Jaguar、ラピッド プロトタイピングとコード生成によって開発コストを削減

新製品の機能テストにかかるコストを削減するため、Jaguar は MATLAB 製品と Simulink 製品を使用して制御ソフトウェアを生成し、それを既存車両の汎用 ECU に展開しています。その結果、Jaguar は、より多くの設計オプションをテストできるようになり、大幅な時間とコストの削減を実現しました。

課題

既存車両に汎用 ECU を追加することで、新製品の機能テストにかかるコストを削減

ソリューション

MathWorks ツールを使用して制御ソフトウェアを生成し、汎用 ECU ハードウェアに展開

結果

  • 時間とコストを大幅に削減
  • より多くの設計オプションのテストが可能に
  • 組み込み制御設計の開発期間を短縮
車両のダッシュボードに設置された MPC555 ベースの電子制御モジュール。写真提供: add2 Ltd.

コスト削減を続けながら、ますます複雑になる新型車への需要に応えるため、Jaguar は可能であれば、高価なプロトタイプを作成する代わりに、既存の量産車両を使用して新機能の開発およびテストを行っています。この手法では、専用の電子コントロール ユニット (ECU) を車両に追加します。

英国コベントリーに本社を置く Jaguar は、MathWorks 製品を使用して制御ソフトウェアを生成し、Freescale™ MPC555 マイクロコントローラーをベースとした商業利用可能な汎用 ECU ハードウェアに展開しています。Jaguar は、英国企業、add2 Limited の MICROGen 製品をハードウェア プラットフォームとして選択しました。

現在、Jaguar は研究室のデスクトップ上でオフラインモードで新機能を開発し、それを車両で試すことができるようになりました。トランスミッション、ドライバー エンターテインメント、ボディシステムなど、さまざまな適用分野をサポートできます。新機能を実際のハードウェアでテストすることで、サプライヤーに提供する仕様の品質を向上させています。

課題

現在、ほとんどの自動車には、CAN や J1850 などのリアルタイム ネットワーク規格を介して相互接続された複数の制御ユニットが搭載されています。これらのネットワーク経由で送信されるメッセージは、ECU 間で車両データと制御情報を継続的に転送するために使用されます。Jaguar がサプライヤーから新しい ECU を受け取ると、その ECU は同じメッセージ形式とネットワーク プロトコルを使用する他の ECU と一緒に車両に設置されることが「期待」されます。しかし、新しい ECU を使用したシステムの初期開発は既存の量産車両で開始されるため、メッセージ形式やプロトコルに互換性がないという問題が発生します。従来、Jaguar は、新しい ECU と量産車両の既存ネットワークとの間で「プロトコル変換」を行う専用の ECU に頼ることで、この問題に対処していました。この作業は外部のコード開発者に外注していましたが、時間もコストもかかるものでした。その内容は、ベンダーに仕様を伝え、ベンダーがソフトウェアを記述してコードを送信するというものでした。実車デバッグではコードの問題が特定されるため、Jaguar は実装前に何度も反復作業を行う必要があります。

同社は、より短期間で実行できる費用対効果の高い手法を必要としていました。

ソリューション

解決策が提案される中で、構築されるシステムが、プロトコル変換だけでなく、新しい制御アルゴリズムや診断機能を実装してテストするためのラピッド プロトタイピング システムとしても使用できることが間もなく明らかになりました。それに伴い、プロジェクトの範囲も拡大しました。

汎用 ECU である MICROGen を対象として、Jaguar は、Simulink®、Stateflow®、Simulink Coder™、Embedded Coder® を基にした MathWorks の完全なソフトウェア環境を選択しました。Jaguar はこれらの MathWorks 製品を使用して、制御アルゴリズムの設計、シミュレーション、およびテストを行い、MICROGen ハードウェアにダウンロードされるカスタムコードを生成しました。一般的なプロジェクトでは、Simulink と Stateflow でブロック線図として制御システムを構築します。MPC555 マイクロコントローラーに組み込まれている PWM、アナログ入力、CAN などの I/O にアクセスするには、Embedded Coder に含まれているブロックを使用します。追加の Simulink ブロックは、Freescale™ MPC555 チップの外部にある I/O デバイスにアクセスできるようにするために、add2 Ltd によって開発されました。

このようにして、Jaguar が開発した制御アルゴリズムは、CAN または J1850 バス経由、またはセンサー入力から直接受信した信号を処理できました。アルゴリズム出力は、バスメッセージとして送信されるか、出力デバイスを直接駆動させるために使用されます。

Simulink モデルおよび Stateflow モデルは実行可能な仕様であるため、アルゴリズムの開発中にオフラインでシミュレーションおよびテストできます。シミュレーションでアルゴリズムの妥当性が確認されると、完全なアプリケーションが自動的に生成され、ECU ハードウェアにダウンロードされます。

コードが生成されると、テストエンジニアはアプリケーションを CAN 経由でターゲット ECU の RAM またはフラッシュメモリにダウンロードしました。

Jaguar は、アルゴリズムモデルのカスタマイズ、文書化、テスト、妥当性確認、および MICROGen 用のコード生成を、すべて MathWorks 環境内で行えます。たとえば、Embedded Coder を Jaguar の ECU ハードウェアと連携させることで、一部のプロトタイピングを社内で完了できます。これにより、実際のシステムを開発するためにより完全で正確な仕様をサプライヤーに送信できるようになります。Jaguar は現在、汎用 ECU ハードウェアでコードを使用し、制御戦略の開発に役立てています。たとえば、エンジン管理システム (EMS) の開発では、MICROGen 上でコードを実行し、車両のトランスミッション制御ユニットをシミュレーションしました。このため、エンジンと EMS は数多くのドライブサイクルを通じてテストされました。これらのサイクルは、ECU ハードウェアを使用してトランスミッションの位置情報を EMS に送信し、EMS が特定のギアに入ったと「想定」してシミュレーションしました。選択されたギアは、テストエンジニアや自動化されたテスト手順によって簡単に制御されました。

結果

  • 時間とコストを大幅に削減。MathWorks ツールを使用することで、一般的な開発プロジェクトは数週間の期間短縮が可能になります。汎用 ECU を使用しない場合、Jaguar は新しい戦略をテストする必要が生じるたびに、特別な開発グレードの ECU とソフトウェア更新をサプライヤーに依頼する必要がありました。現在では、より多くの設計を繰り返しテストすることができ、時間とコストを大幅に削減できています。

  • より多くの設計オプションのテストが可能に。妥当性確認作業の軽減と、汎用的で費用対効果の高い ECU ハードウェアの使用増加に伴い、開発中の車両群全体でプロトタイプの制御モジュールを同時に試用できるため、提案された機能をより短時間で評価できます。

  • 組み込み制御設計の開発期間を短縮。MathWorks 製品を使用することで、Jaguar は車両の革新的な新機能をより高速かつ効率的にテストできるようになりました。