MATLAB または Simulink での要件の作成
Requirements Toolbox™ では、要件を要件セットというグループに整理します。要件セットごとに、要件の詳細を説明しなければならない場合、追加の階層レベルを作成できます。
このチュートリアルでは、要件エディターを使用して要件セットを作成し、関連する要件を整理して、セットに要件を追加します。Simulink® をお使いの場合、要件パースペクティブを使用して、Simulink エディターから移動せずに要件を作成することもできます。要件パースペクティブの使用方法の詳細については、Simulink での要件の表示とリンクを参照してください。
自動車のクルーズ コントロール システムのコントローラー モデルの要件を作成すると仮定します。要件の番号付けに関する会社標準 (R1、R2 など) を使用して、これらの要件を開発します。
| ID と説明 | 根拠 |
|---|---|
| R1: 最大入力スロットルは 100% | アクセル ペダルからのスロットルの最大値が 100% を超えることはありません。 |
| R2: クルーズ コントロールに運転速度範囲がある | クルーズ コントロールには最小、最大の運転速度があります。 |
| R2.1: 車両速度は 40 km/h 以上でなければならない | クルーズ コントロール システムが作動するためには、車両の速度は 40 km/h 以上でなければなりません。 |
| R2.2: 車両速度は 100 km/h を超えてはならない | 車両のクルーズ コントロール システムの最大運転速度は 100 km/h です。 |
これらの要件により、crs_controller というモデルでモデル化された機能を獲得します。
モデルとサポート ファイルが含まれる
CruiseRequirementsExampleプロジェクトを開きます。MATLAB® コマンド プロンプトで、次のように入力します。openExample("slrequirements/CruiseRequirementsExample")要件エディターで要件セット
crs_reqを開きます。コマンド プロンプトで、次を入力します。slreq.open("crs_req")要件エディターに、要件セットごとに並べられた要件が表示されます。プロジェクトには
crs_req_func_specとcrs_reqの 2 つの要件セットがあります。
要件セットを追加します。要件エディターのツールストリップで、[新しい要件セット] をクリックします。
要件セットを外部ファイルに保存します。要件セットを書き込み可能な場所に保存して、
cruise_control_reqset.slreqxという名前を付けます。要件セットを選択して [要件の追加] をクリックし、要件セットに要件を追加します。
右側のペインの [プロパティ] に、要件の詳細を入力します。要件の詳細を入力します。
カスタム ID: R1
概要: 最大入力スロットル (%)
説明: 最大入力スロットルは 100%。
カスタム ID を指定しない場合は、要件エディターによって要件に順番に番号が付けられます。カスタム ID を使用すると、要件のラベル付けに関する会社標準を使用して数値順を設定できます (カスタム ID に # 記号を含めることはできません)。検索時に要件を特定しやすいように ID を使用することもできます。要件の検索には、キーワードが役立ちます。
要件
R2を作成します。[要件の追加] をクリックします。要件の詳細を入力します。カスタム ID: R2
概要: クルーズ コントロールの運転速度範囲
説明: クルーズ コントロールには最小、最大の運転速度があります。
R2を選択して [要件の追加] 、 [子要件の追加] をクリックし、R2の子要件を作成します。要件の詳細を入力します。カスタム ID: R2.1
概要: 車両の最小速度
説明: クルーズ コントロール システムが作動するためには、車両の速度は 40 km/h 以上でなければなりません。

このステップを繰り返して、他の子要件を
R2に追加します。
[要件の昇格] または
[要件の降格] を使用することにより、階層を再配列できます。
要件をクリックしてドラッグすることで階層を再配列することもできます。要件を他の要件と同じ階層レベルに移動するには、他の要件の間に黒い線が表示されるまでドラッグします。要件を子として追加するには、目的の親の上に親が黒い線で囲まれるまでドラッグします。
Microsoft Word を使用した要件コンテンツの作成および編集
要件の [説明] フィールドおよび [根拠] フィールドを作成および編集するには、要件エディターまたは要件パースペクティブ ビュー内から Microsoft® Word を開きます。
メモ
この機能は、Microsoft Windows® プラットフォーム上でのみ使用可能です。
Microsoft Word を使用したリッチ テキストの要件の編集では、次のことが可能になります。
要件コンテンツのスペルチェック。
イメージのリサイズ。
式の挿入および編集。これには LaTeX 形式の使用も含まれます。詳細については、Microsoft Web サイトの Word で UnicodeMath および LaTeX を使用して行形式の数式を入力するを参照してください。
表の挿入および編集。
[編集] フィールドのツール バーで、[説明] または [根拠] のいずれかのフィールドの
アイコンをクリックします。要件コンテンツに加えた変更を Microsoft Word に保存し、それらが Requirements Toolbox に反映されていることを確認します。
Microsoft Word を使用して以前編集した要件をインポートする場合、書式設定要素は失われます。たとえば、方程式は編集不可のイメージになります。
要件ブラウザー ビューのカスタマイズ
[列] 、 [属性の選択] をクリックすると、要件エディターの列の表示と非表示を切り替えることができます。[列セレクター] で、属性列の追加、削除、並べ替えを行います。ビュー構成は複数のセッション間で保存されます。関数 slreq.exportViewSettings を使用して、ビュー設定を MAT ファイルにエクスポートできます。また、関数 slreq.importViewSettings を使用してそれらをインポートできます。関数 slreq.resetViewSettings を使用して、ビュー構成をリセットできます。
要件コンテンツのフィルター
[検索] をクリックすることにより、要件のコンテンツを検索できます。要件の属性と説明に基づいて、読み込まれた要件セット内で特定の要件を見つけることができます。
フィルター文字列の指定 — [検索] テキスト ボックスにテキストを入力すると、要件ブラウザーは動的検索を行い、結果を表示します。検索操作は要件ブラウザーに表示することを選択した属性のみに適用されます。
入力するテキスト文字列は次の節で説明されているガイドラインに従った形式でなければなりません。
大文字小文字の区別 — 既定の設定では、要件ブラウザーのフィルター処理に大文字小文字の区別は適用されません。
要件ブラウザーで大文字小文字の区別を有効にするには、テキストを二重引用符で囲みます。
属性および属性値の指定 — 特定の属性をもつ要件にフィルター処理を制限するには、属性名に続けてコロンを入力します。要件ブラウザーにその属性をもつ要件のみが表示されます。
特定の属性が特定の値をもつ要件にフィルターを適用するには、属性名を入力し、それに続けてコロン (:) と値を入力します。たとえば、Summary 属性の値に Aircraft が含まれる要件のみが表示されるようにコンテンツにフィルターを適用するには、「Summary: Aircraft」と入力します。または、文字列を二重引用符で囲んで大文字小文字の区別を指定します。
ワイルドカードおよび MATLAB 式はサポートされない — 要件ブラウザーは * などのワイルドカード文字を認識しません。たとえば、要件にテキスト文字列 fuel が含まれている場合でも、fuel* を検索しても結果は返されません。
また、MATLAB 式を [検索] テキスト ボックスで指定すると、要件ブラウザーはその文字列を MATLAB 式ではなくリテラル テキストとして解釈します。