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Open Differential

遊星かさ歯車としてのデファレンシャル

  • Open Differential block

ライブラリ:
Powertrain Blockset / Drivetrain / Final Drive Unit
Vehicle Dynamics Blockset / Powertrain / Drivetrain / Final Drive Unit

説明

Open Differential ブロックは、遊星かさ歯車列としてデファレンシャルを実装します。ブロックは、駆動軸かさ歯車と冠 (内歯) かさ歯車を一致させます。以下を指定できます。

  • キャリアと駆動軸の比率

  • 冠歯車の位置

  • 車軸とキャリアの粘性および減衰係数

Open Differential ブロックは、次の目的で使用します。

  • 後部トランスミッションの駆動軸を車輪軸またはユニバーサル ジョイントと動的に結合する

  • 最適なトラクション制御にパッシブまたはアクティブなトルク ベクタリングが不要な場合の、簡略化された、または従来型のドライブトレインをモデル化する

  • 汎用のギアボックスと動力伝達装置のシナリオで、機械動力の分割をモデル化する

このブロックは、ハードウェアインザループ (HIL) および最適化のワークフローでの使用に適しています。すべてのパラメーターが調整可能です。

このブロックでは、標準的なエンジン、トランスミッション、およびデファレンシャルの構成について、タイヤと車両の正の運動を出力する座標系が使用されます。矢印は正の運動を示します。

Transmission diagram

効率

このブロックの効率を考慮するには、[効率係数] パラメーターを使用します。次の表は、各設定でのブロックの実装をまとめています。

設定実装

定数

[定数効率係数、eta] パラメーターを使用して設定できる定数効率。

駆動軸のトルク、回転数、温度

基準ギアの入力トルク、気温、および駆動軸の角速度の関数としての効率。次のパラメーターを使用して、ルックアップ テーブルとブレークポイントを指定します。

  • 効率ルックアップ テーブル、eta_tbl

  • 効率のトルク ブレークポイント、Trq_bpts

  • 効率の角速度ブレークポイント、omega_bpts

  • 効率の温度ブレークポイント、Temp_bpts

気温については、次のいずれかを使用できます。

  • [入力周囲温度] を選択して入力端子を作成する。

  • [周囲温度、Tamb] のパラメーター値を設定する。

内挿法を選択するには、[内挿法] パラメーターを選択します。詳細については、内挿法を参照してください。

動力の考慮

動力を考慮するために、このブロックは次の式を実装します。

バス信号 説明

PwrInfo

PwrTrnsfrd — ブロック間で伝達される動力

  • 正の信号はブロックに入るフローを示す

  • 負の信号はブロックから出るフローを示す

PwrDriveshft

駆動軸からの機械動力

ηTdωd

PwrAxl1

車軸 1 からの機械動力

ηT1ω1

PwrAxl2

車軸 2 からの機械動力

ηT2ω2

PwrNotTrnsfrd — ブロックの境界を越えるが、伝達されない動力

  • 正の信号は入力を示す

  • 負の信号は損失を示す

PwrMechLoss

合計動力損失

W˙loss= (Pt+Pd)+PsPt=ηTdωd+ηT1ω1+ηT2ω2

PwrDampLoss

減衰による動力損失

Pd=(b1|ω1|+b2|ω2|+bd|ωd|)

PwrStored — 保存エネルギーの変化率

  • 正の信号は増加を示す

  • 負の信号は減少を示す

PwrStoredShft

保存されている内部エネルギーの変化率

Ps=(ω1ω˙1J1+ω2ω˙2J2+ωdω˙dJd)

運動

Open Differential ブロックは、冠歯車、左車軸、および右車軸の機械的な動的応答を表す次の微分方程式を実装します。

機械的な動的応答微分方程式
冠歯車

ω˙dJd=ηTd-ωdbd-Ti

左車軸

ω˙1J1=ηT1-ω1b1-Ti1

右車軸

ω˙2J2=ηT2-ω2b2-Ti2

Open Differential ブロックでは、冠歯車と車軸が剛結合していると仮定されます。次の拘束方程式が適用されます。

ηTi1= ηTi2=N2Ti

ωd=N2(ω1+ω2)

式では次の変数を使用します。

N

キャリアと駆動軸とのギア比

Jd

冠歯車アセンブリの回転慣性

bd

冠歯車の線形粘性減衰

ωd

駆動軸の角速度

η

デファレンシャルの効率

J1

車軸 1 の回転慣性

b1

車軸 1 の線形粘性減衰

ω1

車軸 1 の角速度

J2

車軸 2 の回転慣性

b2

車軸 2 の線形粘性減衰

ω2

車軸 2 の角速度

Td

駆動軸のトルク

T1

車軸 1 のトルク

T2

車軸 2 のトルク

Ti

駆動軸の内部抵抗トルク

Ti1

車軸 1 の内部抵抗トルク

Ti2

車軸 2 の内部抵抗トルク

端子

入力

すべて展開する

適用する入力トルク (N·m 単位)。一般的にエンジン クランクシャフトから与えられます。

車軸 1 のトルク、T1 (N·m 単位)。

車軸 2 のトルク、T2 (N·m 単位)。

温度 (K 単位)。

依存関係

この端子を有効にするには、次を行います。

  • [効率係数][駆動軸のトルク、回転数、温度] に設定します。

  • [入力周囲温度] を設定します。

出力

すべて展開する

次のブロック計算が含まれるバス信号。

信号説明単位

Driveshft

DriveshftTrq

駆動軸のトルク

N·m

DriveshftSpd

駆動軸の角速度

rad/s

Axl1

Axl1Trq

車軸 1 のトルク

N·m

Axl1Spd

車軸 1 の角速度

rad/s

Axl2

Axl2Trq

車軸 2 のトルク

N·m

Axl2Spd

車軸 2 の角速度

rad/s

PwrInfo

PwrTrnsfrd

PwrDriveshft

駆動軸からの機械動力

W

PwrAxl1

車軸 1 からの機械動力

W

PwrAxl2

車軸 2 からの機械動力

W

PwrTrnsfrd

PwrMechLoss

合計動力損失

W

PwrDampLoss

減衰による動力損失

W

PwrStored

PwrStoredShft

保存されている内部エネルギーの変化率

W

駆動軸の角速度、ωd (rad/s 単位)

車軸 1 の角速度、ω1 (rad/s 単位)

車軸 2 の角速度、ω2 (rad/s 単位)

パラメーター

すべて展開する

ブロック オプション

このブロックの効率を考慮するには、[効率係数] パラメーターを使用します。次の表は、各設定でのブロックの実装をまとめています。

設定実装

定数

[定数効率係数、eta] パラメーターを使用して設定できる定数効率。

駆動軸のトルク、回転数、温度

基準ギアの入力トルク、気温、および駆動軸の角速度の関数としての効率。次のパラメーターを使用して、ルックアップ テーブルとブレークポイントを指定します。

  • 効率ルックアップ テーブル、eta_tbl

  • 効率のトルク ブレークポイント、Trq_bpts

  • 効率の角速度ブレークポイント、omega_bpts

  • 効率の温度ブレークポイント、Temp_bpts

気温については、次のいずれかを使用できます。

  • [入力周囲温度] を選択して入力端子を作成する。

  • [周囲温度、Tamb] のパラメーター値を設定する。

内挿法を選択するには、[内挿法] パラメーターを選択します。詳細については、内挿法を参照してください。

詳細については、内挿法を参照してください。

依存関係

このパラメーターを有効にするには、[効率係数][駆動軸のトルク、回転数、温度] に設定します。

入力端子 Temp を作成する場合にオンにします。

依存関係

このパラメーターを有効にするには、[効率係数][駆動軸のトルク、回転数、温度] に設定します。

冠歯車と駆動軸との接続を指定します。

キャリアと駆動軸とのギア比、N (無次元)。

冠歯車アセンブリの回転慣性、Jd (kg·m^2 単位)駆動軸の慣性を含めることができます。

冠歯車の線形粘性減衰、bd (N·m·s/rad 単位)。

車軸 1 の回転慣性、J1 (kg·m^2 単位)。

車軸 1 の線形粘性減衰、b1 (N·m·s/rad 単位)。

車軸 2 の回転慣性、J2 (kg·m^2 単位)。

車軸 2 の線形粘性減衰、b2 (N·m·s/rad 単位)。

車軸 1 の初期角速度、ωo1 (rad/s 単位)。

車軸 2 の初期角速度、ωo2 (rad/s 単位)。

効率

定数効率、η。

依存関係

このパラメーターを有効にするには、[効率係数][定数] に設定します。

次の関数としての効率値の無次元の配列。

  • M 個の入力トルク

  • N 個の入力角速度

  • L 個の空気温度

それぞれの値は、トルク、角速度、および温度の特定の組み合わせの効率を指定します。この配列のサイズは、トルク、角速度、温度のブレークポイント ベクトルで定義される次元と一致しなければなりません。

依存関係

このパラメーターを有効にするには、[効率係数][駆動軸のトルク、回転数、温度] に設定します。

効率の入力トルク ブレークポイントのベクトル (N·m 単位)。

依存関係

このパラメーターを有効にするには、[効率係数][駆動軸のトルク、回転数、温度] に設定します。

効率の角速度ブレークポイントのベクトル (rad/s 単位)。

依存関係

このパラメーターを有効にするには、[効率係数][駆動軸のトルク、回転数、温度] に設定します。

効率の周囲温度ブレークポイントのベクトル (K 単位)。

依存関係

このパラメーターを有効にするには、[効率係数][駆動軸のトルク、回転数、温度] に設定します。

周囲の気温、Tair (K 単位)。

依存関係

このパラメーターを有効にするには、次のようにします。

  • [効率係数][駆動軸のトルク、回転数、温度] に設定します。

  • [入力周囲温度] をオフにします。

拡張機能

C/C++ コード生成
Simulink® Coder™ を使用して C および C++ コードを生成します。

バージョン履歴

R2017a で導入