MOSFET 特性ビューアー
特性ビューアー ツールを使用すると、表面電位ベースの MOSFET ブロックについて特定のパラメーター化の特性を調べ、ブロックの動作を一連のターゲット特性と一致させることができます。このツールでは、以下が可能です。
現在のブロック パラメーターを使用して、シミュレートしたデータをプロットする。
シミュレートしたデータのプロットを、表形式のターゲット データに重ねる。
ブロック パラメーターを変更する。
特性ビューアーでのパラメーター調整の結果に満足したら、モデルのブロック パラメーターを更新する。
生成されたパラメーター セットを、将来別のモデルで再利用するために保存する。
推奨ワークフロー
特性ビューアー ツールは、表面電位ベースの N-Channel MOSFET ブロックまたは P-Channel MOSFET ブロックでのみ利用できます。ライブラリから N-Channel MOSFET ブロックまたは P-Channel MOSFET ブロックを追加するときに表面電位ベースのモデリング オプションに切り替えるには、モデルでブロックをダブルクリックし、[モデリング オプション] パラメーターを [表面電位ベース]
に設定します。次に、ブロックを右クリックすると、コンテキスト メニューには、パラメーター化ツールの開始に必要な [Electrical] オプションが含まれています。
MOSFET パラメーター化ツールを使用するには、以下を行います。
モデルで表面電位ベースの MOSFET ブロックを右クリックし、コンテキスト メニューから [Electrical]、[特性を確認] を選択します。
charactericViewer
ウィンドウが開きます。[特性を追加] をダブルクリックします。特性のタイプ (target、simulated、または両方) と目的の値を指定します。[プロットに追加] をクリックします。
必要に応じて、特性をさらに追加していきます。[プロットを置き換え] ボタンを使用すると、前に追加したプロットを置換できます。[特性を一覧表示/削除] ブロックを [特性を追加] と共に繰り返し使用して、特性セットを構成することもできます。
[パラメーターを選択] をダブルクリックし、対象とするパラメーターを選択します。
[プロットを生成] をダブルクリックします。
前の 2 つのステップを繰り返して、シミュレーション結果をターゲットの曲線と一致させることによってパラメーターを調整します。
パラメーター調整の結果に満足したら、[開始ブロック パラメーターを更新] をダブルクリックして、モデルのブロック パラメーターを更新します。このステップを実行するまで、元のモデルのブロックは影響を受けません。
[データを保存] をダブルクリックして、将来別のモデルで使用するために、生成された特性を MAT ファイルとして保存できます。
特性の追加と管理
対象とするターゲット特性のセットを指定することで、MOSFET パラメーターの調整プロセスを開始します。
charactericViewer
ウィンドウで、[特性を追加] をダブルクリックします。[特性] ウィンドウが開きます。
[プロット番号] を入力します。この数は、特性をプロットする Figure の番号を定義します。これにより、複数の特性を同じ Figure に追加し、特性同士を重ね合わせることができます。ただし、Figure は 1 つの
xy
軸のみで構成されます。[特性タイプ] を指定します。
ターゲットのみ
— プロットには、入力値と出力値の両方に関して指定されたデータが含められます。この場合、シミュレーションは実行されません。データは適切なプロットに単純に追加されます。シミュレーションのみ
— プロットには、指定した入力バイアス条件全体にわたるシミュレーションの結果であるデータが含められます。ターゲットとシミュレーション
— プロットには両方のタイプのデータが含められます。このオプションは、モデルのパラメーターを調整して、データシートから抽出したデータに合わせようとしている場合に便利です。
結果のプロットで
x
軸の変数を定義する [スイープ タイプ] を選択します。V_GS
— ゲートの電源電圧に対してスイープします。V_DS
— ドレインの電源電圧に対してスイープします。I_D
— ドレイン電流に対してスイープします。通常、ドレイン電流は特性スイープに対する標準的な入力ではありません。
[特性タイプ] が
[シミュレーションのみ]
の場合は、[スイープ範囲] を指定します。これは、スイープした変数の範囲を示す、値のベクトルです。出力データの正確なサンプル点は可変ステップ シミュレーションによって決定されるため、このベクトルの最小値と最大値だけがツールによって利用されます。[特性タイプ] が
[ターゲットのみ]
または[ターゲットとシミュレーション]
の場合は、[スイープ値] を指定します。これは、出力がターゲット データについてサンプリングされる位置となる、スイープされる変数の値のベクトルです。たとえば、データシートから抽出した I_D-V_DS 特性では、ターゲット曲線内で I_D のサンプル値に対応する V_DS 値が、このベクトルに含まれます。[ステップ タイプ] を選択し、2 番目の独立した入力バイアス条件を定義します。[スイープ タイプ] でも選択肢は同じです。たとえば、I_D-V_DS 曲線が一定の V_GS にある状態として定義されている場合、[ステップ タイプ] に
[V_GS]
を選択します。[ステップ値] を使用して、ステップ変数の値を指定します。たとえば、0 V および 10 V の V_GS 値に対応する I_D-V_DS 曲線が必要な場合は、[ステップ タイプ] を
[V_GS]
に、[ステップ値] を[0 10]
に設定します。特性の出力の測定を定義する [出力タイプ] を選択します。これは、結果のプロットでの
y
軸変数です。使用可能な値は[V_GS]
、[V_DS]
、[I_D]
、[C_GG]
、[C_GD]
、[C_DG]
、および[C_DD]
です。静電容量 C_GG、C_GD、C_DG、C_DD は、それぞれの端子に従って定義されます。これらの量をデータシートのパラメーター Ciss、Crss、Coss に関連付けるには、V_GS = 0 の場合に C_GG = Ciss、C_DD = Coss、C_GD = Crss であることに注意してください。V_GS
は、表面電位ベースの MOSFET モデルの出力に適した選択ではありません。この値は、このツールを他のデバイス タイプに使用することを予想して用意されています。[特性タイプ] が
[ターゲットのみ]
または[ターゲットとシミュレーション]
である場合は、[出力値] を指定します。これは、Figure でプロットするターゲット データです。このデータをm
行n
列の行列として指定します。ここで、m
は [ステップ値] のサイズ、n
は [スイープ値] のサイズです。[プロットに追加] をクリックして、特性の指定を適切な [プロット番号] に追加します。
必要に応じて、特性をさらに追加していきます。
[プロットを置き換え] ボタンを使用すると、前に追加したプロットを置換できます。[特性を一覧表示/削除] ブロックを [特性を追加] と共に繰り返し使用して、特性セットを構成することもできます。
パラメーターの選択とプロットの生成
目的のターゲット特性のセットを指定した後、次のステップでは MOSFET ブロックのパラメーターを定義します。
charactericViewer
ウィンドウで、[パラメーターを選択] をダブルクリックします。[Tuner] ウィンドウが開きます。そこには、MOSFET 特性のどの機能が特定のパラメーターから最も影響を受けるかによって、異なるタブ上に一連のスライダーが含まれます。
[VT] タブには、しきい値電圧に主に影響を与えるパラメーターが表示される ([ガンマ] および [phib2ref])。
[DC] タブのパラメーターは、主に DC 特性に影響を与える。
[AC] タブのパラメーターは、主に MOSFET ダイナミクスに影響を与える。
[T] タブのパラメーターは、温度のスケーリングに影響を与える。
[固定] タブのパラメーターは、一般に、表示される特性から導出しにくい特定の値、たとえばシミュレーション温度やゲート抵抗 (データシートに直接記載されている場合が多い) などに固定される。
[EXTRAS] タブには、他のタブに既に表示されているパラメーターと似た形で特性に影響を与える、他のパラメーターが含まれている。たとえば、[Rsref] (電源に関連付けられた直列抵抗) は、[DC] タブの [betaref] と同様に動作します。そのため、これら 2 つの効果を常に区別するこはできません。
[Tuner] ダイアログの適切なタブにあるスライダーを使用します。
min
とmax
の値は、各種のスライダーが作動する範囲を定義しているにすぎないため、必要に応じて変更できます。これらの値は、基礎となっているモデル パラメーターに対して何の意味ももっていません。min
またはmax
の値を変更すると、[OK] や [適用] をクリックしなくても、スライダーの範囲が自動的に更新されます。スライダーを調整した後、プロットを生成して、シミュレーション データがターゲット データにどの程度近いかを確認します。
charactericViewer
ウィンドウで、[プロットを生成] をダブルクリックします。シミュレーション結果がターゲット曲線と一致するまで、パラメーターの調整とプロットの生成を繰り返します。
結果の保存
パラメーター調整の結果に満足したら、以下を行います。
[開始ブロック パラメーターを更新] をダブルクリックして、モデルのブロック パラメーターを更新します。このステップを実行するまで、元のモデルのブロックは影響を受けません。
メモ
このステップが機能するには、パラメーターを調整する間、元のモデルを開いたままにしておかなければなりません。
[データを保存] をダブルクリックして、将来別のモデルで再使用するために、生成された特性を MAT ファイルとして保存することもできます。データを保存するファイル名を指定します。ファイル内では、すべてのデータが
parameterHelper
という名前のオブジェクトに保存されます。このオブジェクト内に格納されたパラメーターを別の MOSFET ブロックに適用するには、モデルでこの MOSFET ブロックを選択し、MATLAB® コマンド ウィンドウで次のように入力します。
parameterHelper.parameters.updateBlockParameters(gcbh)
このコマンドにより、ハンドル
gcbh
によって定義されるブロックにパラメーター値が適用されます。たとえば次のように、ブロック ハンドルの代わりに string を使用することもできます。
parameterHelper.parameters.updateBlockParameters(gcb)
パラメーターを直接検査するには、値 (文字ベクトルとして保存) に対して
parameterHelper.parameters.values
と入力するか、名前に対してparameterHelper.parameters.names
と入力します。