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遷臨界 CO2 (R744) 冷却サイクル

この例では、サイクルの高圧部が超臨界流体領域で動作する蒸気圧縮冷却サイクルをモデル化します。冷媒は二酸化炭素 (CO2) で、この用途では R744 とも呼ばれます。

コンプレッサーは、サイクルを通じて CO2 の流れを駆動し、臨界圧よりも上に圧力を高めます。ガス冷却器は高圧の CO2 から環境へ熱を放出します。CO2 は超臨界状態にあるため、凝縮せずに温度が低下します。膨張弁によって圧力が下がり、一部の CO2 が気化します。二相混合物が蒸発器を通過し、過熱状態になるまでコンパートメントから熱を吸収します。内部熱交換器は、サイクルの高温側と低温側の間で一部の熱を伝達することによって、サイクルの効率性を高めます。

モデル

Compartment サブシステム

Compressor サブシステム

コントローラー サブシステム

Evaporator サブシステム

Expansion Valve サブシステム

Gas Cooler サブシステム

Internal Heat Exchanger サブシステム

Scope からのシミュレーション結果

Simscape ログからのシミュレーション結果

次のプロットは、サイクル内の質量流量、等エントロピー コンプレッサーの電力入力、および熱流量を示しています。Gas Cooler と Evaporator の熱流量が、サイクルの熱放出と熱吸収を表す一方で、IHX の熱流量は、内部熱交換器によるサイクル内の熱伝達です。

次のプロットは、サイクル内のさまざまな点における圧力と温度を示しています。蒸発器の圧力は 3.5 MPa 前後に保たれ、ガス冷却器の圧力は公称で 10 MPa 前後です。これは、CO2 (R744) の臨界圧である 7.4 MPa を上回っています。したがって、これは遷臨界冷却サイクルです。環境温度の変化に応じて、ガス冷却器の圧力が変化します。環境温度が低くなると、ガス冷却器の圧力が亜臨界圧まで下がる場合があります。

二相混合物が蒸発器に入るため、蒸発器の入口温度 T5 も飽和温度になります。したがって、T6 - T5 は蒸発器の過熱状態を表し、これは膨張弁によって制御されます。

次のプロットは、さまざまなシャフト速度でのコンプレッサーの圧力と流れの関係を表す曲線を示しています。ここでは、回転するシャフトはモデル化されていません。コントローラーによって、必要な流量を生成するためのシャフト速度が直接に設定されます。

Simscape ログの結果のアニメーション

次の図は、時間の経過に伴う、遷臨界冷却サイクルにおける流体の状態の変化を示しています。サイクルの 6 つの点はコンプレッサーの入口、凝縮器の入口、内部熱交換器の高温側の入口、膨張弁の入口、蒸発器の入口、内部熱交換器の低温側の入口です。これらは、モデルのセンサー S1 から S6 によって測定されます。測定値は、圧力-エンタルピー線図にプロットされます。外形線は、CO2 (R744) の等温線です。

流体特性

以下の 2 つの Figure では、CO2 (R744) の流体特性を圧力 (p) と正規化された内部エネルギー (unorm) の関数として、また圧力 (p) と比内部エネルギー (u) の関数としてそれぞれプロットしています。流体は以下のようになります。

  • -1 <= unorm < 0 の場合、過冷却液体

  • 0 <= unorm <= 1 の場合、二相混合物

  • 1 < unorm <= 2 の場合、過熱蒸気

流体特性のデータは、p と unorm による四角形グリッドとして与えられます。したがって、p と u のグリッドは四角形にはなりません。

CO2 (R744) の流体特性のデータは、CO2PropertyTables.mat にあります。