処理 — 入力イメージ
A
と同じイメージおよびガイド イメージG
を使用して、エッジを保存しながらイメージをフィルター処理できます。ガイド付きフィルターを使用したエッジ保存型フィルター処理の例については、エッジ保存型フィルター処理が行われたサーモグラフィ イメージのセグメント化を参照してください。
参照
[1] He, Kaiming, Jian Sun, and Xiaoou Tang. “Guided Image Filtering.” IEEE Transactions on Pattern Analysis and Machine Intelligence 35, no. 6 (June 2013): 1397–1409. https://doi.org/10.1109/TPAMI.2012.213.