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信号読み込みの手法の比較

手法

Simulink® では、信号データをモデルにインポートするための手法がいくつか用意されています。信号データ読み込みの各手法では、ブロックを使用して信号データ ソースを視覚的に表現します。次を使用できます。

  • ソース ブロック (Sine Wave ブロックなど)。別のブロックへの入力として信号データを生成

  • ルートレベルの入力端子 (InportEnable または Trigger ブロック)。手動またはルート Inport マッパー ツールを使用して、ルートレベルの入力端子に信号データを読み込みます。"ルートレベルの入力端子" は両方の方法に対応し、"ルート Inport マッパー ツール" はそのツールを使用する方法に特に対応します。

  • From File ブロック

  • From Spreadsheet ブロック

  • From Workspace ブロック

  • Signal Editor ブロック

ブロック線図に与える読み込み手法の影響

再利用可能なシステムをテストする場合、信号データの読み込みをブロック線図から分離すると便利です。ルートレベルの入力端子の読み込みにより、進行ベースで複雑なシステムをテストするための良好なフレームワークが提供されます。ルート Inport マッパー ツールを使用して読み込まれた信号データを可視化できます。

スタンドアロン モデルで暫定的なテストを実行する場合、データの読み込みブロックを追加する方が簡単で、信号データのソースをブロック線図内で可視化できるようになります。

データの読み込みブロックがモデルに追加されないように、信号データをルートレベルの入力端子に読み込みます。[コンフィギュレーション パラメーター][データのインポート/エクスポート][入力] パラメーターを変更すると、使用するデータを変更できます。ブロックを追加、変更したり、ブロック パラメーターをリセットしたりする必要はありません。ルート Inport マッパー ツールを使用して [入力] パラメーターを更新し、信号データのマッピングに適切な端子が反映されるようにします。

テスト ハーネス モデル

以下のようなさまざまなテスト ケースでテスト ハーネス モデルを使用して読み込むことができます。

  • 1 つの端子に対するさまざまな信号データ

  • さまざまな端子に対する信号データ

Signal Editor ブロックは、テスト ハーネス モデルで複数の入力端子へのデータの読み込みを簡易化する場合に便利です。

または、ルート Inport マッパー ツールを使用して、個別のテスト ハーネス モデルを作成する代わりに使用できるシナリオを作成することもできます。個別のテスト ハーネス モデルの作成は、ルート Inport のマッピングを設定するよりも簡単に行えます。ただし、この場合は個別のテスト ハーネス モデルを管理しなければなりません。テスト ハーネスの代わりにルート Inport のマッピングを使用する例については、MAT ファイル入力データを使用したハーネスのないモデルの作成を参照してください。

手法の比較

各手法はさまざまなモデル化における考慮事項に対応します。

信号データのインポートの目的

モデル開発の段階と信号データ読み込みの目的は、選択する信号読み込みの手法に影響する場合があります。

モデル化の目的サポートされる手法

小規模な信号データセットをインポートし、ローカルで暫定的なテストを実行

すべて

再利用可能なシステムのルートレベルの入力端子。

参照モデルとして使用するモデルのテスト

ルートレベルの入力端子。

複数のテスト ケースを使用したモデルの検証

エクスポートした信号データを使用するルート Inport マッパー ツール。

Signal Editor ブロック。

連続プラントの表現

すべて

ルートレベルの入力端子はこの目的に適しています。

離散アルゴリズムをテストする

すべて

ルートレベルの入力端子はこの目的に適しています。

モデルの開発フェーズ

モデル化要件推奨される信号読み込みの手法

初期プロトタイピング

ソース ブロックで生成される信号が要件を満たす場合は、Source ブロックを使用します。

From File ブロック、From Spreadsheet ブロックおよび From Workspace ブロック。

システム テスト、共有、コード生成

ルートレベルの入力端子

読み込む信号データの作成とマッピングにルート Inport マッパー ツールを使用できます。

Signal Editor ブロック

多くのモデルにおいて、ルート Inport ブロックへの信号データの読み込みは効果的な手法です。ルート Inport マッピング ツールは、複数の信号のデータをルート Inport に読み込む便利な方法を提供しています。

信号データ

信号データの量、ソース、種類は、選択する信号読み込みの手法に影響する場合があります。

信号データサポートされる手法

大きなデータセット

From File ブロックと From Spreadsheet ブロックは段階的にデータを読み込むため、大きなデータセットに適しています。

シミュレーション データのログを永続ストレージに記録してから、ルートレベルの Inport ブロックにファイルから段階的にデータを読み込むことができます。

To File ブロックを使用してエクスポートされたデータ

From File ブロック。

To Workspace ブロックを使用してエクスポートされたデータ

From Workspace ブロック。

Excel® または CSV スプレッドシート

Microsoft® Excel (すべてのプラットフォーム) または CSV (Microsoft Office を使用した Microsoft Windows® プラットフォームのみ) スプレッドシート データを直接 Simulink にインポートできる From Spreadsheet ブロック。

可変サイズの信号

From Workspace ブロック。

データ形式またはデータ型

信号読み込みの手法はそれぞれ、信号データの広範なデータ形式をサポートしています (配列や Dataset など)。一部の信号読み込み手法には特定の形式についていくつかの制限事項があります。

メモ

ルート Inport マッパー ツールには、このツールで使用できるすべてのデータ型をサポートしていないマッピング モードもあります。詳細については、ベース ワークスペースと MAT ファイルの形式の選択を参照してください。

データ形式またはデータ型サポートされる手法

配列

すべての関数。

時間付き構造体

ルートレベルの Inport ブロック

From Workspace ブロック

Signal Editor ブロック

時間なし構造体

ルートレベルの Inport ブロック

From Workspace ブロック

Signal Editor ブロック

timeseries

すべての関数。

timetable

ルートレベルの Inport ブロック

From Workspace ブロック

Signal Editor ブロック

Simulink.SimulationData.Dataset

ルートレベルの Inport ブロック

Signal Editor ブロック

列挙型

すべての関数。

固定小数点

From Workspace ブロックは、Fixed-Point Designer™ を使用して作成された fi オブジェクトの読み込みをサポートします。

From File ブロックには 32 ビット以下の語長制限がある。

関数呼び出し

ルートレベルの入力端子 ([関数呼び出しの出力] パラメーターを選択)。

バス サポート

任意の信号読み込み手法を使用してバスの入力データを読み込むことができます。ただし、一部の種類のバス データについては特定の手法を使わなければなりません。

バスまたはバス要素のタイプサポートされる手法

非バーチャル バス

すべての手法で非バーチャル バスの入力データの読み込みがサポートされます。

Signal Editor ブロックでは、ラピッド アクセラレータ モードでのバス データの読み込みはサポートされません。

バスの部分指定

ルートレベルの Inport ブロック

From Workspace ブロック

From File ブロック

Signal Editor ブロック

バス配列

ルートレベルの Inport ブロック

From Workspace ブロック

時間点

信号データにおける時間点の種類は、選択する信号読み込みの手法に影響します。

信号データの時間点サポートされる手法

単一の時間点

すべての関数。

連続

すべての関数。

離散

すべての関数。

時間のないシーケンスの繰り返し

ルートレベルの入力端子と From Workspace ブロックを使用した構造体データ。

データ ストレージの場所

信号データをモデルと一緒に保存するか、モデルとは別に保存するかによって、選択する信号読み込みの手法は影響を受けます。

場所サポートされる手法

ベースまたはモデル ワークスペース内

From Workspace ブロック。

ルートレベルの入力端子または TriggerEnableFunction-Call Subsystem ブロック。

モデル ファイルとは別の MAT ファイル内

From File ブロックと Signal Editor ブロック。

ビッグ シミュレーション データのログを永続ストレージに記録してから、ルートレベルの Inport ブロックにファイルから段階的にデータを読み込むことができます。

Excel または CSV スプレッドシート内

From Spreadsheet ブロック。

メモ

CSV データの読み込みは Microsoft Windows プラットフォームでのみサポートされています。

信号データの検査

ルート Inport マッパー ツール、From File ブロック、Signal Editor ブロックはそれぞれ、読み込む信号データのプロットと検査のインターフェイスを提供します。

読み込まれたデータの処理

Simulink によって信号データがモデルに読み込まれるときの処理方法は、選択する信号読み込みの手法に影響します。

データの読み込み処理サポートされる手法

インクリメンタルなデータの読み込み

From File ブロックと From Spreadsheet ブロック。

ルートレベルの Inport ブロック (Simulink.SimulationData.DatasetRef オブジェクトまたは matlab.io.datastore.SimulationDatastore オブジェクトからデータを読み込む場合)

内挿

すべての関数。

外挿

From File ブロック、From Spreadsheet ブロックおよび Signal Editor ブロック。From Workspace 外挿の詳細については、最後のデータ後の出力フォームを参照してください。

ゼロクロッシング検出

ルートレベルの入力端子以外のものすべて。

高速リスタート

すべての手法。

シミュレーション モード

すべての信号読み込みの手法は、SIL または PIL 以外のすべてのシミュレーション モードをサポートします。一部の手法には特定のシミュレーション モードに対する制限事項があります。

シミュレーション モードサポートされる手法

ノーマルとアクセラレータ

すべて

ラピッド アクセラレータ

すべて

ERT/GRT

すべて

From Workspace ブロックと From File ブロックは調整可能ではありません。

SIL または PIL

From Workspace ブロック

エクスターナル モード

From Workspace ブロック

ルートレベルの入力端子では、エクスターナル モードでグラウンド値を出力します。

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