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AC マイクログリッドにおける距離リレーによる保護
この例では、AC マイクログリッドの距離リレーをモデル化する方法を説明します。Relay ブロックは、インピーダンス リレー特性とモー リレー特性で構成されています。この例を使用して、さまざまな故障状態におけるインピーダンス リレーとモー リレーのパフォーマンスを調べることができます。いずれのリレーにも、地絡故障用と相間故障用の 2 種類のリレーがあります。
インピーダンス リレーは、方向ユニットとブラインダー ユニットで構成されています。方向ユニットは指定方向でのトリップを確実に発生させ、ブラインダー ユニットは負荷侵入時にリレーの誤動作を防ぎます。
AC マイクログリッドの概要
以下の図は、距離リレーと回路ブレーカーをもつ AC マイクログリッドを示しています。このマイクログリッドは、11 kV の電圧レベルで発電します。三相変圧器が電源電圧を 400 V に降下させます。
伝送線路の故障セクションを分離するために、リレーと回路ブレーカーがステップダウン変圧器の隣に接続されています。誘導負荷 30 kW と遅れ力率 0.95 が伝送線路の受電端に接続されています。
Relay ブロックの概要
この Relay ブロックは、インピーダンス リレーとモー リレーの 2 つのリレー特性で構成されています。リレー特性には、リレーのリーチに基づく 3 つのゾーンがあります。Fourier ブロックは基本電圧信号および基本電流信号を推定します。
このリレーは、回路ブレーカーから故障点までの線路インピーダンスを推定します。推定したインピーダンスが最初のゾーンのリーチに達していない場合、リレーは時間遅延なしにトリップ信号をトリガーします。推定したインピーダンスが 2 番目のゾーンのリーチに達していない場合、リレーは有限の時間遅延の後にトリップ信号をトリガーします。推定したインピーダンスが 3 番目のゾーンのリーチに達していない場合、リレーは時間遅延の後にトリップ信号をトリガーします。この時間遅延は 2 番目のゾーンの時間遅延より長い必要があります。
故障の逆方向のトリップを防ぐために、インピーダンス リレーは方向ユニットで構成されています。要件に基づいて、インピーダンス リレーの方向を設定できます。推定したインピーダンスがブラインダー領域内にある場合、インピーダンス リレーはトリップしません。
この例では、継承した方向ユニットを使用したモー リレーも実装されています。モー リレーは、相電圧や線路電圧などの自己偏極パラメーターを使用します。
電圧、電流、および推定インピーダンスのプロット
以下のプロットは、時間に対する推定インピーダンスの変動を示しています。故障開始時間 0.056 秒において、単相地絡 (a-g) 故障が伝送線路の Sector 1 で開始されます。電圧信号と電流信号の基本成分を推定するために、この例では全サイクルのフーリエ解析を使用します。
単相地絡 (a-g) 故障
伝送線路の Sector 1 で単相地絡 (a-g) 故障が開始されます。
位相-接地インピーダンス リレーの R-X 図
以下のプロットは、位相-接地インピーダンス リレーの R-X 図を示しています。この図は、位相-接地 (a-g) インピーダンスが減少してゾーン 1 に達することを示しています。
次の図は、前の R-X 図の一部を拡大したものです。
位相-接地モー リレーの R-X 図
以下のプロットは、位相-接地モー リレーの R-X 図を示しています。この図は、位相-接地 (a-g) インピーダンスが減少してリレーのゾーン 1 に達することを示しています。
次の図は、前の R-X 図の一部を拡大したものです。
二相故障 (a-b)
伝送線路の Sector 1 で相間 (a-b) 故障が開始されます。
相間インピーダンス リレーの R-X 図
以下のプロットは、相間インピーダンス リレーの R-X 図を示しています。この図は、相間インピーダンス (a-b) が減少してリレーのゾーン 1 に達することを示しています。
次の図は、前の R-X 図の一部を拡大したものです。
相間モー リレーの R-X 図
以下のプロットは、相間モー リレーの R-X 図を示しています。伝送線路の Sector 1 で二相 (a-b) 故障が開始されます。この図は、相間インピーダンス (a-b) が減少してリレーのゾーン 1 に達することを示しています。
次の図は、前の R-X 図の一部を拡大したものです。
三相地絡故障 (a-b-c-g)
伝送線路の Sector 1 で三相地絡故障 (a-b-c-g) 故障が開始されます。以下のプロットは、三相地絡故障における推定インピーダンスを相間モー リレーの R-X 図で示しています。この図は、推定相間インピーダンスが減少してリレーのゾーン 1 に達することを示しています。imshow('ee_relay_distanceprotection_plot_MhoP2P_RX_Fabcg.png');
次の図は、前の R-X 図の一部を拡大したものです。最終的な推定インピーダンスを確認できます。
リレー パラメーターの設定の概要
Select the type of relay, Relay selection — [Impedance relay]、[Mho relay]、または [Impedance & Mho relay]。
Fundamental frequency (Hz) — システムの定格周波数 (Hz)。スカラーとして指定します。この値はゼロより大きい必要があります。
Switching time step (s) — リレーのサンプル時間 (秒)。スカラーとして指定します。
Minimum threshold voltage (V) — 最小動作しきい値電圧 (V)。
Minimum threshold current (A) — 最小動作しきい値電流 (A)。
Trip duration (s) — トリップ信号の持続時間 (秒)。
Compensation factor (k0) — 地絡故障の補償係数。
Time delay zone2 (s) — リレーのゾーン 2 のトリップ信号の遅延時間 (秒)。
Time delay zone3 (s) — リレーのゾーン 3 のトリップ信号の遅延時間 (秒)。
Zone 1 reach (ohm) — モー リレーのゾーン 1 のリーチ (Ω)。
Zone 2 reach (ohm) — モー リレーのゾーン 2 のリーチ (Ω)。
Zone 3 reach (ohm) — モー リレーのゾーン 3 のリーチ (Ω)。
Zone 1 reach (ohm) — インピーダンス リレーのゾーン 1 のリーチ (Ω)。
Zone 2 reach (ohm) — インピーダンス リレーのゾーン 2 のリーチ (Ω)。
Zone 3 reach (ohm) — インピーダンス リレーのゾーン 3 のリーチ (Ω)。
Blinder reach (ohm) — ブラインダーの最小リーチ (Ω)。
Blinder angle (deg) — ブラインダー角度の範囲 (度)。インピーダンス角度が [+Blinder angle] と [-Blinder angle] の間にあり、かつインピーダンスの大きさが [Blinder reach] より大きい場合、リレーはトリップしません。
Directional unit minimum angle (deg) — 方向ユニットの最小角度 (度)。
Directional unit maximum angle (deg) — 方向ユニットの最大角度 (度)。推定インピーダンス角度が [Directional unit minimum angle] より大きく、かつ [Directional unit maximum angle] より小さい場合にのみ、インピーダンス リレーはトリップします。
故障パラメーターの設定の概要
Fault location — 故障点。
Fault type — 伝送線路の故障タイプ。単相地絡、二相短絡、二相地絡、三相短絡、三相地絡などの故障があります。
Faulted phase-neutral resistance (ohm) — 相と中性点の間の抵抗 (Ω)。
Faulted neutral-ground resistance (ohm) — 中性点と接地の間の抵抗 (Ω)。
Fault start time (ms) — 故障開始時間 (ms)。
Fault duration (ms) — 故障期間 (ms)。