二相流体の冷却
この例では、二相流体コンポーネントを使用して、蒸気圧縮冷却サイクルをモデル化します。コンプレッサーは、冷媒 R-134a を、凝縮器、膨張弁、蒸発器の順に通します。コンプレッサーを出る高温の気体は、環境との熱交換によって凝縮器の中で凝縮されます。冷媒が膨張弁を通ると、圧力が低下します。圧力の低下により、冷媒の飽和温度が下がります。これにより、冷媒は冷却器のコンパートメントから熱を吸収し、それに伴い蒸発器内で沸騰します。その後、冷媒はコンプレッサーに戻り、冷却サイクルが繰り返されます。コントローラーはコンプレッサーのオンとオフを切り替え、冷却器のコンパートメントを希望の温度の範囲内に維持します。
モデル
Scope からのシミュレーション結果
Simscape ログからのシミュレーション結果
次の図は、時間の経過に伴う冷却サイクルのパフォーマンスの変化をプロットします。圧力、温度、エネルギーの流れ、質量流量が含まれます。図から、この冷却サイクルが、コンプレッサーの圧力比約 5.5 で動作することがわかります。パフォーマンス係数は、抽出された熱と、コンプレッサーの電力入力の比で、約 4 になります。
次の図は、冷却サイクルの 4 つの点それぞれにおける蒸気品質を示しています。図から、コンプレッサーをオンにすると、蒸発器が冷却器のコンパートメントから十分な熱を吸収し、冷媒を完全に気化することがわかります。次に、凝縮器が蒸気品質を下げ、約 0.02 にします。膨張弁の中でフラッシュ蒸発が発生し、冷媒が約 0.4 の蒸気品質で蒸発器に入るようになります。
Simscape ログの結果のアニメーション
次の図は、時間の経過に伴う、冷却サイクルにおける流体の状態の変化を示します。冷却サイクルの 4 つの点 (コンプレッサーの入口、凝縮器の入口、膨張弁の入口、蒸発器の入口) が、圧力-エンタルピーの図にプロットされています。点線の等高線は温度を表し、グレーの曲線は飽和ドームを表します。
流体特性
以下の 2 つの Figure では、冷媒 R-134a の流体特性を圧力 (p) と比内部エネルギー (u) の関数として、また圧力 (p) と正規化された内部エネルギー (unorm) の関数としてそれぞれプロットします。流体は以下のようになります。
-1 <= unorm < 0 の場合、過冷却液体
0 <= unorm <= 1 の場合、二相混合物
1 < unorm <= 2 の場合、過熱蒸気
流体特性のデータは、p と unorm による四角形グリッドとして与えられます。したがって、p と u のグリッドは四角形にはなりません。
R-134a の流体特性のデータは、r134aPropertyTables.mat
にあります。